表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
スターチスを届けて  作者: 田古 みゆう


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

89/102

17.4月1日 (2) p.2

 しばらくすれば大人たちも来るだろうと、ワイワイと本日の感想を言い合いながらいつもの花壇前まで来ると、そこには先客がおり思わず足を止めた。学校指定のジャージに軍手とジョウロを手にしたその先客は、緑の絨毯が広がる花壇をじっくりと観察している。ジャージの色からして、高等部の生徒のようだ。


 その顔に見覚えのあった浩志は、記憶を探るように首を傾げる。彼が自身の記憶を辿っている間に、せつなは親しげな声をあげながら先客へ駆け寄った。


「センパイ。来てたんだ」


 せつなの声に振り向いたその先客は、いつだったか、浩志を強引に園芸部に誘ったあの女子生徒だった。


「ああ。せつなちゃん。こんにちは。あなたのスターチスに水をあげていたところだよ」

「いつもありがとう」


 せつなとその女子生徒は、親しげに言葉を交わす。その様子を不思議に思った優は、小声で浩志に問いかけた。


「ねぇ、あの人。せつなさんと話してるよ。せつなさんが見えているってことだよね? 他の人には見えないはずなのにどうして?」

「さぁ? でも、前に会った時も普通に話してたぞ。確か」

「えっ? 成瀬、あの人のこと知ってるの?」

「ああ、高等部の園芸部の人。知ってるって言うか、前にここで会ったことが」


 浩志は自身の言葉に目を見張る。


「なぁ。あの人が、せつなが前に言ってた天使なんじゃないか?」


 浩志がポロリと溢した言葉に、優が目を丸くする。浩志自身も驚きのあまり、目と口をポカリと開けて固まった。その場で固まる浩志たちをせつなは振り返り、手を振って呼ぶ。


「優ちゃーん。成瀬くーん。早くー。センパイが、水やりしてくれたってー」


 そんな声に引っ張られるように、二人はぎこちない足取りでせつなの元へと歩み寄った。そばに来た二人に、上級生は笑顔を向ける。


「あら、きみは確か前にも会ったよね? 園芸部のこと考えてくれた?」

「……いえ、俺は」


 得体の知れなさからか距離を取る浩志に上級生は苦笑いを浮かべつつ、今度は優に声をかける。


「あなたは、はじめましてよね?」


 いつもは物おじしない優も、何も言葉を発せずただコクリと頷いただけだった。


「私は園芸部員で、たまにここのお手入れをしてるんだ。怪しい者じゃないからそんなに警戒しないで」


 二人の態度を気にした様子もなく、上級生はコロコロと笑いながらせつなへ視線を戻す。


「それで? もしかして、何か進展があった?」

「すごい! さすがはセンパイ。やっぱりわかるんですね」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