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冒険の始まり

 カタカタと物音で目が覚めてゆっくりと目を開いた。

「…うん…? だれ…どこ… 真っ暗…」

 誰かが背中にくっ付いていて、お尻に誰かの顔が当たっている

「起こしちゃったかな?」

「え…あ…いえ…大丈夫です」

 男性の声がして状況を鮮明に思い出した。 『勇者のRPG』の世界に来てたんだった!

 そして、マルシカクちゃんと一緒に寝て、今その彼女が私に逆向きにくっ付いているんだね。寝相悪いのかな、かわいいなぁ。

 布団を顔の上から引いて見るとマルシカクちゃんのお父さんの山崩れさんが目を逸らしながら準備していた。

「・・・畑に行くから

 ユウナさん、どうかマルシカクをよろしくお願いします」

「あ、はい」

 私は出るからと挨拶をすると山崩れさんは微妙な表情で出て行った。

 そこで気付く、もしかして女性の寝顔を見たから気まずいのかなと・・・それよりも昨日のお風呂の方が恥ずかしいけどそのポイントが分からないよ…。あ、セントセイバー(ママ)さん

「ユウナさんおはよう御座います

 朝はお食べになられますか?」

「おはようございます? はい、ありがとうございます」

 前から声が聞こえてきて疑問が、たしか隣の部屋とは反対側に頭が向いていたような?

 上を向いて前を見るとすぐ先に居間?が… もしかして…私が反対向いたのか!?

「っ!? マルシカクちゃん? ズボン下ろさないで?」

 急に腰の下にあった手が動いたと思ったらズボンが引っ張られ始めて驚いてしまう、なんで装備が外れるの!?。マルシカクちゃんの小さな笑い声が聞こえて踏まないように起き上がるとマルシカクちゃんは逆手になった辛い態勢に手を離した

「んにゃ…んー!…きもちぃの…くるの…。……?おねえちゃん! おはよー!!」

 夢で何か触り心地の良いのが置いてあって手元にたぐり寄せていたらしい

「うん、おはよう」

 朝から元気だなぁ、私も一気に目が覚めたけどね この体温を感じられる嬉しさに幸せを感じるのだった。


 さて、今日を始める前に遊び方に目を通していきたいと思います!!

 昨日分かった事はゲームとは違うことが多々あるということだ。

 一番体感したのは「生き物」はちゃんと生きている人だった、牛さんも鶏さんも動いてないていたし、村の人に感情がちゃんとあったことだった。

 『ポーズ』が出来たり、コントローラーは誰にも見えてなかったり色々あったけど始める地点がこの村でよかったと思ったよ。

 ・・・さて、遊び方を見ていこうかな


・。

・・。

・・・。

 あれ?今、何時? …お腹空いたなぁ、眠い…

 優那は気づいていないが、丸々一日経っていてたのである。

「ぅぅ…むりかも…おやすみ…」

 結局、睡魔には勝てずにそのままもう一眠りするのだった。

・・・。

 次に起きた時に気付いた、ご飯を用意してもらっていて食べてからにしなくてよかったことに。

「あはは、おねえちゃん、きょうはいっぱい食べるんだね」

 空腹だったんです…

 コッソリと折り畳んだ布団に少しばかりの宿代を忍ばせて必要な買い物に出掛けることにする。

「本当にありがとうございました!」

「娘をよろしくお願いします

 ユウナさんと元気でね」

「うん!ままもぱぱといくの気をつけてね!」

「え?あ、そうね」

 娘をもらっていく罪悪感を感じるよ… 危険な場所にも連れて行くことになるし、後でしっかりと話し合うつもりでいる。

 手を振ってバイバイする、お互いに気軽に会わないことは理解していてすぐに前を向いて歩いていた。

・・・。

『状態』

ユウナLV.1:人間(女),15歳(*不老、*不死)

HP:20 MP:200 ATK:5  DEF:5 MAT:5 MGR:5 CT:200


マルシカクLV.1:人間(女),7歳(*不老、*不死)

