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高齢社会の民主主義 ~いわゆるシルバー民主主義について

 低所得の高齢者に対して一人当たり3万円の給付を行う高齢者向け給付金(年金生活者等支援臨時福祉給付金)という自民党が提案した制度の予算案が、2016年の1月に可決されました。因みに、実際にこのお金が高齢者に配られるのは、2016年の6月辺りだそうです(これは4月に書いてます)。

 まぁ、なんというか、参議院選挙前ですよ。もしも、時折噂されるW選挙が行われるのであれば、衆議院選挙前でもありますが、とにかく、つまりはこの制度はびっくりするくらいに分かり易い選挙対策だって事です(因みに、政府自民党が年金の株価運用失敗で出した莫大な損失の発表は選挙後に行われるみたいです。本当に、分かり易いですね)。

 この案を聞いた時、僕は「ここまでやりますか、自民党さん」とそう思いました。偶々、一緒にいた人は「これ、買収違うんか? 税金使って法律にすれば合法なんか?」と呟いていましたが、普通に考えれば、公職選挙法に違反していそうですよね。選挙前に高齢者に向かってお金を配るんですから。「税金を使った高齢者買収」と揶揄している人達もたくさんいるみたいです。

 もしも、裁判が認められたなら(裁判って損害を受ける立場にいる人しか訴訟が認められないらしいのですよ)、この制度は法律違反の判決をくらいそうな気がします。

 この高齢者向け給付金制度の問題は、時期だけではないと思います。「何故、対象者が高齢者だけなのか?」という点も大いに疑問にするべきでしょう。

 政府の説明では、「高齢者は賃金引上げの恩恵を受けられないから」といった事になっているようですが、これ明らかにおかしいです。別に高齢者じゃなくても賃金引上げの恩恵を受けられない人はたくさんいるでしょう。仮に働ける現役世代に関しては「本人の努力が足りない」で突っぱねるのだとしても、子持ちで思うように働けない女性なんかもその対象に含めないと話の辻褄が合いません。

 非難を覚悟で書きますが、もしも全員を助けられないなら、僕は若い命を優先して助けるべきだと考えています。そうじゃないと、社会は存続できませんから。もちろん、若い世代に投資をしなければ、社会を発展させる事もできません。ですが、自民党はその逆をやってしまっているのです。日本社会の活性化を目指しているはずなのに。

 これは、絶対におかしいです。

 では、どうしてこのような制度を決めてしまったのでしょう?

 今という時代は既に“超・高齢社会”に入っていると言われています。要するに人口に占める高齢者割合が多いのですね。そして民主主義という制度では、多数決によって政治家が選ばれます。これは政治家の立場にとってみれば、『高齢者を優遇した方が、選挙に勝ちやすい』という事を意味しています。だから、高齢社会の民主主義では、政治家達は高齢者を優遇するような政策を進めてしまう傾向にあると言われています。

 因みに、その様な状態の民主主義は“シルバー民主主義”などと呼ばれています。

 もう分かると思いますが、「高齢者向け給付金制度」はシルバー民主主義の一つじゃないかと思えるのです(もっとも、シルバー民主主義だけでなく、高齢者層の投票率の高さと、現役世代の投票率の低さも原因の一つになっているのではないかと思われますが……。

 保育園を増やして欲しかったら、選挙投票に行きましょう、お母さん達! 政治家は基本的には、投票してくれる人達の為に政策を実行するものです)。

 一応断っておくと、これまでもシルバー民主主義ではないかと思われる法制度は存在していました。ただし、ここまで露骨で分かり易いシルバー民主主義のケースを僕は見た事がありません。

 そしてだからこそ、今回の「高齢者向け給付金制度」は問題じゃないかと思えるのです。もしも、自民党が選挙で勝利するとして、自民党の政治家達がこの制度のお蔭で選挙に勝てたと判断したならどうなるでしょう? 次もやはり同じ様に高齢者優遇政策を実行してしまうのじゃありませんか? 自民党だけならまだマシですが、仮に野党も選挙に勝つ為に高齢者優遇政策を提示して来たなら、下手したら“高齢者優遇競争”になりかねません。もちろん、政治家達が「若い世代を犠牲にして、その分で高齢者を優遇します」と明言すれば、高齢者達はそんな政治家に投票したりはしないでしょうが、普通政治家達はそんな事は言いません。

