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続・ホント町でのイベント

 幸福感に包まれながらゲームで町や村をモンスターが現れたシーンを思い出しながら振り返る・・・そのような場面は物語の最終場面近くで勇者の誘導のためにはじまりの村を滅ぼす場面だけであるから今回の騒動は似たような出来事を含めても初体験であった。

 周りを見てみると町長さんと同じように住民が頭に?を浮かべながら元の日常に戻っていた。

 僧侶さんへの視線は多くなったけど守るためだったから仕方ない

「もう何も無さそうかな?」

「うん! ぶき屋いくんだよね」

「そうだよ♪」

 色々あったから、今日ははやく終わらせて2人で一緒したいのが私とマルシカクちゃんの思いであった。

「あ、あのぅ… お二方の強さは勇者様だったりしますでしょうか…?」

「「ちがう()マルシカクちゃんの(おねえちゃんの)およめさんだよ(なの)」」

 私の〝シナリオ〟は魔王を倒すことに繋がっているかもしれないけど、魔王を倒すことではない。内容は分からないけど違うと断言出来る。 そして僧侶さん(あなた)は勇者様に付いて行くこと

「仲間にしてもらえませんでしょうか?

 ひぅ!も、もちろんお二方のお邪魔は致しましぇん!…はぅ…」

 えぇ…たしかに勇者様(最低)1回ゲームオーバーになってるけど…

「おねえちゃんのなかまになりたいの?」

「は、はい! わ、わたくしです、ね! この弱いしぇいかく…を直したくて旅に出たのです…」

 さっきにも必死に守ろうと出てきたの見てたら大丈夫な気がするけど、ここまでに真剣だからどうしよう…勇者様の旅に影響は・・・ひったくり倒した時点で勇者様と交差すること無くなっちゃった?

 少し考えていたら僧侶さんは真っ赤になってあせあせと喋り出す

「あ、そ、その、さっきのは嘘…では無いのですが……本当はお二人の傍にいたいと思い…まし…た…です」

 邪魔しないって言ってたから強さを見習いたい、みたいな? 仕方ないかな…マルシカクちゃんにも仲間にしたいか聞いてみようか

「マルシカクちゃんは・・・」

「ひゃい!ち、違うんですよ…ちょっとエッ(・・)・・な・・を見て、わたくし見たいなぁっとかでは無くですね…」

 偏見無いのは好ましいけど・・・何も言ってないよ?ぶっちゃけ過ぎでは。スキンシップじゃなくてそういう風に受け取るって中々いないよね、いいですけど。

「いいよ! ね、おねえちゃん?」

「え?」

「うん、いいですよ、旅の方はゆっくり色んな場所に行くけどね。 イチャイチャして(一日中家にいる)ことも結構あるよ?」

 仕方ない、マルシカクちゃんと二人きりじゃなくなるのが残念くらいで良い人だからいいけどね。

「ふぁ!はい!ありがとうございましゅ!…はぅ」

「あ、ひとつ試験していい?」

「??、はい?よ、よろしくお願いします!」

 ポーズ状態にして僧侶さんを『アイテム』の中に入れてみた、嘘ならすぐ分かる・・・けどちゃんと収納されたのですぐに出す、信頼されてた・・まぁ、自分もしているってことだけど、素直な人ではあるから好ましく信頼出来る人ではあるからねぇ

「うん、いいよ」

「あれ?試験は…?」

「終わりました」

「ぇえ!いつの間にですね!?」

 うん、仲間に入ってたし、息が詰まる人でないならね

「あ、お名前は?」

「あ、はい!〝ざい条ゆうざい〟です」

 罪状有罪!?

「(呼ぶ)名前変えていいかな?」

 あまりにも(元の世界の基準で)酷い名前だったから、かなり失礼なことを口に出してしまい口を押さえる。

「おねえちゃん!?」「へ!? あ、え!? ま、マルシカクしゃまが…。 わ、わたくしに!?」

 ど、どうしたの!? マルシカクちゃんなんか泣きそうな顔で縋り付いてきたし僧侶さんは茹で蛸状態になってるよ!? ポーズ!コントローラー!ポーズ!


