TIME9
「涼……。」
「何ボサッとしてるんだよ! いいか、よく聞けよ。今お前には藍の左頬に寿命が見えてるだろ? それはお前の左手で消すことができるんだよ。だたし、一回きりだ。」
「お前……、なんで。なんで俺が知らないこと知ってるんだよ。」
涼には人の寿命なんて見えてるわけない。なのに、なんで俺より知ってるんだよ。
「これに書かれていた。」
と涼は俺に持っていた古びた便箋を渡した。
「これは、お前の親父さんが俺にくれた手紙。恭哉が困っている時開けて見てくれって。」
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これを読んでいるということは、恭哉が見えている寿命について困っている時なんだろうな。
私も人の寿命が見えた。『見える寿命』というのは、人の左頬に赤い数字になって表れる。この赤い数字『寿命』は見える人の左手で消せる。あと数日で死ぬということを消し去ることができるんだ。
しかし、驚いたよ……恭哉も『見える』とは。恭哉が私の左頬に落書きがあると言った時、咄嗟に手鏡をとって確認したが私には自分の寿命は見ることができなかった。恭哉が左手で消そうとしたのを私が止めただろう? それは、物事が理解できた年齢になった時に自分自身で考えて使ってほしかったからだ。
この『消す』ということは一回きりしか使えない。勿論、自分自身に使うこともできる。
私は数年前に妻、お前のお母さんの左頬に赤い数字が表れた時に使ってしまったから、今はもう使うことができないし、『見る』こともできない。
恭哉が『見える』のなら、私はもうすぐ死ぬだろう。本当は私の口から直接伝えたかったが、恭哉はまだ幼い。だからこうして手紙を書くことにした。この手紙はお前の幼なじみの涼君に渡しておく。小学三年生にしてはしっかりしているからきっと、大丈夫だろう。
最後にもう一度言う。
赤い数字『寿命』は、お前の左手で消すことができる。自分のもの、もしくは自分以外のものを。
だけど、一回きりだ。お前の――
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「お前の後悔のないように選べ、か……。」
親父の手紙を読み終えた。
「で? 恭哉お前どうするんだ」
涼は少し焦ったような、不安げな顔で俺に尋ねる。
あ? 藍をこのまま見捨てて自分が危ない時に使うか、藍に使うかの二択ってか?
「いちいち言わせるな。俺が選ぶ答えなんて決まっている」
恭哉の親父さんの手紙の説明分かっていただけたか……少々不安ですが、ここまで読んでくださりありがとうございます。