 もし“高齢者優遇競争”に、なったら、社会が成長する為の資源が高齢者達の為に使われる可能性があります。つまり、既に貧困問題が目立ち始めている現役世代が、益々貧乏になっていくって事ですよ。当然、社会は衰退していきます。

 だから、仮に自民党が勝つにしても、「高齢者向け給付金制度」のお蔭で勝ったという形にしてしまってはいけないんです。政治家達に「高齢者優遇は、選挙で何の役にも立たなかった」と思わせる事ができたなら、少なくとも“高齢者優遇の強化”によって、社会が成長する力を奪われてしまう事態だけは防ぐことができます。

 

 シルバー民主主義は、民主主義という社会制度の欠点の一つだと言われています。時折、それをして民主主義を全否定するかのような言説も耳にしますが、これはいくらなんでも飛躍が過ぎるでしょう。実際、この種の多数決の問題点を、先進諸国の多くはカバーしようとしていて、完全にではないにしても、それに成功して来てもいます。

 ただし、シルバー民主主義が、カバーし難い問題点だというのは事実でしょう。ここまで書いたからにはこれからそれを説明するのが筋だとは思いますが、その前に、ちょっとばかり“人間社会の脆弱性”と“権力と富”の関係についての話をしたいと思います。

 民主主義の有効性と、多数決の問題点がそれでよりよく分かるようになると思いますから。

 

 人間社会の歴史を観察すると、この様な現象が観られる事に気が付くはずです。

 小さな社会が“戦乱の時代”を通して、一つの社会に統合していき、ある程度大きくなると崩壊が起こって小さな国々に分裂する。そして再び“戦乱の時代”を迎え、また一つの大きな社会に統合されていく……

 この原因は「“大きな社会”になると、人間の統治が及ばなくなり、支配力が弱くなった結果、社会の分裂を引き起こす」とか、「権力と富が集中すると、人々がその負担に耐え切れず、社会が劣化していく」といった事ではないかと考えられるのですが、驚くべき事に、200年以上もの長期に渡って、比較的安定した大きな社会を維持することに成功した珍しいケースが存在するのです。

 “200年以上”という言葉で気付いた人もいるかもしれませんが、それは日本の江戸時代です(もっとも、色々と事件はありましたがね)。

 一般的には、「鎖国」とか「参勤交代などで地方を適度に弱らせることに成功した」といった事が長期安定に成功した要因として知られていますが(僕も学生時代にそう習いました)、それ以外にも指摘されている重要な点があるんです。

 言うまでもなく、江戸時代の支配層は武士です。ところがどっこい、「武士は食わねど高楊枝」なんて言葉が象徴するように、武士は権力は持っていましたが、“富”はそれほど持っていませんでした。富を持っていたのは主に商人で、つまりは“権力と富”が分散されていたのですね。

 “権力と富”が一部に集中すると、それらを手に入れた支配者層は、ますます自分達にとって有利な社会体制にしようとするので、その支配者層に更に“権力と富”が集中をしてしまいます。もちろん、その後も同じ様な事を繰り返しますから、正のフィードバックが起き、加速度的に“権力と富”が一部に集中してしまうのです。

 こうなると、一部の人達だけが得をして、他の大多数の人達が苦しい生活を強いられるという暗い社会が出来上がってしまいます。もちろん、そんな状態で人々が大人しくしているはずがないので、社会は劣化し分裂してしまう可能性が大きくなります。つまり内乱が起きて、世の中は滅茶苦茶になるって事です。

 ですが、“権力と富”が分散されていたならこれは抑えられます。そして、まぁ、前述した通り、江戸時代では“権力と富”が分散されていたのですよ。そしてだからこそ、それによって安定し、200年以上もの長期に渡って社会を維持する事ができた…… のかもしれないのですね。

 この話はいかにして“権力”と“富”の集中を防ぐかが、社会を維持する為には重要であることを物語っています。だからもちろん、安定した社会を築こうと思ったのなら、その為の社会制度を構築する事が重要になって来るのです。

