第一章 10.5話 ショウと言う男
「話、ですか?」
ショウが出て行ったのを確認して、レーグとジンは丸いテーブルを囲んだ。ディオニスは レーグの後方で腕を組んで立っている。
「なに、それほど難しい話ではない。聞きたいことがあるだけだ。もちろんこっちの話が終わったらそっちが質問してくれていい。なるべく答えようぞ」
「……」
一体どんなことを聞かれるのか。少し緊張が走った。
「──カズミヤ・ショウはどんな男だ?」
「え?」
意外な質問だった。
まさかこの場にいないあの男の話になるなど、思ってもいなかった。
これも緊張を解くためのものかと思ったがレーグはどうやら真剣に聞いている様子である。ならばこちらも真面目に答えよう。
「そうですね……馬鹿で、頑固で、なにより不器用です」
一見ただの罵詈雑言だが、本人はいたって真面目である。
「すごく負けず嫌いで、勝ちさえすればいいと思ってる節さえあります……」
「ほぅ」
「でもショウは……」
「──?」
「──最高のアイデアマンだ」
「クハハ、先程まで馬鹿だ頑固だと言っていたのにか?」
「えぇ。だからこそです」
一見矛盾しているかに思える理論だが……
「ショウは、普通にやっても普通ができない。だから普通じゃないやり方をする」
過去の記憶が、つい最近あったことかのように思い出される。
──料理では、辛さと甘さの融合だとカレーに黒糖を混ぜる。
──空手では、降伏するふりをして襲い掛かってくる。
──将棋では、『パックマン戦法』なる謎の戦法を使う。
何百回も色んなやり方で挑戦して、何百回も失敗して、それで一回の成功をつかみ取る。そういう男なのだ、あいつは。
決めろ、アイデアマン。