『結婚・名付け

 生涯に一度だけ結婚相手に名前を付けてもらい、その名前を貰うことが出来る(しなくてもよい)。*再婚等の理由でも過去に1回されていたら不可』


 「君の名前を贈りたい」のようなプロポーズの言葉みたいになった!? ごめんなさい!僧侶さんには恋愛感情一切無いの!とんでもない事しちゃった!? マルシカクちゃんも物語読んでたか聞いてたかしてたから知っているんだね!

 僧侶さんが女性にいける人じゃなかったら、それ告白じゃない?等の揶揄いや指摘で終わる問題だよね。

・・・はぁー…言い訳よくない、正当化は良くないよ! 私はマルシカクちゃんが大好き! 僧侶さんは違う

 心の整理をして落ち着けるとポーズ状態を解除した

「僧侶さん!」

「ひゃ!ひゃい!!」

「おねえちゃん…?」

 マルシカクちゃんを少し押し離しながら呼ぶとピシリと僧侶さんは背筋を伸ばした。

「ごめんなさい! 今、少しの間、2人の反応の事を調べて分かりました…

 私は名前を変える意味は知らなかったんです…、酷いことを言ったこと本当にごめんなさいっ…」

 僧侶さんは意味を理解しようとボーっとする、頭の回転が速いマルシカクちゃんはいち早く気づいて私に抱き付いてきてハグ、そのまま抱え上げて抱っこする

「・・・・へぅ…つまりですね、貴女様はわたくしの名前に違和感を感じて言ったってことでしょうか?」

「はい…ごめんなさい…

 私の価値観で言うと『ざいじょう』で切ると(つみ)のことで『ゆうざい』は罪があると聞こえちゃって…ごめんなさい…」

 せっかく親からもらった名前を・・・

「・・そうでしたかぁ! 勘違いして恥ずかしいでしゅぅ…」

「おねえちゃんはおねえさんにつみ(・・)があるって思ったんだね!」

 ・・・あれ? かなり心を踏みにじるようなことをして、非道いことを言ったのに

「わたくしの名前にそんな意味もあるのですねぇ…」

「あ、いえ、私は特殊な生まれですから…」

「・・・あのぉ……マルシカク様」

「うん!いいよ!」

「ありがとうございます!」

 2人が言葉足らずに話しが進んで私を置いていく、と、僧侶さんはこちらに向かい片膝を着き顔をあげた

「わたくし〝ざい条ゆうざい〟の新たな名を、・・・貴女様の名前は…?」

 恥ずかしそうに尋ねてくる、新しい名前?あ…

 私に何を求めているのかハッキリと分かった

 結婚式の大事な儀式だよね、私がその前にやっちゃっていいの?

「・・ユウナ様に頂戴したいとおみょい…思います! ううう…恥ずかしいでしゅ…」

「えっと、様式とか知らないけど、名前私が決めていいの?」

「はい!お願いしたいです」

 それならと真剣に考える、僧侶さんの雰囲気を重視したい、・・なんか重いなぁ。神聖、神・・・巫女とかいいなぁ…神、み・・・みのり!

「決まりました! 僧侶さん、みのりさんとかどうでしょうか?」

「みのり・・はい! 一生のわたくしの名前に致します!ありがとうございます!」

 気に入ってくれた、感性とか違ったらどうしようと思ったよ。

「おねえちゃん・・・マルシカク…にも、いつかほしいなぁ?」

「はぅ…ま、マルシカクちゃんには今すぐにでもあげたいけど、マルシカクちゃんって名前も可愛くて好きだから困っちゃうなぁ」

「ん! っ~~、おねえちゃん、大好き!」

 え!? 久しぶりっていうか、ここまで照れたマルシカクちゃん初めて見た、かわい過ぎてやばい!自分もやばい!言って恥ずかしくなって、また好きになる。

 お互い首を交差させて見えないように埋めていて、それを静かににやにやとみのりさんが見ていたのだった。

・・・。

「みのりさんは聖魔法の他にデバフも使えたんですね?」

「・・あ、あの、デバフ?って何でしょうか?」

「あー、相手の能力を下げる魔法みたいな…?」

「そうなのですね、使えるのでしょうか? 分かりません」

 マルシカクちゃんも私が教えたし、もしかして自分の能力を確認って出来ないの? 帰ったら色々そっち方面の常識も教えてもらおう。


 色んな事が起きましたがはじめに行こうとしてた武器屋にやっとやってきました!