HP:15 MP:24 ATK:7  DEF:3 MAT:10 MGR:2 CT:18


(HP=体力 MP=魔力内包量 ATK=攻撃力  DEF=防御力 MAT=魔法攻撃力 MGR=魔法対抗力 CT=魅力 みたいです。*SPD(速さ)とLUC(運)が消えてCTが増えていた)


 マルシカクちゃんが仲間になったとみなされて『状態』『装備』『魔法』にマルシカクちゃんの項目が追加されていたのにはついついニヤけて眺めちゃった。

 ・・・私の年齢は二十歳じゃ無くなっていたのには大変驚きました

 説明によると*の〝不老〟と〝不死〟は任意で変更出来るようなので不死だけ有効にしておいた(マルシカクちゃんの不老を今すぐ有効にしたくて葛藤した)

『不老

 年をとらない、老化の影響を受けない』

『不死

 状態『死』になっても7日経過で復活する』

 この旅の目的は特に無く自由にと書いてあり、元の世界に戻る方法は『シナリオクリア』で選択肢が出るらしいからそこは追々考えるつもりだよ(八割方は決めてあるけど)。


 とりあえず旅するにあたり、絶対不可避(抜け道除く)な『戦闘』には怖いけど備えないといけないのですよ!

「マルシカクちゃんはモンスターって知ってる?」

「うん!お外にはいっぱいいるんだよね!

 あぶないから行っちゃダメって」

「うん、えらいね♪」

「えへへ♪」

 危険は子供にもしっかり認知されているようだね。言いにくいけどこれからは一緒にいて欲しい、運べばいいのだけどマルシカクちゃんがいると勇気が出る

「私のわがままなんだけどね?

 いろんな村や町に行くのにマルシカクちゃんにも一緒にいてほしいんだ…」

「うん!いいよ! バシバシやっつけるんだよね!

 マルシカクもおてつだいするよ!」

 あれ!? 怖いと思うけどと言おうと思ってたらマルシカクちゃんからもの凄い勢いで遮ってきたよ!

「い、いいの? モンスターが襲ってくるんだよ?」

「うん!おねえちゃんのおてつだいが出来るなら何でもやりたいの!」

 か、かわいい!! 多分、理解してないけど頼もしい、笑う姿にぎゅっと抱き締めると「おねえちゃん音すごい」って言われた、うん、自分でも分かってる。


 昨日と違い村の様子は穏やかであった。昨日は黒い怪しい奴が来訪していたのでどこか警戒していたという。

「武器かぁ、(私、使ったこと無いんだよね…)何を買おうかな?

 マルシカクちゃんは何か使ったことある?」

 無いだろうけどこれから使っていくのだから希望があるなら叶えてあげたい

「小さなナイフならあるよ」

 意外な回答に驚いた

「な、何に使ったの?」

「皮むきだよ?」

 むしろ、それ以外に何に使うの?って感じで返されて苦笑いしか出てこない

「あー、じゃあ今度はマルシカクちゃんに剥いてもらおうかな?」

「うん、まかせて!」

 モンスターばかり考えてたから浮かばなかったよ、たしかにそれなら…って私料理で刃物を使う役さえやったことなかったなぁ。


 武器屋に入ると店の中は音一つ無く静かであって、やっているのか不安になった。

「スミマセンが…誰かいますか…?」

「おねえちゃん、持っていけばいいんだよ!」

 恐る恐る奥に向け呼んでみたらマルシカクちゃんは慣れしたんだように手近な物を取り奥の屋台っぽいところに向け指差して教えてくれる、どうやらここは買い物する物が決まったら出て来てくれるみたい

「わー…本当に色々あるね、見ても何なのか分からないよ」

 商品名も値段も書いてない剣やら槍やらいっぱい置いてあって、見ても分からないし持っていって高かったらって怖いよ… お金はあるから大丈夫だけどさ。 どれが〝鋼の剣〟なんだろう? この村の一番強い装備は分かっているからね。

「マルシカクちゃん、鋼の剣ってどれだか分かる?」

「んー、わかんない、ごめんね…」

 そうだよね、謝って一緒に探す。とりあえず剣を一本手に取って……お、重い!

