カナカナの町 前編
カナカナの町の中心から外側へ7割くらいの場所にも外壁とは別に内壁で町を囲っていて、内壁と外壁の間は『貧民街』と呼ばれていたりする(カナカナの町の金持ち人の言参照)。
「と、思っていたけどかなり綺麗な町並」
町は整然としていて、ゲームでは無かった観光客向けのような飾り付いた屋台も見られる。
「静か…ですね」
ちょっと淋しそうにみのりさんが呟く
呼び込みもなければ町を歩く人も少ない、たまに通る人は疲れた顔をしていて活気が無い
「家を買いたいけどカナカナの町では誰に話をすればいいのかな?」
「だれかにきいてみよ?」
町長さんもその家も設定に無かったから分からない。王様にでも言わないといけないとか・・はないね。
門から一直線にしばらく進むと穴も堀も水も無いのに橋があってそこを渡ると『美しく気高い町(門番言参照)』に入れる光沢のある金ピカの門に続いている。
外壁の門(外門)から内壁の門(内門)までの間にお店が揃っていて、そこ以外では寂れた村と変わらないのであった。
食材屋さんに買い物ついでに尋ねてみることにして入ってみると並んでいる商品は『スパゲティ』ばっかり、あとは小麦粉とミルクだけで棚は埋まっている
「お客さん? 違う町から来たんかい?」
奥から出てきたのはハゲ頭の立派なお髭のおじ様だった。私たちを見て少し観察して言った
「はい、色々な場所を旅してます」
「そうかい…。なら、『スパゲティ』はこの町の名物だよ、いっぱい買ってくれ」
どこか芝居かかった売り込みで店主が乗り気でないのがわかる
「いくらですか?」
「一束150Gだよ」
・・・うん高い、ぼったくりだ。
「7個下さい、1050G」
「え…しょ、正気かい? 無理しちゃ駄目だよ、お嬢さん」
勧めておいてのこの言葉である、何か言われる前にお金を出したのに。
「もう7個下さい」
「・・・・安い買い物じゃないんだよ?お嬢さん」
心配そうに再び出したお金をまとめながら本気なのか尋ねてきた
「追加で7個欲しいです」
「そうか…お嬢さんたちは無理矢理誰かに…
ちょっと待っていてくれるかい」
店主さんは奥に行ってしまう
「おねえちゃん、ふく?」
「よく分かったね、偉いね♪」
「うん♪」「そうなのですか…?」
これは、1000G以上の買い物を連続三回行う条件である。 カナカナの町改善イベントまでは本当はこれ1種しか売っていなく、それが終わるまでに出来る。しかし、この情報が手に入るのは次の町の事。とある家の中「スパゲティが食べたい」と話すおじいさんがいて、4回目に話しかけた時に「3000Gあればのぉ」と言っているところから、これだけ売っていたここを連想できる。2周目は3000Gでやって成功! あってた!となり、3周目には実験的に失敗前提で1000Gずつでやっても成功したのだ。
「お待たせしたね
・・・旅をしているならきっと役に立つと思う、それにお嬢さんたちはとても可愛いから似合うと思う。役立ててくれ」
あ、まさかのタダだ!