 こんな事を書くと、おひとよしな人達は「信じられない」と言うかもしれませんが、政治家や官僚といった権力者達のほとんどは、隙があれば世の中の“権力と富”を独占しようとします。これは人間社会の歴史を観れば明らかです。平和な現代の日本社会に暮らしてきたなら、想像もできないかもしれませんが、かつては日本でだってそういう事が起こっていましたし(まぁ、かなりマシになっただけで、今でも起こっているのですが)、世界に目を向けるのなら、未だにそういう社会は多いのです。

 もちろん、私利私欲の為に政治を動かすような権力者の下では、社会発展などできませんから、そういう社会の多くは未発達のままです。

 さて。

 この話をベースに、“民主主義”という社会制度を考えてみましょうか。

 

 民主主義の特性は何よりもまず“選挙制度”でしょう。仮に政治家達が私利私欲の為に政治を行い始めたら、国民は「こんな連中は駄目だ」で辞めさせることができるのですね。もちろん、それには“権力と富”の集中を防ぐ効果があります。

 封建主義制度の下では“権力と富”の集中が起きて負荷が蓄積していっても、中々、変革は起こりません。多くの場合で、限界に達してようやく崩壊が起きる訳ですが、民主主義制度では選挙によって比較的直ぐに改善が行われ、社会が調整されるのですね。

 これは「民主主義制度下の社会では、小規模な崩壊が頻繁に起こっている」とも表現できます。そしてだからこそ、民主主義を採用している社会は比較的安定しているのではないかと考えられます。

 ただし、ここで一つ注意点があります。民主主義が成立する為には、“平等に選挙権が与えられていること”と“法治”が前提条件になるのです。これは当たり前ですよね。だって、一部の人にだけ強い選挙権が与えられていたなら、一部の人にとってだけ有利な社会が出来上がってしまいます(つまり、“権力と富”が集中してしまう)し、“法治”が成立していなければ、選挙で選ばれた人が、定められているルールを無視して勝手に政治をやり始め、選挙制度を無効化するような事だって可能になってしまいますから。

 つまり、“ルール”が、権力者を暴走させないための足かせの役割を果たしているのです。その“ルール”のお蔭で、世の中は安定しているのですね。

 もう分かっている人もいるかとは思いますが、その“ルール”とは、“憲法”の事です。ニュース番組等で「“人治”は問題がある。“法治”でなければいけない」といったような事がよく訴えられているのはだからで、メディアに権力者監視の役割があると言われているのは、それを補う為です。

 そして、先に挙げた“多数決の問題点”もこの憲法によって緩和されています。憲法で人権を認め、法の下の平等を謳っているからこそ、一部の人にとって有利になるような法律は成立し難いのです。マイノリティは、憲法によって守られているのですね。

 

 さて。

 民主主義の欠点である“多数決の問題点”は、人権思想で緩和されている訳ですが、この人権思想では見え難く改善し難い“多数決の問題点”があるのです。

 はい。

 それがシルバー民主主義…… つまりは、年代差別ですね。ある年代の人達だけを優遇するような政策を政治家が執ってしまう。もちろん、“高齢者向け給付金”では高齢者世代が優遇されています(日本では雇用などで年齢差別が横行していて、そこでは高齢者が被害に遭っていますが)。

 “高齢者向け給付金”で差別問題を思い起こす人は少ないと思います。だって、みんな、歳を取りますから。でも、今の現役世代が高齢者になる頃には年金制度だって破綻している可能性が濃厚ですし、だから財政面を考えるのなら、このような優遇が受けられるとは思えないのです(“高齢者向け給付金”は、一時的な措置です)。つまり、今のお年寄りだけ得をするって事です。

 もしも、白人だけに3万円給付するなんて制度ができたら、「差別だ!」って指摘が出るでしょうが、年代差別だと何故かスルーされちゃうのですよね。だから、恐らくは人権思想では解決が困難なんです。

 もちろん、年代差別以外の問題もあります。

 主に税金を納めているのは、現役世代です。だから、筋から言うのなら、現役世代にもリターンがあるような税金の使い方をしないといけないはずですよね。でも、この自民党が決めた“高齢者向け給付金”では、どう考えても、ほとんど現役世代に見返りはないでしょう。