「あははは… 鋼の剣はいいや、私は杖とかにしようかな?」

 ゲームと違って力が必要だったぁ、恥ずかしい! 状態にPOW?分からないけど力の項目入れといてよ(泣)、それなら予想したのに…

「つえ? おねえちゃんは魔法つかえるの?

 つえはそうりょさまのだよ?」

 多分、物語で僧侶様が使っていたのだろう。私も多分使える、『魔法』に書いてあったからね!

「使えると思うんだ、使いたいの!

 それに、マルシカクちゃんもね魔法使えると思うよ!」

 使えなくても〝杉の杖〟でATKが+2されるから無駄じゃない

「ほんと!マルシカクそうりょさまになれる?」

「・・・えっとね?マルシカクちゃんは僧侶様じゃなくて・・・魔法使い…様かなぁ?」

 回復系じゃなくて攻撃系ばかりだったから

「まほうつかいさま?、ってなぁに?」

 首をこてんっとかわいいよぉ! 魔法で戦う人はいなかったのか知らないみたいだね。

 マルシカクちゃんに教えてあげていると興味を持ったみたいで目を輝かしていた。

 勇者も何でも出来るけど魔法は少し弱い、故に仲間の僧侶に攻撃を貴重アイテムで後から覚えさせると魔法で属性攻撃がしやすくなったんだけどね。

 杖は全部色は薄茶色で太いの1種、細いの2種が何本もあるけど〝杉の杖〟〝火の杖〟〝木の杖〟がある、はずで順番に四番目の町、三番目の村、二番目の村で買える、よって〝杉の杖〟はこの村到着時にでは手が出ない価格だけど性能も高い

「(まぁ、この村の後に行く平原の後半で見つかるから、頑張ってお金貯めて買ったら損したんだよね…)」

 ということでATKが+2上がるのは杉の杖だけで間違いたくない

「おねえちゃん、これはかるいよ!」

「あ、ほんとだね。 火の杖か木の杖かな?」

 そうか、重さを感じるなら判断基準になるね。マルシカクちゃんが持った細いの以外のも持ってみると、もう一つの細いのが意外に重かった、次に太いので1番軽いのがマルシカクちゃんが持った物だった。

「これが一番いい〝杉の杖〟に間違いないね!」

「おねえちゃんすごい!」

 細く重いのが高いを持って宣言して、マルシカクちゃんにも持たしてみるとちょっと重そうで軽い方にせざるを得なかった。


「スミマセン、これ下さい」

「あー…客か…?」

 どういう仕組みか分からないけど奥の場所で呼ぶとベルの音が鳴って眠そうなおじさんが頭を掻きながらやってきた。 ・・・このおじさん、くさい…

「あー!おじさんまたおふろ入ってないでしょー! へんなにおいがする!」

「うげ…マルシカクちゃんか…何で武器屋(ここ)に? そちらの別嬪さんは?」

 べ、べっぴんさん!? てか、この人いつもくさいの!?

「まほうつかいになるの! おじさん、べっぴんさんって?」

「あー…綺麗な女性みたいな?」

 その言葉にマルシカクちゃんはピンッと反応すると私について永遠と語り出した、おじさんもその剣幕に引いてる

「ま、マルシカクちゃん、はやくしないと時間無くなっちゃうよ?」

「!!、そうだね!! これください!」

「お、おぅ… 〝火の杖〟と〝杉の杖〟だね…えっと…」

 私はちょっと待って待ったをかけた、マルシカクちゃんが選んだのが〝杉の杖〟で私が選んだのが〝火の杖〟だった

「や、やっぱり、火の杖はやめて杉の杖にします!」

 あはは、と杉の杖をもう1本持ってきて台に置いた、「え?どうした?」って感じで見られる、別に焦らないでよかったのにね…恥ずかしい!

「じゃあ、杉の杖二個で1600Gだ」

 や、安い? 1個980Gのはず… まぁゲームと違うのは当たり前か

 纏めて支払いマルシカクちゃんに渡すとすごく喜んでくれていつも通り抱き付いてきてくれて…私、大興奮です!

