25.歪すぎたキッカケとその先に見えた画面
今日は珍しい事が起こった
とうとう寂しさに感けてメッセージを送ったら思っていたより早く返ってきたのだ。
しかも時間も空いているのか返事も早い。
ああだこうだ話すのではなく「会いたかった」だとか「最近はどうしてる?」と言った話だけ。
だとしても彼女と連絡が取れるだけで杏癒にとっては幸せだったのだが、ある一言が影を射す。
『そう言えば最近おかしいんだ』
何が?と一瞬思うも、つい最近起こった出来事を思い返せば心辺りは1つだけあった。
まさかと思い、早速こう切り返す。
『もしかして随分前に言ってた告白された件について?』
きっとそうだろうと確信していた中で返って来た返事は予想外な返答であった。
『さぁ?でも最近その子がしつこいんだよね』
「……」
杏癒はパソコンを開いてそのSNSへとアクセスして婚約者のページへと飛んでは呟く。
「……やっぱりそうか」
そう呟き、携帯を取ってはピッピ、と返信を打ち込む。
『あんまりしつこいなら逃げなよ?』
逃げろ――その言葉に杏癒は口端を上げては不気味に笑った。
これが全てを壊す事になるとは露知らずに。
一方、会社でデスクに向かう佐伯は何時もの様に仕事に取りかかっていた。
普段は取り扱い説明書の作成や編集から会議の資料作りに、外に呼ばれ印刷機のメンテナンスなども頼まれる為、連日残業なのだが何せ仕事の割に給与が合わず、仕方なく実家の都心から郊外まで出ているのは突然の転勤と言う理由もあったのだが。
しかし、3日前に杏癒に紹介してもらったあのバーに上司を紹介した所好評で会社付き合いでの株は少しだけ上がった。
一仕事終えて時計を見ればもう昼休憩の時間でカレンダーに目を見遣る。
今日は木曜日で、明日は金曜で残業は今の所はなく、会社付き合いもない。
そこで佐伯は思いついては携帯の電話帳を開いては杏癒の番号を押しては文字を打っていく。
「……これで良し」
送った内容はこうだ
『この間はどうも有難うございました。上司の方も気に入ったらしく、暫くは落ちつきそうです。もし宜しければあの店でまた呑みませんか?』
それを送った数分後に携帯が鳴り、返事がきたかと思えば思わず目を見開いた。
「……え」
思わず言葉を失う
その言葉を失くした文面は暗くて見えない
どうも、織坂一です。
さてどこから弁明すべきか迷ってますが、まず前回の肉食獣が動いている感じは匂わせてますけれども、杏癒もこの後本性を明かします。一体何をするかはまぁ段々分かって来ますが、佐伯の日常もまぁ今までパート分けしてたのにいきなりブッ込んできたなと思う方もいると思います。
ですが、これはまぁまだ杏癒パートの中で佐伯がちょっとトラブル起こした程度なので、彼自身の独白パートとは全く関係ないです。
さてそろそろこの話も崩壊の足音を辿っていますが、どうか今後ともよろしくお願いします。




