〜イサム国王編〜
ハナターレ王国
イサムは久しぶりにハナターレ王国に戻っていた。
本日、ハナターレ王国の王位継承の儀が行われるのだ。これは国民の一大イベントであり、元勇者のイサムも国民として参加する運びとなった。
城の大広間。
おおよそ2000人ほどが収容できる広間にたくさんの人間が集まる。
しかし、半数はハナターレ王国に転生されてきた主人公たちだった。。。
ファンファーレが鳴る。
「これより、王位継承の儀を執り行う!」
王子が現王様の前に立つ。
王様が、頭の上の王冠を取り外した。
この王冠は、ハナターレ王国に代々伝わる王冠である。金色の輝きを放ち、宝石が各所にあしらわれていた。
ひざまづく王子。
王は王冠を王子の頭に乗せる。
湧き上がる観衆。王位継承の瞬間だ!イサムも震えが止まらない。
旧王と新王の親子は壇上にならび、王冠を渡した旧王が挨拶を始めた。
「いま、この瞬間をもって、ハナターレ国王の座は、私から息子に移った。息子は18歳だ。これまで、王がなんたるか、どうあるべきか、平和とは何か、平和には何が必要か、愛とは何か、自由とは何か、希望とは何か、夢とは何か、足元に転がっているのではないか、色々と教え込んできた。王の名に恥じぬ男として育てた。しかし、まだまだ未熟である。ハナターレ王国は、未熟な王だけでは成り立たない。そう、あなた方の支えが必要だ。あなた方あってのハナターレ王国である。皆様、どうか息子を支えてあげて欲しい」
長台詞が終わると、観衆が湧き上がり、拍手喝采だ。
旧王は、それに応えるように、深々とお辞儀をした。
頭頂部が禿げていた。