「おじさん、おふろ入ってね!」

「あー…さすがにいくか…」

 お客さんに影響無いのかな… 武器だから来る人が限られているのだろうけど

「めんどくさいなぁ…6日も7日も一緒だよなぁ…」

 体を綺麗にするのもあまりやって無いように見える中でそれだけ湯屋に入りにいって無いの!?

「すぐに行きなさい!」

「おぉ!? あぁ…そうだな…」

「おねえちゃんすごい!!」

 恥ずかしい! なんかここにきて喋る機会が増えて自然と喋れているかも。

 おじさんはすぐに店を閉めて湯屋に向かうらしい、マルシカクちゃんいわく、皆注意しているけど言うことは聞かないから私が一発で動かしたのが凄いみたい、なんとなく『CT』の影響もあるのかなと思ってる。これは説明にも魅力としか書いてないから分からないけどモテルような意味じゃないのは初日で分かってる。


 とりあえず杖は持ったまま防具屋に向かう

「そーりょさっまー?ふっふふーん♪ふーん♪ まほうつっかい♪マッルシカックー♪だよ♪」

 あ、今のフレーズなら魔法少女って言ってほしい。


・・・。

 商品一つ一つが大きく見た目がゴツいのが多いから武器屋より堅いお店に見える

 そっかぁ、ゲームでは性能だけだけど現実では着るからこう(・・)なるんだよね…やだなぁ…。

 『服』の防具は大きく分けて鎧系とマント系がある。 鎧系はDEF上がり重視、マント系は耐性上げ重視、DEFが欲しいけど見た目はマント系がいい

「・・・あれって反映しているかな…」

「どうしたの?」

 恥ずかしいからしたくないけど、もし出来たら良い物が買える、しかし出来なければ恥ずかしい上に不信感を買うだろう。

「やってみる… マルシカクちゃんのかわいい姿を見たい」

「マルシカクかわいい?」

「うん、かわいい、大好き!」

「マルシカクも!」

店の入口でそんなやり取りしていたら若いヤクザみたいな人が出て来た

「お客さん、もう少し静かにして欲しいものだな」

「!!?。ごめんなさい!!」

「あ、ああ、怖がらなくていいぞ!」

「!?」

 こ、怖い…足が震えて動けない… あ、マルシカクちゃん!

 マルシカクちゃんは男性の前に立つと杖を構えて彼の足を殴った、足首を押さえてしゃがんでいるからかなりダメージが入ったのだろう

「痛っ!?……何すんだ!」

「おねえちゃんだいじょーぶ!」

「う、うん、大丈夫、だけどマルシカクちゃん、殴っちゃダメだよ!オモチャじゃないから危ないの!」

 助けてくれようとしてくれるのは嬉しいけど、それは絶対いけない!

 あ、あれ?急に『ポーズ状態』に・・・

『罪無き人への攻撃では自動でATKが下がるようになりました *仲間にも適用されます』

 あ、ありがとうございます!! 本当にヤクザの人がギリギリに見えるから危なかったんだね… マルシカクちゃん攻撃系が高いから、LV.1でよかった… ちょっと落ち着くまで休む

・・・。

「ごめんなさい! おねえちゃん見て…

 うわぁー…」

「もう人に向けてやらないでね?」

「ぅ…ひ…うん!ごめんなさい!」

 猛反省してるマルシカクちゃんを屈んで胸に抱き締めてます、泣き止むまでこのままいるつもりです。 ヤクザのお兄さんには謝って謝ってリンゴと薬草と傷薬を5個ずつ出して渡すと苦笑いして、傷薬を飲んで薬草も嫌そうに飲むと立ち上がりリンゴを1個取って奥に帰っていきました。

 ヤクザのお兄さんへの恐怖はマルシカクちゃんの行動で無くなった、でも本当によかった…

「マルシカクちゃん大丈夫?」

「…ぅん、ごめんなさい…」

「反省したならいいよ、もうしないようにね?」

「うん…」

 繰り返し、もう落ち着いたようだから絶対にしないだろう。ぎゅーっと体も顔もくっ付いて怒って無いアピールしておく、嫌われたく無い、大好きだもん!