 相変わらず自分には何の品だか分かりません、値段は書いてあるのに商品名を書かないって、そもそも効果も書いて無いのは詐欺っぽいでしょう。

「『魔力の杖』ってどれだか分かるかな?」

「は、はい!もちろんです、一目惚れするような美しさがありますからユウナさんにもすぐに分かると思います」

 物理は必要無いと分かったのでMAT中心に切り替えていきたい、・・・マルシカクちゃんはそれであれ(・・)だったんだよね。


「これですね!」

 みのりさんが持って渡してくれた杖はアニメでよくみる魔法少女が使うような細く短いピンクのステッキ、星の模様で先にハートの飾りがキュート! ってゲームで画がなかったからって!? いやマルシカクちゃんにかわいいから買うけど。

 そういえばみのりさんの装備そのままだったけど気に入ったのかな

「みのりさんが使っている杖は何ですか?」

 戦闘の時に出していたのは身長より少し短いくらいの長い杖で棍棒を細くした感じだった

「わたくしは『森の杖』でひゅ…ですよ」

 聞いたことの無いアイテムだ名前からまぁまぁ感はある、木の杖よりは結構高そうだなぁ、気になるなぁ、まだ見ぬアイテムだったのか、追加アイテムなのかどっちだろうなぁ

「少し貸して欲しいんですけど…」

「ふぇ?いいですけど、ここではちょっとですね…」

 あ、そりゃそうだよ、武器屋で店の人がいない時に出すのはね… 後にします

 みのりさんに聞きながら自分にはマルシカクちゃんに「これにして!」と頼まれた『ネコ杖』にしました、魔力の杖ほどじゃないけどMAT上昇が次いで良い杖でSPDも上がるお買い得な商品! ・・・効果無しですね。私に武器はファッションです、マルシカクちゃんのためだけに持つから最適かもしれないね

 ネコ杖はご想像通りマジックハンド(・・・・・・・)の猫の手バージョンの見た目ですにゃ…

 それと、『魔法弓』と『小さな弓』を買って店を出た。

 防具屋のユニーク装備、使える、けど・・・悩む…一応手に入れときたいのでそちらにも行く

「あの、『革の長靴』を9個を買って、『おおかみのコート』が欲しいのですけど」

「はいはい?何をそんなに買うんだい」

 あ、あれ?ダメか?「ついでに『豚のお面』も必要だろ?」って言われるはずだったのに

「え、えー…豚のお面はいらないです…」

「!!」

 恥ずかしい!と思ってたらご主人の目がキランっと光った

「お嬢さんどこでそれを? まぁ、詮索はしない約束だったからしないけどな、ちょっとこっちに来てくれ」

 裏話が分からない、設定と違う会話が続くけど成功したっぽい。マルシカクちゃんは今度は何かなって楽しみにしてるけど、もし(・・)着るって言っても絶対私以外の前では着させないよ。着たいなんて嘘でも言わない物だけどね。


「この箱にお嬢さんが求める物が入ってる、誰に渡すが知らないけどよぉ、絶対に応えてもらえるように頑張れよな。 三点で12000Gだ」

 裏取引の現場だ、みのりさんが値段に顔を青くしている。

 けどね、これ3個で33333G物だからね? 私のCTであり得ないことになってるからね…もうつっこまないの。

 箱のまま仕舞うと店を出て何事もなく家に帰るのだった。


 これだけ色々あると手の付け方が分からないよね、まずはお互いのことを知ろうとお話ししよう

「・・・ふわぁ……がんばる!」

 マルシカクちゃんがとってもかわいい欠伸をする。

 そりゃそうだよね、2回も大事に巻き込まれたし、恐怖しかなく精神的に張り詰めていただろう、しかも影の件なんてみのりさんの乱入で一斉に襲ってきた、よくマルシカクちゃんは足も竦ませずに対応してくれたと思う。