「いいんですか?」
「ああ、どうせ持っていてももう着る娘も妻もいない。物は良いから旅をしているお嬢さんたちにな、たくさん買ってくれたしね♪ 遠慮しないでくれ」
箱を開けて見せてくれる、『妖精セット』だ、かわいい。 3枚入っていて大人用2セットと子供用1セット。妻と子供で、子供が大きくなった時用も用意していたそう、2人は〝内壁の中に盗られてしまった〟らしい。 ・・・うん。
みんなで御礼を言ってそれぞれ受け取ると店主さんも嬉しそうだ。その場で装備することも考えたけどやめる。
家の購入についてもきいたら不動産のように家を売っている場所があるから教えてくれたのだった。
・・・。
「あんたたちは外から来た人だね、旅人なら家は売れないよ」
お店では門前払いを受けました。定住しない者なら宿に行って金を落とせということだろう。
「どうする?」
抱っこしているマルシカクちゃんに問われてギュッとする、温かい。
言われた通り宿はあり金はあるから住む場所には困らないけど移動がすぐ出来ないのは困る。
基本、高い売り買い場所には内壁の中の人(予想)がいて、それ以外にはここの人たちがやっている感じがする。
「試しに中に行ってみます?」
「うん!ちっちゃい人もいるかな?」
「あー…覚えていたんだ、小さい人の説明は後でするね」
私は忘れてたけどキョーさんが言ってたことも記憶していたマルシカクちゃんにさっきみたいな人のことをいうんだってことは言いにくいなぁっと思うのだった。
・・・。
「ふーむ?」
内壁の門番の人に観察されていて少し嫌です。
門番の人に「暫く待っていろ」と言われるとその場所で待機させられる。
「なんでしょう…か…」
何だろうね、通行料(1人3000G)払って終了だと思ってたのに私たちを見るなり観察される、少し気味が悪い状態だった。
「もう少し待て!」
戻ってきたが何をするわけでなく待機させられる。
~およそ2時間後~
長いよ・・・本当に何も無い。 門番の人は仕事に戻ってるし気にもかけない。
マルシカクちゃんもみのりさんも疲れて何度も態勢を変えていたりしながら我慢している、動き回る何十倍も辛いよ。
・・・ガラガラガラ
「ハッ! お前たち来い!」
やっとお呼びがかかり門を抜けた前で門番の人の後ろで整列する。
人力車がやってきた、引いている人は走っていて大変そうだ。
「もういいぞ、どっか行け」
人力車から降りた男は引いて来た人に言ってこちらを見た、酷い…
「ご苦労、仕事に戻れ」
「ハッ!」
門番の人は男に言われて内壁の外側の方に戻っていった
「子連れとは聞いていたがお前の親はどこにいる」
「いえだよ?」
男がイラッとしてみのりさんがあわあわしている
「その家はどこだ!帰っていいぞ」
私はソッとマルシカクちゃんを抱える、全く怖がっていないのがすごい度胸だ。
「なんだ?」
「この子は私のお嫁さんです、どういう御用件でしょうか?」
マルシカクちゃんは嬉しそうにギュッとして反対に男は不愉快そうである。
「お嫁さん? お前はそんな幼子のお嫁さんというのか?」
「はい」
そんなことよりはやく用を言って欲しい、足が疲れているから
・・なんて思ってたら戦闘ウィンドウが表示される。男が手を上げた瞬間、たくさんの足音と共に左右の道から鎧を着た人たちがやってくる
「ひぇ!?」
「戦いだよ」
「うん!」「は、はうぃ!?」
状況が何一つ分からないけど襲われることだけは分かる、なんで町に来ただけでこうなっているんだろう…
「捕らえろ!傷はつけるな、あれは貰う! 子供はいらない!」
「「「ハッ!」」」
目的は私とみのりさん! マルシカクちゃんは要らないと、最悪そうなっちゃっても構わないと!
これはイベントでも何でもなくただの権力による犯罪だと理解した。
「マルシカクちゃん!大丈夫だから全体に雷!」
「わかった!ローリーサンダー!!」
悲鳴と共に気絶する面々、誰も残ってはいない・・・と思っていたら1人だけ膝を付いて立ち上がり『疲労』状態の人が息を切らしている
「みのりさん」
「はい! ホーリーレイ!」
『襲いかかる人たちをやっつけた。1017G手に入れた。』
マルシカクちゃんの攻撃に耐えきったのはすごいけど、2回も体験するくらいならはじめで倒れた方が楽だったんじゃないかな…
「何やってるんだ!」