「きもちいいね、おねえちゃん」

「うん…最高…好き… あ、ごめんね」

「マルシカクも…好き」

「嬉しいなぁ」

 笑い合っていると中から呼ばれて、再び緊張しながら防具屋の中に入った

 店の奥に誘導されるとテーブルにお茶とお菓子と切ったリンゴも用意してくれていた

「俺が悪かった、顔も口も悪ぃからな 座ってくれ」

「なぐってごめんなさい」

「おめぇは悪く無い、優那(あんた)を守っただけだ、食べな、うめぇぞ」

 いい人だ、子供から罪を取り上げてくれたんだ、マルシカクちゃんも安心したようでゆっくり食べ始める。

「ん!おねえちゃん、これおいしいよ、はい!」

「ありがとう」

 わざわざ手に取って口に差し出してくるからそのまま口で受け取って食べる

「仲良しだな、それで防具買いにきたんか?」

 状況的にはそうでも組み合わせ的には微妙だろう

 あ、そうだ・・・言葉じゃダメかな

「はい、皮の盾、ヘビーアーマー、皮の盾、皮のブーツ、ライトアーマーを買おうかと」

「!? ちょっと待ってくれな・・・。よし!

 何色のだい?」

「赤色です」

「青じゃダメなんか?」

「緑なら」

「そうかい、そうかい、親父に聞いた通りだとはな、ちょっと待ってろ」

 いけた?いけた!ユニーク装備の合言葉

 これは、4周目の(・・・・)魔王城で手に入るメモに書いてある暗号、流れは・・


特定の順番で装備を買う→何色が欲しいか?に『赤『青』『緑』、から赤を選ぶ→青は?に『いい』『いや』『緑なら…』で緑ならを選ぶ


 となっていて、手順を踏むと主人の先代から受け継いだ装備を売ってくれるのだ。

「来てくれ」

 呼ばれた方に2人で行くと白と黄色のワンピースにかわいい小さいリボンがたくさん付いた服が2着、リボン柄の下着2枚ずつ(ゲーム×)、リボン柄の靴2足、リボンのシール2枚が並べられた。これは『リボン装備セット』で仲間の人数分買える。

「(勇者にはキツかったんじゃない…)」

 見た目に反映されないからよかったがこれ着てたらただの変態…

「かわいいね?これなぁに?」

「これはな親父から受け継いだ来たる時に売ってくれと託された〝リボンセット〟なんだ」

 『装備』は名前に入って無いんだ

「ほしい!おねえちゃんかわいいよね!」

「うん、欲しいなぁ。売ってくれるのですか?」

「あぁ、もちろんだ

 一式で5930Gになる」

 ここでもだ、これ11111Gだよ

「両方下さい」

「ありがてぇ、親父も喜んでいるだろう」

 一旦仕舞って、さっきのお茶の続きをして店を出た、見た目怖いけど良い人だったなぁ。


「ねぇ、布団とかってどこで買えるのか分かる?」

 お店っと三種類だけだったから、食べ物屋とか家具屋とかあるのかな? ゲームでは寝る場所は宿屋だし必要なアイテムはつくるから分からない

「んーとのね、おねえちゃん?」

「ん?」

「くろいおねえちゃんから買ってたよ」

 んー、ん?え?ええ!?まさか、あやしいマントの????さん!?

「あはは…、ご飯とか材料は分かるかな?」

「えっとね、おじさんが5日にいっかいくるからたくさん買うの!」

「・・・そっかぁ、ありがとう

 ご飯どうしよう…リンゴしかないよ」

 たしかに遊び方にはつくれるのは書いてあった、が料理台や鍛冶台といったものは四番目の町に行かないと売ってなかった、ピンチ?

「ごはんは宿でたべられるよ?」

 泊まらなくても食事は出来るんだ、よかった。布団はマルシカクちゃんのを譲ってくれないかな?

