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スターチスを届けて  作者: 田古 みゆう


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81/102

16.4月1日 (1) p.5

 優は寂しそうに顔を曇らせる。しかし、当の本人であるせつなは案外あっけらかんとしていた。


「成瀬くん絶賛の優ちゃん特製唐揚げが食べられないのは残念だけど、でも、十分楽しいから。そんな顔しないで。ね、優ちゃん」

「……ん。そうね」

「なんだぁ。せつな食べられないのか? じゃ、俺がせつなの分まで代わりに食べてやるよ」

「あはは。成瀬くん。ありがとう! せっかくの優ちゃんのお手製なんだから、唐揚げ以外も残さず食べてよ」

「おう! 任せろ」


 浩志の能天気な返しに、せつなは大いに笑う。そんな二人のやり取りに優は救われた。食べ物なんかよりも、その場を楽しむこと。それがせつなにとって一番良いと気持ちを切り替えると、彼女も食べ物へと手を伸ばす。


「ちょっと、成瀬。私は食べるんだから、全部は取らないでよ!」


 そんな感じで、それぞれのテーブルでもワイワイと盛り上がりを見せていると、司会の声が次の予定を告げる。どうやら次は結婚式ではお馴染みの「初めての共同作業」企画のようだ。


「お! ケーキが食べられるのか?」


 司会の進行に浩志が感心したように声を上げると、パーティーの内容を知っている優は苦笑いを浮かべた。


「全く。食い意地が張ってるんだから。そんなわけないでしょ。このパーティーに予算なんてほとんどないんだから。ケーキなんて用意できるわけないでしょ」

「じゃあ、何するんだよ」


 浩志が不思議がっている間に、マイクを通して司会が参加希望の生徒を舞台下へと呼び集める。


「二人とも行こう!」


 優に促され、二人は他の生徒と一緒に舞台下へと繰り出した。


 主役である新郎新婦が、次は何が始まるのかと興味津々にことの成り行きを見守っている中、参加人数が粗方集まったと判断した司会の進行で、綺麗にラッピングされた藤の籠が係の生徒の手によって新郎新婦の前に置かれた。そして、係の生徒はポケットからリボンを結んだハサミを取り出し、新婦蒼井へ手渡す。次の企画を理解した新郎新婦は目配せをし合い、ハサミを持つ新婦蒼井の手に、新郎正人がそっと手を添えた。


 それを確認した司会者は、声高にカウントダウンをとり、そのカウントに合わせて舞台上の二人はラッピングにハサミを入れた。ラッピングがハラリと捲れると、中からは籠いっぱいに詰められたお菓子が現れた。蒼井はその籠を手に、正人と舞台の端ギリギリまで進み出る。どうやら、どこかの地方で結婚祝いに行われている菓子撒きを行うようだ。

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