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一次元転生  作者: K省略
第一章 蟲国編
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第一章 9話 罪と罰

 宿から出て少し歩くと、なにやら市場のようなところに出た。

 売り物としては、肉や野菜、魚まで。どうやら、蟲人の食生活は人と変わらないようである。


「お、これはずいぶんイキのいいニジマスだね」


 ショウは自分の知っているような魚を見つけ、蟲人に絡む。

 正直、お金は持ち合わせてないので、本当にただ喋りたかっただけである。

 しかし、その店番ゲンゴロウの蟲人の歯切れは悪く──


「──え、あ、えーっと。これ、にじ、ます? じゃないぞ」

「…………」

「…………」


 ゲンゴロウの蟲人と、無言のまま目を合わせる。

 何か慌てるというか、奇妙がっているというか。感じの悪い。

 こっちはただ喋りたいだけなのに。


 ──というか、各方面から視線を感じる。


 ジロ、ジロ、ジロ。探るような視線が、ショウを包む。

 まあ、人間は珍しいのだろうか。

 うーん。人間か。人間か?


「人間じゃねえッ!?」

「ヒッ!?」


 今はジンがいない、つまり今の自分は棒人間だ!


 ──ようやく行き着いた原因に、ショウは思わず声を上げる。その声に、ゲンゴロウの蟲人は肩を揺らし怯えた。


 そりゃ、得体の知れないカカシが急に叫んだら怖いだろう。


「あ、ごめん。怯えさせるつもりはなかったんだ」

「ヒッ!?」


 安心してくれと手を伸ばすも、また怖がられる。

 周りも本格的にショウを認識し始めて、市場はざわつく。


 

「──おいおいおい! 何事だぁ!」



 すでにショウの力では収集つけることができなくなったかと思われた頃、人ごみをかき分けて、ある蟲人が現れた。

 それはトノサマバッタの蟲人で、ショウには見覚えのあるものだった。

 ──魔王ローリィの城にいた、たしか『三甲』とかいう……


「うぉ! なんだぁお前さん!?」


 当たり前だが、向こうはこちらに見覚えなどない。分かりやすく驚きよろける。


「あ、えーっと」

「うぉお喋ったぜ!」


 いちいち驚かれると喋りにくい……だがなんだ? この蟲人が現れてから、場の空気が変わった。

 先ほどまで怯えていた市場の者たちも、『三甲』の驚く様を見て、笑っている。

 何も言い出せないこちらの雰囲気を察したのか、そのバッタの蟲人はこっちに来る。


「すまねぇ、すまねぇ! とって食おうとか考えちゃいねぇよ! その、なんだ。お前さんの姿形がユニークだからよぉ。びっくりしただけさ」


 フランクでどこか抜けているけど、同時に頼られていることも分かる。


「あ、オイラは『三甲』やらしてもらってる、ニツクダってんだ。お前さんは?」

「俺はショウ。カズミヤ・ショウ。……『使徒』だ」


 ピクリ、ニツクダの肩が僅かに揺れた。


「へぇ、使徒さんか」


 ニツクダの向ける視線の色が変わったのに、ショウは気づかない。


「いやぁ、ニツクダさん。驚かしてごめん。早速なんだけど、この国のこと教えてくれない? 俺、ここっていうか、この世界にきてばっかりでさ」

「……」


 返答はなかった。ここで、さすがのショウも奇妙に思う。


「……ニツクダさん?」

「──ン。ああ、すまねぇ、ちと考え事しててよ」


 ニツクダは慌ててショウに謝罪した。


「えーっと、何だ? この国について教えてほしいって言ったな」

「ああ」


 ここで、数秒の沈黙が走った。ショウが不思議に思い、首を傾げたそのとき、ニツクダは覚悟を決めたようにしゃべりだした。


「まぁ、この国、いろいろルールがあってだな」

「ルール?」

「おうよ。そうだなぁ……例えば、露出は犯罪だ」


 蟲の国のルール。一体どんなものがあるのか。身構えていたショウはそんな当然のルールを聞いて「なぁんだ」と思う。


「ははは、ニツクダさん。そんなの分かってるよ!」


 そんなの、自分のいた国でも常識だっつーの!


「ハハハハ」

「ははははは」

「ハハハハハハ」


 そんな、服を着てない奴なんてどこにいるだろうか? ほんとうに。

 『壺』で流行っているジョークだろう。おもしろい、おもしろいなあ。だが、周りの蟲人はあまり笑っておらず、じーっとショウを見ていた。


「はは、は? ──え? 俺のこと?」


 ショウ、ここで気づく。

 今、自分は服を着ていない。


「まぁ、露出だわな」


 お前は今、犯罪者であるとニツクダは肯定する。


「いやこれは違うじゃん! 棒人間はセーフだろうが!!」


 棒人間に着せる服なんてないだろッ、と嘆く。


「いんやアウト、アウト。処罰は受けてもらうからねぇ」


 だが、意外や意外。フランクかと思えたニツクダであったが、どうやら規則には厳しいようで。


「えぇ、でも知らなかった、ていうか気づかなかったんだよ!」

「おうおうそうか。でもルールだから」


 ニツクダが、こっちに歩み寄ってくる。


「……ちなみに処罰って何?」

「お! よくぞ聞いてくれた」


 ニツクダの足をとめるため、咄嗟に出た言葉であったが、実際に足を止めることに成功する。

 だが、続くニツクダの言葉は足を止めるだとかそんなレベルにないことであった。


「残念ながら、死刑!」


 カズミヤ・ショウ。この世界に転生し、2日目。

 ──露出により、死刑を言い渡される。


さすがに露出はいかんかったワケですね。

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