〜イサム広告収入編〜
放課後
「みんな、聞いて欲しいことがあるんだ」
放課後、神妙な面持ちでキノコが語り出す。イサム、デュラ田、シャニカマのいつものメンバーも、いつもとの空気の違いに何故か緊張する。
「僕、ユーチューバーになろうとおもう」
3人に衝撃が走る。
ユーチューバーとは、動画配信サイトに動画を投稿し生計を立てる(生計を立てなくとも)一種の職業のようなものである。
投稿した動画が、多く再生されれば、それに付随した広告収入が得られるのだ。
故に、動画の再生数が要である。
故に、面白い動画を撮らなければならない。
そして、3人は知っていた。
目の前のこのキノコという男は、全くもって面白くないのだ。
「ユ、ユーチューバーかぁ。ははは、楽しそうだよね、うん。楽しそうだ」
微妙な反応をするイサム。
「実は既に動画を1本作っているんだ!君たちには先に見せてあげるよ!」
キノコがスマートフォンを横にし、3人に動画を見せる。
♪〜テンテロリーン
オープニングらしき映像が流れた。
すると、キノコの自室の映像が映し出される。
どうやら机の上からカメラを回しているようだ。画面の右端から、マスクにサングラスをかけた男が現れる。
「はい、どうも〜!シャムネコ@フツメンで〜す」
どうやら、キノコのユーチューバーネームは、シャムネコ@フツメンと言うらしい。
「記念すべき第1回目です!」
「今日の企画は〜!なんと!」
「プリンに醤油をかけて、ウニにしましょう〜!という企画です!皆さん!ご存知ですか!?ななな、なんと、プリンに醤油をかけると、ウニになるんです!それではやってみましょうー!、」
な、なんと陳腐なネタなのか。
これはインターネット全盛の時代より前、伊藤家の食卓で紹介されるなど、テレビで散々擦り倒されたネタである!
「では、やってみまーす」
「もぐもぐ!うはっ!間違ってポン酢をかけてしまいました!!!」
そこで動画が終わり、教室に静寂が訪れた。
「どうだった?」
感想を求めるキノコ。顔を逸らす3人。
「よーし、アップロードするぞー!」
キノコがスマートフォンを操作し、動画のアップロードを始めた。最早誰も止めることなど出来ない。
しかし、キノコのスマートフォンが通信制限のため、なかなかアップロードされない。
アップロードする為には、データ通信容量を追加で買う必要があった。
「ひぃ〜、課金!」