〜イサムステルスマーケティング編〜
教室
クラスメートの朝日産経くんが、困った顔をしていた。
「どうした、朝日」
イサムが語りかける。
「学級新聞の4コマ漫画のネタが無いんだ」
「漫画のネタか・・・」
「出来るだけ長期連載になるようなものがいい」
イサムはその手の事に詳しいキモヲタのキノコを連れてきた。
「やっぱり、今話題の漫画を真似するのはどうだろう?」
キノコが提案する。
「例えば?」
「例えば!死ぬ事が分かっている生き物の日常を描くんだ。読者だけが結末を知っている物語」
「オチが分かってるなんて、微妙じゃないか」
「だからこそ、日常が輝くんだよ!」
キノコが熱弁する。例えば明日死ぬと読者だけは分かっているが、主人公は、それを知らずに、例えば1週間後のデートの約束を取り付けたとしよう。
どうだろう。切ないではないか!切ないに違いないのだ。なぜならインターネットの皆が言葉を揃えてその作品を評価したからである。
議論の末、死ぬ100日前からの日常を描き、カウントダウンする連載漫画〝100日後に死ぬカニ〟の制作が決定した。
「でもさぁ、日常ネタだとしても、100日分のエピソードを作れるかな?」朝日くんが心配している。
「大丈夫だよ!こんなクソ小説でも130話近く連載されているんだ!知恵を絞ろう!」
イサム、キノコ、朝日くんで、それぞれがネタを出し合い、4コマ漫画100話分のエピソードが産み出された。
「作り切ったね!創作って楽しい!やれば出来るね!ラストは感動だ!」
涙を流すキノコ。
月刊の学級新聞だったので、12話で連載が終わった。