第二章 0話 悪夢
光すらない無の世界には三人の神がいらっしゃいました。
『創造の神』『龍の神』『星の神』でございます。
無の世界にはただ一つ“遊戯”とよべるものがございました。
──それが『闘い』であります。
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──あのときのことを夢にみる。
トラックが迫りくるあの瞬間のことを。
まるで自分が鳥になって、上から見ているかのように夢にみる。
美花が、横断歩道の白線の上で、呆然としていて。
仁は自分と並んで走り出している。仁の整った顔は焦燥に歪んでいた。
──ここで俺は、二つの選択肢の前に立たされたんだ。
仁を助けるか、仁と美花を助けるか。
仁を助けると、美花は助けられない。
仁と美花を助けようとすると、恐らくそれは間に合わない。三人仲良く死んでしまうだろう。
でも俺は、たとえそれがどれだけ可能性が低くても、二人を助けたかった。
──しかし、仁はそうではなかった。
一直線に走り出し、美花の背中を突き飛ばした。
分かってるんだ。それが最善であること。最良であること。
なぜなら仁が導き出した答えなんだから。きっとそうだ。
俺もその選択には納得している。きっとみんな助かる方法は無かったのだ。美花しか助からなかったのだと。
納得している。はずなのに。
──ならどうして、夢に見てしまうのだろう。




