〜イサム一時帰国編〜
ハナターレ王国 終着駅
イサムは自分の世界に戻っていた。目の前に車掌がいる。
「この仕事はあっちの世界に染まらないように、定期的に面談をしてもらうよ」
「俺は染まらないさ」イサムは都会に染まった仕草をする。
「どうだ?平凡中学は」
「まぁ、レベルの低い奴らばっかりだな」
車掌は一抹の不安を覚える。まさか。
「仕事はちゃんとやってるのか?」
「まぁな。ただ、運命の子たちはなかなか現れない。異世界転生も起きてない・・・」
やっぱりー!
車掌の笑いが止まらない!
コ、コイツー、厨二病に染まってやがる!
「ま、ほら、ちゃんとやってるなら、いいさ」
「力が欲しいさ・・・俺に翼があればいいのに・・・」
車掌は思い出したことがあったので言うことにした。
「そうそう、君に仲間を授けるよ」
ひょこっと鳥が現れた。インコぐらいの鳥だ。
「なんだコイツは?」
「ほら、ファンタジーには妖精的なポジションがあるだろう?」
そう、変な鳥が最終回あたりに伝説の鳥になったり、ツンデレで小さめな妖精が人間サイズになったり、少女漫画にもいる感じの。
「つまりはマスコットキャラだ」
なるほど。しかも鳥を肩に乗せてたりしたら、カッコいい。
「よし、ついてこい。ファフニール」
(ファ、ファフニール?鳥に?)車掌はまた笑いを堪えた。
ファフニールとイサムはきらめきトレインめちゃ早号に乗り、自分の世界へと戻る。
自分の世界に到着し、ぷしゅっ、と列車の扉が開く。
久しぶりの、こっちの世界。太陽が眩しい。こんなに空は開けているのに、どうして自分は不自由なんだ。
「はぁ。自由が欲しいぜ。」イサムはつぶやき、肩にいるファフニールに話しかける。
そのままファフニールは自由を求め、空へ飛んで行った。
それ以降、イサムと会うことは無かった。