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『チトリヌ』④

 ハプスブルグの様子が突然変わったのを見て、仲間達は彼が異世界の旅から一瞬で帰ってきた事を悟った。


「それでは勇者様、また来週ー」

 時と次元の精霊サタディがニコニコしながら飛び去っていった。

 ハプスブルグはそれを見送り、仲間達を振り返った。


「ハプスブルグ……。どうだった?」

 女エルフのサティは遠慮気味に訊ねる。

 先程のハプスブルグの反応から、あまり今回は芳しくないかもしれないと思っていたからだ。

 だが、勇者はそれに対してしっかりと頷くと、こう答えた。


「大丈夫だ。私に任せろ」


 そう言うと、ハプスブルグは念動魔法を使い、迷いなく石板を操作していく。

 回転させ、横に移動させ、地面へ落とす。

 それの繰り返しである。

 どうやら整理する様にして、並べていっているようだ。


 そして、下の一列が石板で埋まると、その列が丸々消えさった。


 それを見て女エルフサティと女魔法使いジャスコが驚きの声を上げる。

「なるほど、これで消えるんだ」

「流石です! ハプスブルグ様!」


「…………」

 ちなみに、女召喚士マイカルはその法則に関して、薄々気がついてはいたのだが、そんな謎解きよりもハプスブルグの股間をまさぐる方に重きを置いていたので、言わなかったのだ。


 勇者が念動魔法で石板を淡々と操作して消していっている間、女性陣は先程同様、ハプスブルグのすぐ近くで騒いでいた。

「ちょっと、ジャスコ、またハプスブルグに密着して!」

「何を言っているんですか? ただ胸を肘掛けに使って頂いているだけですよ」

「この変態女!!」

 そんな二人の喧嘩を尻目に女召喚士マイカルは黙ってハプスブルグの股間をまさぐり漁夫の利を得る。


 そんな散々な状況ではあるが、ハプスブルグは全く気にならない。


――集中するのだ、ハプスブルグ。よいか、如何なる時でも冷静になるのじゃ。


「げえむ」の祠で受けた賢者の茶々に比べたらなんて事なかった。

 つまり彼がハプスブルグの「げえむ」を邪魔してきたのには、そういう意図があったのだ。


 そして、しばらくするとハプスブルグは石板はすっきり消しさった。


 すると壁に穴が空き、そこにはじょうろが置かれていた。


「これで『空飛ぶ花壇』を育てる事が出来る……」


 ハプスブルグは鼻歌を歌いながらじょうろに手を伸ばした。

「んーんんんーんんんんーんん♪」


「珍しいわね、貴方がそんなにご機嫌だなんて。それに、その曲、良い曲ね」


 そう言われるとハプスブルグは嬉しそうに人差し指で頭をトントンと叩き、ニヤリと笑うのだった。


 そのスタイリッシュな所作に、女性メンバー全員が胸を撃ち抜かれ、その場で抱かれたかったのは言うまでもない。


『チトリヌ』


海を渡ってやってきた超名作落ちものゲーム。

まあ、その、あれです。

『テトリス』です。はい。

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