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第一章 31話 ただいま
ショウが蟲の巨人の内部に侵入ししばらくたった。
「……ショウ」
巨人はショウの侵入と同時に動かなくなった。恐らく内部で何かが起こっている。
ショウは無事か……ジンは不安で落ち着かない。
「案ずるな。奴は必ず帰ってくる」
「……うん」
ジンの心中を察したレーグが声をかけるが、それで安心はできるほど、今は余裕がない。
「吾輩の勘は外れん。ほら、見ろ」
レーグは顎をしゃくって巨人の方を見るよう促す。
巨人は色彩を失い、徐々に白く、泥に戻りつつあった。
だが、本来見るべきはそこではなく──
「──ショウ!」
巨人の腕を滑り台のようにして、滑りくる棒人間。そしてその後ろには、魔王ローリィもいる。
ようやく近くまで来て、ショウは言った。
「……ジン、ただいま」
「ああ、おかえり」
ジンはショウの後方の魔王ローリィを見る。
彼女は照れ臭そうにでてきて、一言。
「た、ただいま……」
どうしてローリィがそう言ったのか、意味が分からなかったが、ショウが説得して連れてきたのだ。話を聞くよりも先に、ジンは言わねばならないことがある。
「うん、おかえり」
ショウとジンは、親友であり、家族である。
そして、今日この日、家族が一人増えた。




