導入
国一の魔法使いとそこらへんの画家、二人が出会いこれからの世に受け継がれていく絵ができる、これはそんな絵が完成するまでの物語。
長方形の地図の最西端に位置する小国フラロイン。ここはかつて「魅惑の森」と呼ばれていた。道はそれほど複雑ではなく、しかし森に入って10分もすれば自分がどこから入ったのか、出口はどこなのかが途端にわからなくなる、そんな森だった。だが、そこを小国と呼ばれるまで変えた英雄がいる。今日はその英雄が成し遂げた功績を国中で讃え、今も続いてる平和な世に心から感謝する祭り星輝祭が行われている。
「ユーフライン様のおかげで今こんなに幸せだわ」
「ユーフライン様お姿まで目麗しい...」
「やっぱり国一いや世界一の美女が恋人だったのかしら」
祭りを歩いていると人々の活気溢れる声が聞こえてくる。その功績から時代や老若男女問わず人気であり、この国に希望を与えた人物ユーフライン・ファール。彼は平民出でありながら齡17歳にして戦で敵将を打ち、彼が生まれた国オーガルで最高魔術師としての称号を貰った。その後、親友カロイと世界を周りこの地に行き着いたとされている。親友カロイもまた英雄である。人々が想像する英雄とは少し違うかもしれないが、絵で彼を超えるものはいないと二百年経った今でも言われている。星輝祭は画家カロイが世界を親友ユーフラインと見て回った時に描かれたをフラロインを覆う結界に反射するように魔法省の塔から写しだされている。
「あそこの部分をあの表現で表したのか...」
「二百年経った今でもあの手法を真似できるのは限られたものしかない」
「是非その手法を伝授してもらいたかった...」
英雄ユーフラインは老若男女誰からも愛され、彼の容姿や功績で讃えられている一方、英雄カロイは学者や画家など専門の職についてるものたちからの賞賛が大きい。それには一つ理由がある。ユーフラインは城の地下に1000にもわたる伝記や文献がある中カロイは50しかないのだ。唯一彼に関して残っているものは、もちろん彼の描いた絵と彼が主に旅の最中に書いた日記だ。そしてもう一つ彼についての謎は、日記を読む限り三百枚ほどの絵を描いたと書かれているが今私が見ている彼の絵はだいたい五十枚ほどしかない。ユーフラインに比べ謎が多いカロイだが彼の絵は今も人々を魅了し続けいている。
「おかあさん、あのいちばんおおきい絵におなまえはあるの?」
7歳くらいの女の子が結界を指差しながら母親に聞いていた。一番大きい絵は魔法省の塔のすぐ上に写っていた。その絵は彼の代表作でもある。
「あの絵はね」
「ーーーーーーー」
「ユーフライン様のお名前が使われているのよ」
「やっぱりこの国の空気はうめぇわ」
魔法省より先に進んだところにある比較的小さめな家の前で一人呟いていた。
楽しかったら嬉しいです。