 うーん、やることは町に行くためのレベル上げが最優先か…。およその推奨レベルはLV.18である、装備入れてちょっとだけ厳しいかな、負けないけど。


 マルシカクちゃんと一緒に村の入口に行って許可をもらって2人とも『装備』から一瞬で着替えてみた。

「えぇ!ふくかわっちゃった! おねえちゃんも!かわいいね、えへへ♪」

「うん、マルシカクちゃんもすごくかわいいよ♪」

 かわいい(・・・・)服は恥ずかしかったけどお揃いは嬉しい、マルシカクちゃんがかわい過ぎて…と思っていたら下を捲られていて下着をじっくり見ていた

「にあうね!かわいい ・・・やわらかい」

 ぐるりと中で回りながら見ていたらお尻にピタッとくっ付いて頬ずりして生地(・・)を確かめてきた

「ん…ちょ、マルシカクちゃんそういうのは家でお願いします、お願いしたいです!」

「わかった、おうちでね! おねえちゃんもやっていいよ!」

 マジでしょうか!? マルシカクちゃん不用意な発言よくないから他の人には言わないでね?

 注意したら「おねえちゃんはおよめさんだから」と言われてドキッとさせられました。

 ちなみにシールは頭装備でほっぺたに小さいのが貼ってあります。

・・・。

 モンスターはどういう風に出てくるのか、説明には『歩いていると襲ってくる』と書いてあったからゲームに合わせている気がする、戦闘は『ターン制』だった、あり得ない事でちょっと信じていなかったり。

 村を出て(見張りはいない)周りを見回すと雄大で美麗な世界に目を奪われてしまった。ドット絵とは違う美しさ、自然を感じる透き通った空気を直に触れたことでとても実感が沸いてくる

「すごい…」

「うわぁ、ああ!」

 マルシカクちゃんも初めて出て興奮していて、言いつけが無かったら今にも駆け出してていそうだった。

 感動に浸ってたら下半身に寒気を感じた、あはは(泣)…家に寄ってくればよかった…

 歩き過ぎるとモンスターが来てしまうと思う、けど誰もいないからここでは……あ!!

「マルシカクちゃん、ちょっとお手…トイレ…したいから、そこ動かないで?」

「わかった!」

 隣のマルシカクちゃんに言うとジーっと見始めた、やっぱり見るつもりだ…。 すぐにあやしいマントをつけて携帯トイレを出した、「えー、みえない」とか聞こえるけど今は無視、ごめんね!

 巾着(・・)を広げた! ・・・マントの前が捲られた、マルシカクちゃんだ、笑ってる、かわいい、自分の顔が熱くなる、マルシカクちゃんもギリギリまで手を伸ばして上げて辛そうなのに…、やっと終わった…、???手を伸ばされた、「ちょーだい?」、!?、代わりに携帯トイレがマルシカクちゃんの下に、・・・はい、どうぞ(恥)、喜ぶマルシカクちゃんに複雑だけど癒された

 使用が終わったアイテムは放置すれば消えるらしい、薬の瓶だったりも飲んだらどこかに置いておけば一日で消えると書いてあった、携帯トイレも一緒。

「マルシカクちゃん…もしかして置いた携帯トイレ(それ)

「たからものだけど新しいのもらったからこうかんする」

「・・・かわいいなぁ」

 かわいさにいろいろ受け入れました、実際使った後はただの使えない巾着袋だからね、嗅いでないから分からないけどそのはずだよね!?

 ・・・マルシカクちゃんのも…な、なんでもないよ!?


・・・。 

 適当に村から少し離れた場所をウロウロとお喋りしながらデートしていると、邪魔にならない程度の半透明(戦闘)ウィンドウ画面が目の前に表示されたので緊張が走った。

「マルシカクちゃん!モンスターだよ!下がってて」

「ううん!おねえちゃんといっしょにいる!」

「分かったよ、無理しないで怖かったら下がってね?」

「うん!」


 事前にこの装備の強さは教えている。

 リボン(装備)セットは中盤のちょっと先くらいまでは余裕で使える性能であり、この辺りのモンスターならLV.1でもダメージが無いはずである!

 しかし、ひとつ懸念があり、それは『勇者』で無いこと、能力値でいえば初期値が2/3くらい(MPは除く)なので装備補正で余裕だけど…ちょっと怖い、死んじゃった時のこともマルシカクちゃんに話しておいたけど「おねえちゃんに付いていくからさみしくないよ!」と疑問は持たずに自分も死んで追ってくるという子供らしい発言をもらいました。その時になれば怖くなるだろうけど・・・。私はすごく怖いよぉ…マルシカクちゃんがいるから頑張れてるんだよ…今も巻き込んで嫌だけどそばにいてくれてありがとう!!


