初恋というもの【一人で詩の連作企画④】
あなただけ
こんなにも好きになったひと
あなただけ
こんなにも嫌いになったひと
↓ すき
あなたのことが好きだよ、好きだよ
言っても言っても言い足りない
こうやってひとつずつ、少しずつ
あなたに甘い釘を刺すの
↓ あまい
甘くて甘くてたまらない
そのくちびるに触れさせて
微かな微かなその吐息
このくちびるに奪わせて
↓ くちびる
かぶさるように降りてくる
その瞳の黒に見惚れてしまったんだ
思わず動きを止めた瞬間
君に口唇を奪われた
↓ ひとみ
なんて身勝手なんだろう
君を傷付けてしか満たされない僕
それでも君は
穢れを知らぬ瞳で僕を視るんだ
↓ けがれ
私にとっての唯一の救いは
君が穢れを知らぬこと
私にとっての最大の不幸は
君を穢すことしか知らぬこと
↓ すくい
救いを求めて逃れた先には
孤独という名の鳥籠があった
私はそこでひとり座って
あなたが迎えに来るのを待つの
↓ ひとり
息が詰まりそうな
そんなちっぽけな哀しい世界で
君はたったひとり
自分の色を抱えながら唄うんだ
↓ いろ
ねぇ、君に出逢ってから
私は染め上げられてしまったんだ
それはただ熱く深く
圧倒的存在の君色に
↓ そんざい
自分を貫くことがなかった
諦めることしか知らなくて
君という存在に逢ったその日
譲れないものが初めて生まれたんだ
最後までお読み頂きありがとうございました。
vol.04のこちらは、期せずして初恋や恋の始まりを描いた作品群となりました。のめり込みすぎて、少しあぶなっかしいようなそんな若き日の情熱が伝わればと思います。
ひとつでもあなたの心に響く作品があれば光栄です。