〜イサムオラオラ編〜
教室
「みんなに悲しいお知らせだー」
担任のコテメン先生が、明るくしゃべっている。
教壇にクラスメートのひとりが立つ。
彼の名は、城崎定くんである。
「実はこの度、転校することになりました・・・」
どよめくクラス。シャニカマが定くんに喋りかけた。
「どこに引っ越すんだよ!?」
「“エス市森王町”だね」
イサムは寒気がした。これは久しぶりの感覚である。そもそも勇者であるイサムがこの世界に来た理由は、他人の異世界転生をするためなのだ。そして、この男、間違いなく異世界に転生しそうである。
「引越しの理由は、“惹かれ合う何か”があったからなんですよ」
定くんが聞いてもいない理由を話す。
間違いない、彼はこの後、奇妙な冒険をするのだ。
(・・・彼の異世界転生を阻止しなければ)
「定くん!転校しちゃダメだ!」
イサムが言う。転校を阻止しなければならない。
「すまない、“この血の定め”、なんだ。。。」
「行っちゃダメだ!」
「行くと決めたからには行く!」
イサムと定くんの押し問答が続いたが、ついにホームルームの終わりを知らせるチャイムが鳴った。
(くそう・・・阻止出来なかったか)
日直当番のイサムは旅立つ定くんに敬意を評し、号令をかけた。
起立!礼!