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パープルタウンの人々  作者: むらさき毒きのこ原作 秋の桜子著
6/10

パープルタウンの夜の清掃活動

 各店も営業を終えようとしている時間。パープルタウンの商店街に、ハニー氏の歌声がゆったりと響き渡る。


 その歌声を聞くと、なぜだかポツリポツリと残っていたお客も家へとむかう、そして家の中では静かな眠りが広がっていた。


 ハニー氏の持つ『言霊』の歌声、ターゲット以外はこの場から退場してもらう。今から始まる夜の清掃活動の為に……

 

 ×××××


 ガランとした商店街、黒の上下を着こんだ者が一人、自転車に乗り疾走している。最終確認が始まる。


『古城ロック』氏の持つ風を使っての情報収集能力、何処か高い場所から、移動しなくても集められるが、


 彼は自身で空を切り走ることによって生まれる、疾走の風を使うのを好んでいた。


 彼が移動しながら集めた情報が、あの特殊なメモリーカードに蓄積される。


 ……「新しい情報が、送られてきた」


 商店街のある場所で、集まる面々、ふきのとう氏はその情報を宙にスクリーンを構築すると、映像化する。彼の持つ能力だ。


「各ブロックに四人、三ブロックだから総勢12名か、清掃対象」


「ブロックから出ない様に、(まお)さん実体化させたの配置しない?」


 そう提案するのは『ファッションデザイナー かませ』氏、平面に自身が描いた物を具現化させる能力がある。


 さらさらと『神谷ネコ丸』氏を描くと、具現化させ持ち場に行くよう命じた。


 さぁ。これで準備は整ったな。リーダーの海村氏は、リーリエに今回の行動部隊に何時ものをと声をかけた。


「了解」


『下茂塚ユリ』ことリーリエは皆に『サイレント』の魔法をかける。これで皆は行動に伴う際の音はしない。


「さっ、それでは行ってくる。後は頼んだよ」


 海村氏が、立ち上がり、身なりを整えると、ここに残りサポートをする、


 ふきのとう氏、かませ氏、ハニー氏に、終わったら飲もうな、と言うと行動部隊と共にそこを後にした


 ×××××


 黒いスーツの男達が密かに集結している。そして、フェイクのターゲットを追いかけ、策にはまる。上手く割り振りされたところで、楽しい清掃作業の開始


 この作業には、二人で当たる。獲物をヤる狩人、それを痕跡残さず消し去る清掃員、このコンビだ。


 先ずは、第一ブロック『居酒屋経営並びに板前鳴海氏』『イラストレーター海村氏』の持ち場。


 鳴海氏は、カードを使う、特殊な素材のそれはナイフの切れ味に勝るとも劣らない、


 的確に急所を狙い、カードを投げ駆逐していく。それを鳴海氏が、銀に光る柳葉包丁を構えると、さく、スパン、と複数回瞬時に切り裂き、物質を細分化、粒子と消し去る。


 跡には何も残らない。


 ……次は『『焼き肉店、レッドウルフ経営の赤井氏』『ぬいぐるみ作家今野氏』こちらの戦闘方法は少し特殊だ。


 先ずは、赤井氏が格闘技で敵の動きを封じ込め、次に今野氏が『物質の構造変換』能力で、人間を、もふもふぬいぐるみ素材に変換。


 それを赤井氏が放つ『闘士の炎』で高温で焼き散らす。


 跡には何も残らない。


 最後に、神谷ネコ丸氏、ユリご夫妻、こちらの夫婦、妻はスナイパー、夫は『悪食のスライム、スーちゃん』のテイマーである。


 おそらく世界広しと言えど、このスーちゃんを使役できるのは、彼しか居ない。このスーちゃん、ぷよぷよスライムなのだが『危険生物』のランキング第一位、恐ろしい生物なのだ。


 しかし神谷ネコ丸氏は、上手く手なづけると自身の放つオーラを時に『スーちゃん』に食べてもらうことで、制御下に置き、普通の生活を手に入れた。


 普段は家の地下室で、のほほーんと生活している、悪食のスライム。彼しか近寄れない、ぷよぷよスライム


 ちなみにこのスーちゃん、ふきのとう氏が『異世界ジャングル』で、現地人から仕入れて来た、人も魔物も何でも食べる、強欲な性質の生物。


 本来、人間が飼うこと等出来ないのだが『スーちゃん』女の子なので、そこの問題はクリアしている。


 ただ『生きている者の味』を覚えさしたら、自身がご飯にされるので、必ず殺ってから、与える様にしていた。


 敵が二人を見つける。リーリエが両の手にしている、拳銃から音もなく火を放ち実弾を発射する。


 ざっ、ざっ、ざっ!男達が急所を一発で撃ち込まれ、倒れて行く、けっして外す事などない元その道のトップ。


 それを猫氏が命じた、スーちゃんが美味しく食せば……


 跡には何も残らない。これにてパープルタウン夜の清掃活動は、終了となる。



×××××


 ……空が白々と空けてくる。それを二人で眺めながら、直ぐに帰ってカフェ開けなきゃと、一仕事終えたリーリエが呟く。


 そんなに彼女を背後から抱きすくめると、猫氏は甘く彼女に囁く。


「今日ぐらい、モーニングをお休みしてもいいよ」


 今から家に帰って、二人でゆっくりシャワーを浴びてさ、それからご飯にして……と早朝で人通りもない時間帯なので、イチャついていると、


「それから、2回戦してから、お店開けるんやね?ふふーん」


 不意に背後から、小悪魔の声がした。ゆっくり声の方向を見下ろす猫氏。


「め!メモリーちゃん!何でこんなに早くいるの?」


「私、美容と健康の為にジョギングしてる」


 にっこりと笑いながら、そこに立つのは、メモリーB、リーリエさんのモーニング食べて帰ろうと思ってたのに、仕方ないと文句を言っている。


「仕方ない、マシュゥのママの処で食べる、では、ラブラブお二人さん、さよおなら」


 彼女は深々と一礼すると、たったったっ、と

軽やかに傍らを駆け抜けて行く。その様子に何やら察知したリーリエが声をかけた。


「メモリーちゃん、待って、あのね、桜さんになんて言うの?私のお店が、閉まっている事を……」


 その声に振り替えるメモリーB、彼女は朝日を背に受け、綺羅に髪を輝かせながら、丁寧に答えた。


「猫さんと、リーリエさんは『ゆっくり』と『二人でシャワー』を浴びてから、2回戦に雪崩れ込んでお店はランチからぁー!て言うの」


 ではさよおならー、と彼女は全力ダッシュで駆け出した。


「ま、待ってー!メモリーちゃん!私のお店でご飯食べてー!」


 と追いかけるリーリエ、猫も参戦する。


「メモリーちゃん、メモリーちゃん!何でも好きなの作るから、待ってー!」


 夫婦揃って彼女を追う、小悪魔メモリーBはマシュゥに教えなきゃー!とそれを振り切る様にスピードを上げる


「まってぇー!メモリーちゃん、いかないでぇ!」



 パープルタウンの平和な1日が始まる。










 









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