今回の〝敵〟でなかった男は範囲外で無傷である。
私たちが男を見てると「クッ」っと言って歩いて去っていった。
「あの?」
「・・・お前たちを捕まえる」
決まりを守らずに入るのもあれなので門番の人に話しかける。
「何でですか?」
「これだけの人を殺めたからだ」
「あの人たちは殺しにきました、それに私たちは気絶させただけです」
「そんなわけ・・・」
あれだけの魔法を受けたんだからそれはあり得ないと門番の人が確認しにいく。
そこは対応してくれている、転がっている人たちは健常で生きていて目を回しているだけである。
向こうが悪いのに二段構えでどうあがいてもこちらの罪になる、しかもこちら側にもしもがあっても相手側は罪にならない最悪の状態だ。
門番の人が全員の確認を終えて思案顔で戻ってきた
「本来なら通行料が3000Gかかるが見逃してやる、だからこの事は黙っておけ」
堂々と言ってきたよ…、誰にも言う勇気なんて無いから言うつもりも無いけど…
「分かりました、ありがとうございます。
それで、家ってどこで買えますか?」
みのりさんが「いいのですか?」って感じで複雑そうだけどやられたところで大丈夫だし、スルーしましょう、マルシカクちゃんがいるのに面倒事は避けたい…
「家・・・いえって家…?」
門番の人がおかしい…
「フッ、家か、そうだな、ちょっと待ってろ」
馬鹿にしたような表情になると懐から紙とペンを出して丁寧にも地図と紹介状を書いてくれた。
見えてる通りを離れると道は入り組んで
いてそこを地図頼りに進んでいる。遠回りしているようにも感じるけどこの辺りは行き止まりが多くてこの道が最短ルートらしい。
「ここにいる人は皆様そうなのでしょうか…」
みのりさんはポツリと呟いて悲しそうにしていたけど少なくても半分はそうじゃないかな。
暗くなっちゃったけどお店やってるかといいな
・・・。
一部に椅子とテーブルの付いたスペースのある広場があったのでそこで野宿をすることになりました。
「はぁ!とっても綺麗ですね」
手入れが行き届いていて色とりどりのお花は道やそのスペースを囲い見る者を楽しませる。
「おねえちゃん!ここでいいと思うな?」
「そうだね、そうしよっか!」
町の中で野宿することになるなんてちょっとした経験だね。 今日のことはマルシカクちゃんも気にしてなさそうでよかった。 カナカナの町の意識や体制の改善は勇者一行がきたら起こるのかな? 私たちには何にも出来ないし何していいかも分からないよ。
《準備せずに眠ってはイケナイ》《装備を整えて就寝しよう》
「「!!」」
「ど、どうしましたか?」
寝る前に何か聞こえる、同時マルシカクちゃんもピクリとなって同じく周りを見ていた。
「準備?」「おねえちゃん!そうびととのえるだって、それでしゅうしん?するの」
マルシカクちゃんが少し意味が分からなかったのかの言葉を伝えてきて自分と同じ事が起こったのだとわかった。
「就寝は寝ることだよ。私もそのまま寝ちゃダメって聞こえたから、ちゃんと装備して寝ないとイケナイってことだね」
「ほへー、なにか来るのでしょうかね」
みのりさんも素直に信じている。
町の中だからモンスターは無いと思う。人…だよね…、門の時の男とかかな?
大まかな状態異常までカバー出来るリボンセットを2人に装備させる。私は今日貰った妖精セットにしておいた、これはHPが5%下がる代わりにMP、MGRが大きく上がり精神系異常(混乱、魅了、狂気など)を防ぐ。
「おねえちゃんかわいい!!」
「ユウナ様とてもお似合いです」
でも、見た目がヒラヒラしていてちょっと恥ずかしいよ、マルシカクちゃんが喜んでくれてるからいいけど絶対に後で着て欲しいなぁ。
~~~~~
場所は家の販売店の見える物陰、全身黒で覆った怪しい女がいた。女の〝収納〟の中にはナイフが入っていて姿を見られたら間違いなく捕まって処罰されるだろう。
「閉まってるね、明日にしないとね。
ひんみ・・・入り口の方で宿に行く?」
「はぃ…そうしましょうか…」
あの道を時間かけて帰るとなると真っ暗になってしまうだろう。・・・それが女の狙いである。
「さっきあったおはなのところ!」
・・ん?
「あー、遠くからでしたがありましたね」
「行ってみよっか?」
「うん」「はい」
・・・こんな夜に? あの道でお花と言えば・・・どこだ?