「お話しは明日にするね?」

「はい、それが良いと思いまし・・・痛いでふ…」

 自然と笑っている、誰かといてこんな時間なんて無かったよ(子供たちは除く)。

「ぅぅ…では、明日はいつ頃お伺いすればよろしいでしょうか?」

「え?」「え?どっか行くの?」

 急にみのりさんが立ち上がり帰る雰囲気に2人で驚いてしまう

「や、宿屋ですけれど…?」

「「え?」」

 マルシカクちゃんも私と一緒で仲間は一緒に暮らす(いる)認識だった。 しかし、一般的にみのりさんが正しくて、仲間だろうと他人なんだから常に一緒なのはあり得ないことである。

 考えてみれば(ゲームでの)勇者たちはあり得ないと今更ながらに気付いてしまった

「あ、あのぉ? 勘違いなら申し訳ありませんのでしゅが……い、一緒にですね、こちらに…す、住まわせて…もらっても…よろしいのでしゅかぁ…」

 とっても恥ずかしそうなみのりさん

 うん、違うならと思ったが最初からそのつもりだったからね…、別と分かってたなら仲間にするのは渋ったり考えたりはしないよ、マルシカクちゃんとの邪魔されないもん。

「最初からそのつもりでしたよ」

「うん!」

「・・・わぁ!あ、ありがとうございます!」

 まぁ、嬉しそうだからよかった

「あ、布団が無いけど、持って無いならおやすみセットはあるよ」

「そ、そんな貴重な物をなんて!?」

 どうやら持って無いよう、この町まで野宿?・・・考えないようにしよう…。馬鹿高いものばかり買ってたせいではした金に思える金額だ!なんて言えないよね。 リンゴ50個分、一つ80円としても4000円、あれ?普通?高い?元がある物生活だったから基準が分からないや…

「いっぱいあるから布団買うまで毎日取り替えてもいいよ」

「ひ、ひぅ!?」

 貧乏生活していたのかな、おやすみセットの効果は一回限り、何度も使えるが普通の寝袋になる。

「欲しい物は何でも言って、生活に必要な物なんかは最初に言って欲しいな」

「そ、そこまでは…し、しかし……ぅぅ…」

 悩んで悩んでひとつだけ言ってきた

「お、おぱんつを…お願いしましゅ…」

 本当の本当に申し訳なさそうだ、言い方が恥ずかしいけどみのりさんには普通の言い方なんだと思う

「持って無いの?」

「はい…ありません…これもいつお返ししようかと…」

「え?」

 みのりさんが着ている謎の商売人から買った装備一式分に当然下着も含まれている、みのりさんはそれを指した。ってことは1枚も…服も最初に着てた一着のみ…

「あー、あー、ちょっとみのりさん、お風呂入ろう、マルシカクちゃんも限界だから」

 これはやばい、服屋寄ればよかった。『着る(ユウナ不可)』と『装備する(させる)』は違う、『装備する』ではサイズが合うだけで無く、汚れが付かないのだ。みのりさんが今着てるのは自分で着替えさせた、つまり・・・あー…

 すぐにお風呂を準備してみのりさんに入らせた、その間にその服を手洗いして仕舞っておいた


・・・戸が開かれる

「ひゃ!?ユウナひゃま!?」

 肌白い、スラッとしていて減らした私より無い。

 リボンセットを装備させる

「はへ!? ふ、服が、か、かわいい…ですね!」

「いきなりごめんなさい、説明は全部明日しますね、ご飯とおやすみセットは準備してあるから食べてね」

「へ、あ、は、はい! ありがとうございましゅ!」

 みのりさんが出ていき、マルシカクちゃんを呼んで一緒にゆっくり疲れを癒したのである。眠そうだったのでずっと抱えていて堪能していたのは言うまでも無いだろう。


 部屋に戻るとみのりさん既に寝ていた、ご飯が残っているところをみると試しに入ってみたらあの気持ち良さに耐えきれずにそのまま寝てしまったんだろうね。

「「おやすみなさい」」


・・・。

「えへ♪おねえちゃん、おはよ?」

 目が覚めたら目の前にかわいいお顔がありました

・・・チュッ

 無意識に口を見ていたらしてくれて幸せです、今何時?時間無いんだった、朝、昼、夜?

