〜イサム満員電車編〜
満員電車
イサムは満員電車に乗っていた。
貴重な土曜日の午後をキノコに誘われ浪費することにした。近くのファストファッションなお店で買いたての服を着て、街へ繰り出す。イサムのファッションセンスについては想像にお任せする。
待ち合わせの駅まで電車に乗る。
普段は混まないのだが、ミスターチルドメンのライブがあるらしく、電車は混んでいた。
色んな人間に挟まれる。
駅に着くたび、人が入れ替わり、ある時は女子に囲まれ前屈みになり、ある時はオッサンに囲まれ目的地まで向かう。
途中、どうしても右斜めのオッサンが気になった。
オッサンはスマートフォンをいじっていた。
イサムは興味津々ながら、バレないように画面を覗いてみた。
オッサンはおそらく、青い鳥のあのサイトを見ていた。そして、なんどか呟いていた。
オッサン@ossan {あー、休日出勤つれぇ
なに、休日出勤だと!?なんて可哀想なオッサンだ。
オッサン@ossan {あーつらい
こんなツイートを見て、誰が反応するのだ!とイサムは思う。
オッサン@ossan {クソ上司ムカつくわー
上司をうやまえ。ハナターレ王国は上下関係に厳しい。
ムカつくなんて言ったら打ち首だ。
オッサン@ossan {もういっそ、死んでしまって、2次元の世界に行きたい。。。
「おい、おっさん@オーエスエスエーエヌ。2次元の世界に行きたいなどと思わないことだな」
イサムは2次元に転生しようとするオッサンを食い止めるため、思わず口を出した。思ったより声のボリュームが大きい。
周りの乗客たちが、2人を見ている。
「ななな、なんだね君は?」
「名乗るほどでもない。」
「き、きみ、なんか知らんけど、独り言はやめたまえ。それに、君の服ゥ!タグがついているぞ!」
イサムは買いたての服にタグがついていることを確認した。
顔が真っ赤になる。
イサムは恥ずかしくなり、思わず心の中でつぶやく。
{もういっそ、死んでしまって、2次元の世界に行きたい。。。