女の記憶にあの3人が話している場所に該当するものが無い。すぐに行動せずに付いて行って様子見した方が良いと判断する。
場所は店からそう遠くはなかった。道からはちょっと低い塀の先のさらに低い塀の先に辛うじて見える場所。その位置を頼りに進んでいる。
(この場所の塀、それに先の塀だけ、あんなに見通せただろうか…)
女もそんな場所があったなんて知らないがたしかに見える、と先の先の場所でその広場に入っていく3人を遠くで観察している。
落ち着いている様子なので自分も近くへ慎重に移動、花がいっぱいだ。
一人が子供を抱っこしてもう一人がそれをニヤニヤ見てたりが続く。何を見せられているんだろうか…。
食事が先導者っぽい女から出てきて食べているので今日はそこで野宿のだろう。
謎の変なマントの中でごそごそと何回かしていたそれ以外は楽しんでいるようで寝る準備をしていた。
!?
服装がかわいいのに変わった。3人の誰かは特技持ちかと警戒する。
しかし、それだけ杞憂だったと考え、おやすみセットを出していた。
「(あれも・・)」
見た目からおやすみセットだけど大きいのは初めて見た、他の町で売っているのか?
女と子供が特にハシャイでいたけど、さぁ、そろそろお仕事だね!
~~~~~~
辺りも静かな夜、戦闘ウィンドウが開かれたが誰も気づかない。
「・・・パラライズ、こんな小さい子か…。
ごめんね!」
マルシカクちゃんの胸へナイフが突き立てられる。
「!?切れない! く、一旦…かえ・・・れない?」
暗殺者の思いとは裏腹に足が鉛のように重い
「ん~…?おねえちゃん…」
マルシカクちゃんが衝撃で目を覚ましてユウナの寝相かと思ったけど目の前でナイフを構えている人を見て、来るかもしれなかった者だと理解する
「だぁれ? おそってきた人?」
「なんで、話せる!?」
「え?」
マルシカクちゃんは言われた意味が分からないが暗殺者は魔法が効いていないことに驚いている
「コンヒューズ!」
暗殺者は続けて混乱させる魔法を使おうとしたけど言葉だけで発動はしなかった
「いまはマルシカクの番なんだよ?」
「何言ってるの?」
「にゃ、なんでしょうか!?」
話し声で起きてきたみのりさんにもう無理だと去ろうとする
「ウッ! 何で動けない!? コンヒューズ!!」
暗殺者はみのりさんにも麻痺は効いてない様子なので近付いてこられてこれはもう駄目だと悟る
「ひぇ!? ゆ、ユウナ様を!?」
「ううん、マルシカクみたい。 今ね、マルシカクのじゅんばんだよ」
「ふぇ!?」
マルシカクちゃんの落ち着き方が凄い。みのりさんは暗殺者への恐怖とマルシカク様が殺されかけた恐怖でわけがわからくなっていたのにと尊敬する。
暗殺者は諦めて情報を漏らさないように黙ることに決めた。
「と、とりあえず、ユウナ様を起こしましょう」
「はーい!」
・・・。
ぜ、全然気が付かなかった…
「ごめんね!」
「だいじょーぶだったよ!」
マルシカクちゃんが襲われてて起きられなかったなんて! うん、ごめん…犯人放置で暫くギュッとした。
と言うわけでマルシカクちゃんに気絶させるように頼んだらギガサンダーで一発でした
「あれ? この人、最後の仲間の・・」
気絶する時に頭の黒頭巾が脱げていたのだけど、その顔が最後に勇者の仲間に出来る『一般民』だった(優那は知らないが隠しキャラ)。
だから精神意識がある程度普通でのマルシカクちゃんとの戦闘だった、可哀想である。
次の朝、起きると彼女は逃げずに暇そうに立っていた。あれから、みのりさんが使ったおやすみセットに詰めていた、そのままいなくなってるかと思っていたからびっくりだ。
マルシカクちゃんも起きていて私にしがみ付いていたので顔を合わせチュッとした、えへへ♪ 毎日の習慣だけで一日の幸せを補充できる
そんな様子を幸せそうな表情と無表情で見つめる顔が2つあった。 用意してある多めに濡らしたタオルで自分とマルシカクちゃんの顔を拭きながら考える。
「えっと、逃げなかったのですか?」
名前を聞こうか、どこへでも行かせようとするか色々悩んだけどとりあえずここにいることを尋ねよう。
「・・・、逃げても死ぬ、戻ってもまたココに来ることになるからね。
なら、ここで処分される」
う、わぁ…。抵抗も逃亡も無駄だと人生を諦めている…。みんな絶句状態。 この娘はどんなものを積み込まれたの!