 遠くからシュタッシュタッとジグザグに跳ねながらやってきたのは2体の〝平原キツネ〟、見た目は2尾のキツネでお腹にこげ茶毛が混ざっている、この辺に出る中じゃ雑魚モンスター。

 目の前までくるとピタッと止まって臨戦態勢をとっている。

「ホントにターン制だ!?」

「おねえちゃん!?」

「ごめん、なんでもないよ

 言った通り、私といる時だけは順番だからね」

 マルシカクちゃんも杖を堂々と構えている、対して私は少し足が震えていた、止まらない…

「うん!おねえちゃん何したらいい?」

 今、私に見えている画面は、左側に私たちの名前が上下に分かれていてHPとMPが付いているのが見えている、右側には使える魔法と消費MPがそれぞれ表示されていた。

 『攻撃』『アイテム』『防御』『逃走』なんかがゲームではあったがそれは自分でやらなければならない。


「マルシカクちゃん、杖をキツネさんに向けて『ファイヤー』と言ってみて」

「どっちの?」

「右で」

 ターン制じゃなければずっと相手のターンで、ゲームのゲージが溜まった順からじゃなくてよかったと思う。

 マルシカクちゃんがわかった!と「ファイヤー!」となんのためらいなく言うと、杖の先から野球ボールくらいの火球が出てキツネさんにぶつかった。

「うわぁ!魔法?マルシカク、まほうつかいだ!」

「すごいね!魔法が本当に使えてる!」

 マルシカクちゃんのMPが82から79に減っている、相手のキツネさんはまだまだ元気そう、体力とか見えないのが分かりにくい。

「次は私の番だ! えーと、『攻撃アップ』!」

 マルシカクちゃんに向けて言うと(私だけに見える)矢印の上が表示された。

「おねえちゃん何したの?」

「マルシカクちゃんのAT…強くしたの」

「すごいね!」

・・・あ、やるなら最初だし、ATK上げても意味ない…

 マルシカクちゃんとハシャイでいたらキツネさんがマルシカクちゃんに近付き引っ掻いていた!

 きゃーっと叫んでマルシカクちゃんを見ると本人は私の叫びにビックリしてから何かきた?とそっちを見ていた。もう一体は私の方に向かってきてる!

 キツネさんは私の足首にカプリと噛みつく!

・・・痛くない…。HPも減ってない。

「倒せるか分からないけど余裕だ!」

「うん!」

 怖さは引っ込んで私が補助、マルシカクちゃんが攻撃をしていくと3周目でキツネさんが疲労して、5周目で倒れて消えた。 もう一体も4周で倒して消えていく。

「やったよ!マルシカクちゃん大丈夫?」

「うん!だいじょーぶ!モンスターたおした!」

『モンスターをやっつけた。『おいしいお肉』×4、『良質な獣の皮』×2を手に入れた。56G手に入れた。

 ユウナがLV.6になりました

 マルシカクがLV.6になりました』

 ドロップ率100%!? レベル上がり過ぎだよ?

 レベル差を考えて2人で分配しても2レベ上がるくらい・・・周回の引き継ぎだ!!、7周目の『経験値×4』が適用されてそう


ユウナLV.6:僧侶(女),15歳(*不老、不死)

HP:70 MP:300 ATK:8  DEF:11 MAT:8 MGR:10 CT:300


マルシカクLV.6:魔法使い(女),7歳(*不老、不死)

HP:55 MP:44 ATK:23  DEF:6 MAT:24 MGR:6 CT:28


 素の状態が2人とも上がっている、けど私のMPとCTの上がり方がすごい、なのに全体的に弱い、特に攻撃方面が残念すぎる…。 それにマルシカクちゃんの防御がちょっと怖い…装備を越えた相手が来たら…


 レベルアップでの全回復はゲームと同じで無いようなので今日はこれだけにして帰ることにしたのだった。

 ・・・血も傷も無い世界でよかったなぁ


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