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〜イサム電気街編〜
電気街
「ここが聖地のヴァハラか」
隣にいるキノコはファンタジー感を出すイサムを無視する。この街をバハラ、いや、ヴァハラと略す人はあまりいない。
「実は今日、イサムくんにお願いがあって」
キノコは神妙な面持ちで語る。
「なんだ?」
「ほら、イサムくんってちょっと大人びて見えるからさ。その、買って欲しいものがあって」
大人びていると買えるものがあるのか?イサムは驚いた。
つまり、働いて金を得て手に入れるものか?名誉は買えない。
「もしかして、武器を買うつもりか?」
武器なら納得出来る。貸与された武器ではなく、はじめて自分の武器を買った時、とても嬉しかったことを思い出した。
「ちがう」
「同人誌だよ」
「銅刃枝?」銅で出来た刃の枝だと?気になる。そんな武器があるのか。
「是非、見に行きたい。気になるな」
よっしゃあ、とキノコは喜ぶ。
「待てっ!武器じゃねえか!」
なぜかキノコは怒られた。