〜イサムドキュメンタリー編〜
放送室
イサムの通う平凡中学の放送部では、昼休みの給食時間に放送部によるラジオ番組が流れる。
今日は、平凡大陸という、生徒にスポットを当てたインタビュー番組が流れる日だ。
なんと、今日の特集はイサムなのだ。
放送室に、放送部員の軽部慎二くんとイサムがマイクを挟んで向き合い、対談がスタートする。
とはいえ、ほとんどは台本が書かれており、イサムはそれを読むだけである。
「えー、本日のゲストは、独特なキャラクターでクラスを沸かせている、イサムさんです!」
「あっ、はい、どうもー、イサムです」
ちなみに、あっ、はい、どうもー、も台本である。
「ここで簡単にイサムさんの経歴を紹介しましょう。7歳で勇者業を始め、11歳ではなんと、ドラゴン討伐を果たしました。今春、勇者業を退職なさり、平凡中学に転校。なかなか異色の経歴ですね?」
「ハナターレ王国ではよくあることですよ。でも、ドラゴン討伐が11歳というのは、私的には自慢ですね」
「では、イサムさんにご質問のコーナーに参りましょう!」
(SE)
「では、はじめにイサムさん、貴方の好きな食べ物は?」
「そうですねぇ。この世界に来てからはカレーですかね」
「続いて、休日の過ごし方は?」
「休日は武器や防具の手入れをしていますよ。元勇者とは言え、いつ何があるか分かりませんから。土日はもっぱら勇者業。平日は学業ですね。オンオフの切り替え、これが大切なんですよ」
「そうですかぁー。」
マイクはオフになっていた。