凱旋
王都の門が、大きく開かれた。
「帰ってきたぞーッ!」
誰かの叫びと同時に、歓声が弾ける。
花びらが空を舞い、旗が振られ、音楽隊が高らかに演奏を始めた。
第一ダンジョン討伐隊の帰還。
その中心に、レオンがいる。
まだ二十歳の青年は、少しだけ気まずそうに頭を掻いた。
「すごい歓迎だな……」
「当たり前だろうが!」
隣でガルドが豪快に笑う。
「お前が核をぶっ壊したんだぞ? 今日くらい英雄扱いされろ!」
レオンは首を振る。
「俺一人じゃない。みんながいたからだ」
その言葉に、後ろから柔らかな声が重なる。
「はい。私たちの勝利です」
エリスが微笑む。
白い修道服が陽の光を受けてきらめいている。
戦いの疲れはあるはずなのに、その笑顔は澄んでいた。
子どもたちが駆け寄ってくる。
「お兄ちゃん、強いの!?」
「ダンジョンって怖かった!?」
レオンはしゃがみ、優しく笑う。
「怖いさ。でもな、ちゃんと立ち向かえば勝てる」
「すげー!」
「英雄だ!」
無邪気な瞳が輝く。
ガルドは腕を組み、誇らしげにうなずいた。
「次も俺が守ってやるよ、王都をな」
王城前の広場。
王自らが姿を現す。
「若き英雄レオン、そして討伐隊よ。第一の災厄は確かに滅びた!」
拍手が巻き起こる。
「これで森の災害は止まる!」
「人々は安心して暮らせる!」
「世界は必ず救われる!」
レオンはまっすぐに前を見つめた。
その瞳に迷いはない。
「まだ終わりじゃない」
静かだが、強い声。
「残りも全部壊す。全部終わらせる」
エリスはその横顔を見つめる。
尊敬と、少しの誇らしさを込めて。
「……はい。私も、最後までお供します」
ガルドが笑う。
「決まりだな。次は海か?」
「ああ。第二ダンジョンだ」
三人は並ぶ。
夕陽が王都を黄金に染める。
歓声はまだ続いている。
光の中。
希望の中。
英雄たちは、次の戦いへと歩き出す。
世界は、確かに救われ始めていた。