「おねえちゃん、もうお昼だよ?めずらしいね」

 うわ、あんなに早く寝てお昼まで寝てたって! ゴロツキとか不気味な襲撃とか無意識に深い疲労があったのかな…

「あふぅ~…」

 そして幸せそうな顔がもう一つ視界の奥にある、顔を緩ませていて私の視線に気付いて必死に律しようと頬に手をあてて頑張っていた。


「わ、わたくし…やっぱり…おじゃまでしょうか…」

 最初の会話は挨拶よりもそれだった、みのりさんは聖人様だから他人の柵になるのが許せないんだね

「ううん!じゃまじゃないよ!」

「うん、別に気にしないでいいよ。あ、そうだねぇ・・・これ、必要な物に使っていいですよ」

 100G×20、1000G×8が入った皮袋を渡す、無遠慮でいいという証、彼女は絶対に受け取らないだろうことは想定内

「は、はうぃ……ありがとうございます!

 これは何で?・・・ひぃ、ひゃ・・・」

「返品不可です!! 私の仲間になる条件に遠慮をしてはいけないがあるんですよ!」

「で、ですが…」

「足りなそうですね? ではこれをどうぞ!」

 同じ物の入った皮袋をもう一つ差し出す

「い、いらにゃいです!これでいいです!?

 ・・・失礼しました…ありがとうございます」

 うんうん!押し付け作戦大成功。慌てた口調くらい砕けてくれたら・・・なんか違うから今まで通りで

「じゃあ、先に買い物に行こう」

 何で忘れてたか布団が無い、昨日あったのか分からないけどセントセイバーさんの話し受けた商品にされたと思う。家具屋に本屋、アイテム屋は正直どっちでも、そしてみのりさんの服と下着を。

「あ、携帯トイレはいりますか?」

「それは何ですか?」

 僧侶さん!貴女はこの世界の住人ですよね? 恥ずかしいけど説明すると『トイレ』という言葉を知らない、どういうこと!?

 トイレという場所のことを説明すると「はぃ!〇〇や〇〇する所を言うんですね」と恥ずかしげも無く目的行為の方を言って私が赤面する羽目になった。マルシカクちゃんでも言わないのに何で知らないの?

 ちょっと突っ込んで聞いてみたら同じ捨て子の兄(と慕った人)に育てられてそういう風に教わってきたらしい、絶対わざとだと思う・・兄の顔がニヤニヤするのが浮かぶようだ…。

 それにしてもみのりさんは捨て子だったんだ…

 うん、仲間になってよかったと思うって思う(・・・・・・)のは結構命取りな行動なのかな。


 やってきました!通り、道?

「おねえちゃん!おねえちゃん!」

「うん、来てくれたんだね」

「えっ…と、お知り合いなのでしょうか…?」

「謎の商売人です」

「謎の・・・」

 訝しむのは当たり前です、あの見た目で商売人で謎が付いたら怪しいお店で怖いからね

「前にも最高品質な物を超超特価で売ってくれましたから安心していいよ」

「ズラーッと変わるんだよ!」

「そうなのでしゅね!」

 そうなんでしゅ、今回は分からないけどね。


『ニャッハー!コンチハー!』

 あかん、違う人だ!

「どうしましたか?」

 変なテンションの店の人に呆然としていたら、みのりさんに心配されてしまった、相変わらず私以外には聞こえないのか

「おねえちゃんはね、この人がしゃべってるの分かるの!」

 マルシカクちゃんありがとう。目の前で聞こえないのにそれを「そうなんですね」と理解するのがすごい。

 店に並んでいる商品は布団と枕、歯ブラシ(歯磨き粉付き)、穴あき下着・・・何で!?、タオルセット。系統が違うから売る人も変わったとか?

「みのりさんはこういう下着はきますか?」

「い、いえ!はかないです!」

 ならどうして置いてあるんだ、店は空気をよんでくれてるし。マルシカクちゃんにはいて欲しくもない…、まさか!マルシカクちゃんが求めてたとか?

『ニャー!ニャー!それ買っちゃう?買っちゃうかにゃ?10Gニャー!』

「買います、あ」

 あまりの安さにつられて、言っちゃったししょうがないかぁ。

「並んでいるのも全部下さいな」

『ニャニャニャ!? ニャッハー!

 豪快にゃ!号外にゃ!公開ニャー!』

 面倒くさいテンション!黒マントじゃなければかわいい猫っぽい(想像)だろうに!?

『特別にゃ!おまけにゃ!餞別にゃ!ニャー!

