最後もこうなる
原作者、むらさき毒きのこ先生様々、ありがとうございました。
チャンリコレースも終わり翌日の早朝、きのこ少年はある場所に向かって急いでいた。
行き先は、朝なので『カフェ 冬の子猫』ラブラブ夫婦のお店である。
今はまだ開店前、今はモーニングの仕込みの時間。そんな時間に少年が向かうのには、重大な理由があったからだ。
「着いたぁー!おはよ!……ぐぅ?」
きのこ少年が店のドアを挨拶と共に開けようとした瞬間、強引に後ろから口を塞がれた。
「いきなり開けてはアカン こういう時間帯は 窓から こっそりとのぞくのが セオリー」
そう声をかけてきたのは、ジョギング中の小悪魔少女 メモリーB、
そして彼を引きずる様に、窓の下に連れて行くと、そこから店内を覗く少女。それにつられる少年。
「わぁ、何でリーリエさんの背後に、猫さんがぴったりといるの、包丁使いにくいと思う」
「あれが、良いらしい、イチャイチャと言う」
「ふーん、何か手が汚れたみたい、あれ?何で猫さんが手をとるの」
「猫さんが 洗うのだ、しかも水不要」
どつやって!ときのこ少年、それは見てたらわかるとメモリーB、身を乗り出す少年
しかし、その視線を察知し、猫氏が彼等に気がついた。
×××××
「君たちは、朝っぱら何をしているのかな?」
私はジョギング途中、朝ごはんにきたの、僕はお母さんのお使いなの、とホットミルクを出してもらって、それを飲みながら答える二人。
「お使いって何?きのこ君」
「うん、昨日ね、お父さんのお友達が『駅』で暴れてね、スーちゃんに食べてもらいたいのがあるって、お母さん言ってるの」
僕は見てないけれど、お母さん一人じゃ『綺麗さっぱりに』出来ないわぁって、言ってるのと無邪気に言葉を足す少年。
どうやらコスモスでは、あの後乱闘があったらしい。駅へと向かったアイアンを追いかけた賭場のお客を、彼が返り討ちにしたようだ。
「……わかった。スーちゃん連れて今から直ぐ行くよ、きのこ君は、ここでご飯にしとくといいよ」
事情を察知した猫氏は、きのこ君も大変だなぁと呟きながら、スーちゃんを迎えに地下へと向かう。
「昨日のレースご苦労様、そうそう、きのこ君、ちょっと前から、劇の練習してるのよね、進んでる?」
プレートにのせられた、モーニングを運んで来たリーリエが二人に聞く。ふきのとうさんも見たいなぁって言ってたけど……それよりも『駅』大丈夫?
「うん、でもメモリーちゃんが、昨日の夜に役代わるって言って、大変なの、駅は大丈夫だって、大体バラしたって言ってるから、スーちゃんに食べてもらいたいんだって、何か大きいのは、お父さんが運んで棄てるって持っていった、て聞いてる」
「何?何棄てる?話からすると、死体………」
無邪気に説明する彼の言葉に、メモリーBが鋭く突っ込むのを、リーリエが、さぁスコーンが温かい内に食べて、食べてと遮った。
×××××
橋本神父は悩んでいた。後数日で本番と言うときに、重要な役どころの少女が、キャストの変更を求めて来たからだ。
――果てさて……今から他のお子達に、急ピッチで、練習させるのは負担がかかるし、仕方ないここは、私が人肌脱ぐか……
彼が持つ必殺技を使い、乗り切る事にしたらしい。仕方ない、と言いながらも何処か嬉しげな彼だった。
×××××
「ところで、昨日のレース、どっちが勝った事になったの」
朝食を口に運ぶ二人を満足そうに見ながら、リーリエが聞いた。私と猫さん居合わせて無かったから……じゃんけん勝負にもつれ込んだのよねと聞く。
昨日の勝負は二人は棄権と見なされ、とりあえず決着は、じゃんけん勝負となったのだ。
その問いかけに嬉しげなきのこ少年、ふてくされるメモリーB、その対象的な表情で答えは明白だった。
「きのこって呼んで、メモリーちゃん」
少年の呼びかけに、そっぽを向く
「……とりあえず、マシュウとはいわへん、約束したもん」
「そうだよ、マシュウじゃないからね!」
ご機嫌な少年、不服そうな少女、そして彼女は持てる知識全ての力を使い、この先の対策を練っていたことは、彼は知らない……
×××××
――教会で、街の皆があつまる。今日は劇の本番の日、途中で役柄変更があった為に、
橋本神父が『奇跡の力』を発動し『美少女 レイ』の役どころを努めていた。
そしてメモリーBは、ある目的のために、その役をしていた、とある少年を彼女の持つ『魅惑』で虜にし、見事役をぶんどり舞台に立っている
そしてきのこ少年は、もちろん主人公『ナツ』
ストーリーは進む、皆がいっしんに見守る中で……
――壊れた本棚。悲し気な少年。その、人生に向かって、ナツは飛び込んだ。
「Bさん。作家はケンカばかりしてるし、小説が好きじゃない人だっている。世界は喧騒にあふれていて、汚い事もあれば、美しいものも存在する。全てを記憶するのは、無理なんだよ。少しづつでいいんだ。たった一部でも。狭い世界でも、いいんだよ。本なら、買ってやるよ。きのこが100万円当てたら、いくらでも」ナツは、軽口を叩いた。
「ばっきゃろ。ぶっとば!」少年が、中指を立ててナツを睨む。笑いながら。
と終わる、終わるところなのだが少年扮するメモリーBは、ニヤリと笑うと最後のセリフを変えてきた。
「ばっきゃろ。ぶっとば!ポルチーニ!」
「は?え?そんなセリフない!ポルチーニって何?」
役に成りきり、アドリブに対応出来なかった、きのこ少年は思わず目の前の『彼』に聞く。
じゃんけんで負けたのが、よほど悔しかったのか、彼女はどうでも他の名前で呼ぶ計画を考えていたのだ。
そして、勝負を途中で切り上げた大人の都合に、不服だった彼女はきのこ少年を、可愛がっている大人達に、プチ復讐がてらこの場を利用している。
「きのこの名前、嫌ならトリュフ、エリンギ、それでも嫌なら、漢字で『茸』と書いて『たけ』と呼ぶ」
メモリーBちゃん、そんなにじゃんけんで負けたのが悔しかったの……と見守る観客達。
最後迄、決着をつけさせておけば良かった、大人の『早く切り上げよう』あの時『大人がめんどくさい』と思った事がこういう事になるとは……
きのこ君許してくれと、悪い事をしてまって、と大人達は、後悔をしつつ、不謹慎だが密かに笑いをこらえながら、彼等に目を向けていた。
「どれにする?さあ!選べ、特別に選ばしてやるわ!」
「選べ?選べへんもん!あカーン!メモリーちゃん、僕はきのこなのー!」
ビミョーなる関西弁が、少年に乗り移りつつあった……
「終わり」
キャストの皆様、好き勝手しましてすみません。ありがとうございました。