「おねえちゃん!」
マルシカクちゃん、うん、いいけど・・
「マルシカクちゃんは気にしてないの?」
「うん!およめさんがとなりにいたから」
ギュッとしちゃう! みのりさんを見るとニコリとしている。
「あの、『仲間』になりませんか? 旅人ですけど、あなたの行動は縛りませんから」
「・・・」
すると、彼女はスッとナイフを出して柄を逆さまにして両手で持とうとする。
「!?、コントローラー!!」
「ごめ・・・」
ポーズ!!
マルシカクちゃんを見ている、刃先は彼女の胸に向いてちょっとだけ移動していた。・・・自害…。私、よく動けた!!
『襲撃者の『装備』を一時的に変更出来るようにします』
ありがとう! 早速、それなりにDFEが上がり1回ダメージ無効のギャルセットに変更してポーズを解除
「・・・んね、!?」
ナイフが刺さる直前で何かに阻まれ弾かれ落として変化に動揺している。マルシカクちゃんは走り近付き彼女にしがみ付いた、みのりさんは・・・反応してない!?
「マルシカク、気にしてないから」
しばしそのまま時が過ぎる、マルシカクちゃん私にもお願い
「・・・ありがとう」
彼女はひと言お礼を言うとマルシカクちゃんの手を解きしゃがんでナイフで襲ったことを謝った
「『仲間』って何、かな?」
ここで私は間違っていたことに気付いた。 そもそも『仲間』じゃなくても信頼さえしてもらえればよかったのだった。 今のようなゲームとは関係無い現実的場面の時にゲーム感覚が抜けないのはやばいなぁ…
「仲間は・・・仲良く友達になりましょう、みたいな?かな」
「友達・・・いいの? 危ないよ?」
もちろんなのでみんな頷いた
「ありがとう、なるべく頑張るからね!
よろしくお願いします」
なんか急に子供っぽくなった気がする。内容は狙われるかもと物騒だけど好印象?
「何でマルシカクちゃんを? あ、お名前は?」
「あ、はい、名は〝1000〟見ての通りメタルリング家に専属で雇われている殺し屋なの」
センでいいよね!?
「100、0さんはいつから殺し屋をやってたの?」
これだけはなんでも訊いておきたい。 1000さんはちょっと顔を暗くして答える
「7歳の時にお父さんから話されてメタルリング家にお母さんと入ってから…ずっと教えてもらってちょっと経ってから…」
ちょっと遅いけど小さい時から教育洗脳させられていたんだ、記憶もしっかりしてるし意識も意思も自分っぽいから話してくれる。
1000さんの話は続く
「今日で3回目の仕事なんだけどまた失敗しちゃった」
手際よかったみたいだから場数をこなしていたと思ってたけど素人だった。
そのまま〝お仕事〟の語りが続く、マルシカクちゃんに悪影響が出なきゃいいと思いながら聞いていたけど|マルシカクちゃんなら大丈夫と謎の安心感がある。
1000さんの1回目は標的にバレた、2回目は躊躇して逃げたらしい。何度も怒られて今回は覚悟を決めて臨んだと、相手が悪かったね・・・よかった?
1000さんが良い人そうでよかった、好き好んでやってたわけでも手を汚していたわけでもなかった!
「それに、「急にあんなにでかくなって可愛くねぇなぁ」って、「役立たず」とかずっと言われててちょっと悲しかったから…、出られるなら嬉しい!!
でも、お母さんも・・・」
1000さんの話は終わりのよう、扱いもひどかったみたいで助けたいって思うとマルシカクちゃんも寄ってきた、同じだね!
「お母さんとは会えたりするの?」
「・・・「仕事が成功したら会わせてやる」って」
あー、絶対無理なセリフっぽい
「お母さんの居場所は知ってる?」
1000さんは首を横に振った。知らないかぁ…、いい方法ないかな
「おねえちゃん、いくよね?」
盗賊の時とやることは一緒みたい、町に居れなくなってもカナカナの町から離れちゃえば関係無いから大丈夫か。
「みのりさんも大丈夫?」
「はい、大丈夫でしゅ!」
いつの間にか大事になってしまいました。