〜イサムヒーローインタビュー編〜
翌日の学校
イサムの周りには朝からクラスメートがたくさんいた。囲まれ、質問攻めにあっていたのだ。
「本当は、どこ出身なの?」クラスメートAが尋ねる。
「ハナターレだと言っている。強いて言うなら西区だな」
「え?マジのヤバい人?」クラスメートBが尋ねる。
「・・・夜這い?」
「趣味は〜?」クラスメートCが尋ねる。
「ガンプラの塗装かな」クラスメートDが答えた。
「好きな料理は?」クラスメートEが尋ねる。
「切り裂きトカゲの尻尾、あれは絶品だ。鱗が硬そうに見えるが、あれを剝いでしまえば、高タンパクの白身が出てくるぞ」
イサムは昨日見たスポーツニュースで囲まれ質問攻めに遭っている人間が、ヒーローインタビューと言われ、つまりヒーローになっていた事を思い出す。
イサムは自分がヒーローになった気がした。
クラスメート達は段々、寒気がしていた。
ここまで設定を守りきる厨二病患者はいないのである。
一時期アイドル志望の女の子がいたが、東京出身である事や歌が上手いとか、オーディション受けたとか、全てのウソが発覚し、以降何も喋らなくなった。
ふと、近くに男が現れる。
髪の毛で顔を隠している。名はキノコくんだ。
「・・・君、本当に異世界から来たの?」
「さっきから、言ってるだろう」
「どうすれば行けるの?」
「異世界なんぞ、行かなくてよい。」そうだ、阻止しなければ。
「ほら。僕、こんなんだからさ、たぶん、異世界行かないとモテないと思うんだ」
確かに現実ではモテない奴が異世界ではモテるというパターンはある。大抵は作者の願望だ。適度にヒロインに愛され、適度に巨乳キャラの胸を揉める立ち位置。
「モテたいから異世界に行くのか?」
「えっ、あっ、いやっ・・・」
「いいか? 異世界でもモテない奴はモテんぞ」
イサムは説教を始める。異世界ハーレム物というジャンルもあるみたいだが、根本的にモテない奴はどこいっても
モテない。
なぜか?
イサム自身の体験談である。
表現し忘れていたが
イサムはブサメンである。