〜イサム乗車編〜
きらめきトレイン めちゃ早号
イサムはかれこれ7時間列車に乗っていた。長い。異世界に行くのに、こんなに時間がかかるのか?周りに誰もいないので、つり革で遊んだりもしたが、やる事が無くてついに飽きてしまった。
車掌が現れる。
「あと6時間はかかるね」
「そ、そんなに!?」
「そうそう、君に必殺技を授けに来たわけだよ」
必殺技!?
「君には、凄く便利な必殺技を授ける」
ちょっと待て。必殺技ってのは、必ず殺せる技な訳である。まぁ、大抵は殺せないが。そんな必ず殺せる技に、便利さって、いる?
甚だ疑問である。
車掌が両の手のひらをイサムに向けた。
光るエナジーが球体となり、イサムに向かってくる。イサムは静電気並みのバチバチ感を感じた。
「とりあえず、やったぞ」車掌は言う。
「一体、なんの技を」イサムが聞く。
面倒事無視
「コマカイコトキャンセラー!?」イサムは落胆した。ダサい名前だ。
「ほら、その、たぶん君は次から学校生活を送って、異世界転生しそうな学生を阻止するわけでしょ? イサムくんはファンタジー育ちだから分からないと思うけど、入学手続きとか大変なわけよ。てゆうか、君、住民票あるの?とかどこ住んでんの?とか、色々君みたいな人が急に現れたら世の中的にマズいわけさ。だから、この技がある。ある程度の設定とか、そういう細かい事を無しに出来るわけ」
車掌は長ゼリフで息が切れた。
早速、イサムは必殺技を唱える。コマカイコトキャンセラーっ!
「あと5分で異世界に着くぞ〜」車掌が言う。
なるほど便利だ。
移動時間の描写も短縮できるようである。