 その一方で自民党は(「保育士不足問題」で有名になりましたが)、現世代及びに将来世代の為に必要な育児関連に対しては、予算を出す事を渋っています。育児は将来の社会を担う人間を育てるって事ですから、直接的には関係がない人にもリターンがあります。現役世代と将来世代が助かるんですね。

 (育児に対する予算を渋って人口減少問題をどうする気なのだろう?って感じですが、どうも自民党は移民政策を執る気でいるような気配があります。移民政策ってそんなに簡単にはいかないと思うのですが…… 嫌な予感がします)

 因みに、もしも保育士の給与を上げて、雇用を増やすよう働きかけたなら、景気対策にもなります。安倍首相は「賃金引上げにより、需要を喚起し、経済の好循環に繋げる」ってな感じの事をよく言っていますが、これと同じ理屈は当然ながら保育士にも当て嵌まります。保育士の給与が上がったなら、需要が増えて、その分景気が良くなるんですね。更にそれによって子供を預ける母親達が働きに出られるようになれば、実質的には賃金アップと同じ効果で、やはり需要が上がります。

 財源は高額所得公務員の給与カットや、高額所得高齢者へ支払われている年金のカット辺りで確保するのが妥当でしょう(高額所得者が保有している富を低所得者に分配すると、社会全体の総需要は上がるんですよ)。もっとも、“通貨の循環”を応用すれば、それすら必要ないかもしれませんが(長くなるので、説明は割愛します)。

 こうしてみると、最近の自民党は選挙対策の為の政策は力強く実行するのに、本当に社会にとって必要な政策はあまり実行していないように思えてしまいます。

 実は反自民党派はもちろん、比較的公平な立場にいる人でも「自民党は本当は経済成長させる気などないのではないか?」と疑問に感じている人が増えているんです。

 そもそもアベノミクスは経済成長と低金利という相反する目標を掲げていました。その他にも、例えば最近になって導入した“マイナス金利政策”ですが、これには「実質的には増税だ」という批判の声があります。この政策の影響で、お金を貸している立場の金融機関が、逆に国にお金を支払わらなくてはならないという異常事態に陥っていますが、「国にお金を支払う」というのは増税と変わりありません。だから、それによって直接経営を圧迫される銀行などの株が大きく下がっているんです。もちろん、間接的には一般の国民もこの税金を支払う事になります。そして、民間に還元しない形で増税を行うと、景気を後退させてしまいます。

 更に話は続きます。

 短期間では、これは国の財政を助けるでしょう。ですが、長期間に至れば、むしろ苦しくなっていくはずです。銀行などの金融機関の経営をそうして圧迫していけば、何かの切っ掛けで国債を売らなくてはならない状況に陥る可能性が大きくなり、そうなれば、国債は暴落してしまうかもしれないからです。これは“国家破綻”と呼ばれる状態です。

 (因みに、「日本は国家破綻しない」と主張している人の内容をよく読んでみると、実は国家破綻状態を国家破綻と呼んでいないだけだったりするので、注意してください。経済成長なき物価上昇は“借金を踏み倒す”という意味で国家破綻です。「日本人の財産を没収すれば国家破綻しない」なんて言っている人もいますが、普通に考えて、国が借金返済の為に民間の財産を没収する状態は国家破綻ですよ)

 だからなのか、反自民党派の中には、「安倍首相は意図的に国家破綻を引き起こそうとしている」とまで言っている人がいます。

 流石にこれは自民党の経済政策に批判的な僕ですら「何でやねん」ってツッコミを入れてしまいましたが、少なくとも自民党が規律が緩んだ放漫財政の先にある国家破綻を恐れないで、暴走し始めてしまっている事だけは確かなように思えるのです。

 では、どうして自民党は国家破綻を恐れていないのでしょうか?