 にゃにゃにゃ~~ニャンと!30Gニャー!』

「ひとつ10G!? 無理があるよ?」

 布団と枕はセットだし、値下げのレベルを超えてるよ!

『ニャッハー!大丈夫にゃ! これは一人分にゃ、他で(お金)取るからにゃ!』

 3つずつにして値段を合わせるつもりだったんだ、一セット分をほぼ無料にしてまとめて押し売る、お金あるからいいよ!

『にゃにゃにゃ!ニャッハー!190Gにゃ!』 

「安いよ!?」

 190G-30G=160G,160G÷2=80G

 考えるまでもなく、ひとつ20Gの計算だろう!

『ニャッハー!ニャッハー!ニャャッッハァー!

 いいにゃ!ニャンテ!サービスにゃ!!』

 分からない、疲れる、はい190G

『本命イクニャー!』

 これらが全ておまけだったんだ、一気に商品が並び直った。

 野菜かご(野菜入り)、果物かご(果物入り)、紐の下着、おやすみセット

 またか!?

「みのりさん、これならはくんですか?」

「ひゃう・・・・きょ、興味は…はきたいでしゅ…さっきのもおふたりが(着けてくれたらいいなぁっ)と…申し訳ありましぇん…」

 ・・・妄想までにしてほしい、買ってあげるからそれで我慢してね

「かごの99個ずつ下さい」

『ニャニャニャ!?たくさんにゃ! いくつにゃ!? わからにゃいから100Gニャー!!』

「ちょっと待って!? ひとつ100Gにしても19800Gだよ!」

『ありがとにゃ!親切にゃ!やったにゃ!ニャッハー! お礼にゃ!198Gニャー!』

 この店すぐ潰れるよ、はい198G、『アイテム』に送ってくれた

「下着いくら?」

『ニャッハー!オミャーが決めてにゃ?』

 それでいいのか!?

「じゃあはい」

『ニャッハー!まいどにゃり!おつりニャー!』

 20000G払ったら19700G返された、あくまで受け取るつもりがないようだ

「おやすみセットは50個」

『25000Gニャリ』

 おやすみセットだけはどこでも定価なのはなんなんだろうね。

・・・。

「おねえちゃんだからね!」

 みのりさんの初めての体験の感想を楽しみに家具屋へ行って大きなテーブル(800G)と椅子6脚(各130G)を7セット買う。大きな物は仕舞えないのが普通なので驚かれてしまったがマルシカクちゃんがいつもの一言でフォローしてくれた。

「あ、あのぉ…ユウナさん、お金の方は大丈夫なのでしょうか…」

 自分が一銭も持ってないので心苦しく心配なようだ、なので安心させるためにも言った方がいいだろうね

「うーん、まだ25万ゴールドはあるってみていいよ」

「ひえ!?に、にじゅ!」

 かなーり少なく言ったけど放心してしまった、まぁ必要な物は大分揃ってきたから使う機会は減ってくるだろう。

 服屋では本当に安さを実感、装備であの値段なんだから当然なんだけど平均して13Gくらいだったので大量買いしたら『アイテム』に『服屋さん』が追加されました、中々粋な計らいありがとうございます。


・・・。

 服屋を出た時だった! 不気味なあの時の声が響きわたる

「フハハハハ!昨日はよくもやってくれたものだ!我々の計画の邪魔した罰を受けてみろ!」

 戦闘ウィンドウ画面が出てくる、周りに人はいない、声の主は空に浮かぶ目が付いた狐の形の影、町長に憑いてた奴だ!

「かわいくなってる!」

「目が付いて全身が分かるようになったからだね」

 みのりさんに色々と説明する前に襲ってくるなんて…、レベルも『はじまりの村』を目指しながら上げようと思ってたのに…

 コントローラー、ポーズ、メニュー、状態


みのりLV.1:変態僧侶(女),16歳(*不老、*不死)

HP:5 MP:15 ATK:1  DEF:1 MAT:6 MGR:10 CT:1


 やばい、レベル1戻りしてる! 魔法がそのまま使えるのは知識優先だからだろうけど…、買い物よりレベル上げ優先にしとくべきだった! 『状態』見とくんだったなぁ…。とりあえず不死は有効にする。