 ここから先は、単なる憶測で、はっきり言って明確な証拠はありません。ですから、あまり信用しないでいただきたいのですが、僕には「権力を手中に収めてしまえば、国家破産が起こったとしても反発を握り潰せる」という発想が思い浮かびます。

 民主主義社会で、権力を手中にしたいと思ったのなら、選挙で勝たなくてはなりません。そして、何度も書いていますが、最近の自民党は、露骨なまでの選挙対策をしています。執念のようなものすら僕は感じてしまう。選挙に勝つ事だけが目的ならば、将来的には日本社会を衰退させてしまう政策を実行しても何の問題もありません。

 民主主義の前提が“法治”である点を僕は書きました。そして、その軸が“憲法”である点も説明した通りです。その憲法を自民党は変えようとしています。僕はそれを聞いた当初は真っ当な発想だと思っていたんです。国際的にも実質的にも軍隊である自衛隊が、法律上は軍隊ではないという矛盾を解消したいというのはよく分かりますから。

 ですが、自民党が変えようとしている内容は、その点だけじゃない。

 国民が未熟だからと、「国民の知る権利」を削除しようとしていたり、緊急事態条項によって内閣に必要以上の強い権限を与えようとしていたり(これはナチスドイツが独裁に使った国家緊急権と似たような内容です)。少し前に、麻生大臣が「ナチスを参考にして、憲法を変える」といったような問題発言をしましたが、正直僕はそれを思い出しましたよ。

 一応断っておきますが、僕はできる限り公平に政治を評価しようと努力している人間で、だからこれまで政党を名指しする事もできる限り避けてきました。ですが、これだけの内容を見せられて「自民党に恐怖を感じるな」というのは、いくらなんでも無理があります。

 因みに、日本は「世界報道自由度ランキング」で2010年までは上位にランクインしていましたが、2015年には先進国では最下位クラスの「61位」にまで下がってしまい、2016年にはなんと「72位」です(原発関連の報道規制に関しては、僕でも簡単に分かる程ですから、残念ながら納得できちゃいます)。つまり、今の日本の状態は「問題がある」と国際的にも考えられているんです。

 仮にこのまま自民党が政権を担う事を認めるにしても、これ以上の“権力と富”の集中だけは防がなくはならない。

 少なくとも僕はそう思います。

 

 “権力と富”を一部に集中させない為の仕組みが民主主義にはあると書きました。だから民主主義社会で独裁政治や専制政治を実現するのは非常に難しいのです(ナチスドイツって例外はありますが、前述した通り、当時のドイツの憲法には、国家緊急権という憲法の無効化が可能な穴がありました)。

 ですが、それでも、本来、権力を監視する役割を担うメディアをコントロール下に置いて国民を騙し、権力の足枷を少しずつ外していけば、恐らくそれは不可能ではありません。

 既に官僚が政策案を作っていて、裁判判決でも政府の影響を受けているとしか思えないものが存在しているので、現状で、三権分立はかなり破られていると見てまず間違いないでしょう。

 “一票の格差”によって、国民に平等に選挙権を与えなくてはいけない民主主義の前提も既に破られていて、これも利用されていると考えてほぼ間違いありません(最近、多少はマシになりそうですが)。

 そして、もしかしたら、シルバー民主主義も、“権力と富”の集中の為に利用されてしまうかもしれないのです。どれだけ問題のある政策を実行しても、高齢者を優遇するだけで選挙に勝てるのなら、“権力と富”を自分達に集中させる事は可能です。

 

 先進諸国の多くはそうですが、この日本社会でも、差別を法律上で認める事はかなり防げていると言って良いと思います(反論もあるかもしれませんが)。それは憲法だけが原因ではなく、国民の倫理観が重要な役割を果たしているはずでしょう。

 民主主義を上手く活用する為には、シルバー民主主義を解消するという倫理観を国民が持つ必要があると僕は考えます。

 

 今回は以上です。

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― 新着の感想 ―
[一言] > あんまり深く考えないで、気分で政党を支持していたりするよーな気がしますよね。 何故そうなるのか?という話。 貴重な休日に朝早くから投票所へ行くような真面目で意識の高い人々が、何故投票行…
[良い点] 議会制民主主義というシステムの中核部分である、選挙が不正だという着眼点は極めて重要だと思う。 [一言] 今の日本にも多様なデモや政治運動があるが、選挙の公正化が共通のテーマにならんものだろ…
[良い点] 作者様の着眼点、提起する社会問題にはいつも考えさせられます。 それに、どんな相手にも反発心を抱かせず話を聞かせられる話術も素晴らしいです。私も見倣いたいところですが…はてさて、なかなか難し…
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