 魔法型のステータスをしているから強そうなあの敵がDFE受けだったら装備じゃ足りないよ…。あ!そうだ! ・・・よし、ポーズ解除。

「へぅ!? 肩が!?」

「大丈夫です、昨日買った最強装備の『ギャルセット』です」

 見た目は、頭につば付きの黒いぼうし、肩だしニット服で中の薄い服は黒、下は短パン、靴は黒のスニーカー

 効果が攻撃1回無効、1回だけHP0になる攻撃をHP1で耐えるという、このために用意してくれたんじゃないかと思うような効果であった。

 普通なら使いづらい装備だけど弱いだけの今には最適装備だ、あの謎の商売人(初代(仮))が私を見て『くすくす♪』と笑っていそうだ。

「みのりさん、あれに向けて『魔法防御ダウン』と言って下さい!」

「は、はい!魔ひょう防御ダウン!・・・うぅぅ…」

 ・・・影に矢印の下を確認、噛んだけど発動しているね

「マルシカクちゃんギガファイヤーいってみよっか! 魔力攻撃アップ!」

「うん!ギガファイヤー!」

 大玉ころがしの玉くらいの火の塊が飛んでいって影に当たった

「フフフフフ!やるなぁ!これならどうかな!」

 狐の影が頭だけそのままの人型に変わっていく、第2形態だ! 場所とレベルが見合わない敵か!

一定ダメージ毎に強くなるやつ、最初は弱めでだんだん強くなる代わりに体力はもう少しになる敵。マルシカクちゃんの相性良すぎてみのりさんに焦る必要なかったかも…

「もう1回いくよ!ポイズン!

 みのりさん『攻撃ダウン』で」

「はうぃ!攻撃ダウン!」

「ギガファイヤー!」

 ポイズンはホースで紫の水を出したようだった!キモイ! 影に紫の水玉が表示された

 マルシカクちゃんのギガファイヤーが当たると頭を押さえ始めた

「ククク、我を本気にさせるとはな!」

 茶番に見える、ずっと私たちのターンだよ。最初から本気出しておけよ

 なんて思ってたら私たち3人に黒い影の太い針が胸に当たってカランっと落ちて消える。せ、先制攻撃!!ど、ど、ドキッとしたぁ…

「おねえちゃん!」

「ま、マルシカクちゃん!」

 マルシカクちゃんも初めてだろうに、動揺も無くすぐにした行動は私に抱き付き要請、震えた私への気遣いだよ!大好き!ぎゅーっ!

 一方みのりさんは何が起きたかも分かってない様子、1回無効で直前で攻撃が消えたようだ。キョロキョロして私たちを見て微笑んでいた。

「フハハハ!油断したな人間ども!

 そのしぶとさに免じて見せてやろう!」

 影が光り出して止むと白髪クセ毛で背中に蝙蝠の羽が付いた青年になっていた、こいつ多分知ってる!四天王の一人のバラットだ!

「こうなったら終わりだ!フハハハハ!さぁ!最後の勝負といこうか!」

「魔法攻撃アップ!」

「え、えと? 魔法防御ダウン?」

「うん!ギガファイヤー!」

「ギャアアァァ!この我が負けるとは…、だが安心しないことだ!我は四天王の一人に過ぎないのだからな!クハハ…ハハ…」

『リザルトは保留します

*『状態』で『*』を押すと受け取ります』

 ・・楽勝だった。あれにあんな三段形態とか設定なかったから追加要素だったんだね。予定外はたまたま私の仲間になったマルシカクちゃんの潜在能力が高かったことかな、みのりさんの出会いはどうだかわからないけど相性が良いから支援が何倍にも膨れ上がって最強だ。

 魔法×魔法×魔法の編成とかバランス悪いけど一人強いのがいると良い形になったものだと思う、三番目の村から一人で旅立ちとか強さも精神面でも不可能でしたよ。

 なんか結果が後になったのは整理出来てからゆっくりみよう、一段落着いたからもう無いと思うし頭が付いていかないよ。

「ありがとうね!」

「うん!おねえちゃんもおねえさんもありがとー!」「へぅぅ…、最後のはどういう意味でしょうか…」

 どこからともなく人が通り始める、終わったね、勇者の仕事取っちゃったよ、いいの?

 本屋さんに寄ってそれぞれ本を3冊ずつ買って帰るのだった。

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