TIME8
今回も少し短いかと思います。
――16時15分。
彼女の左頬の数字がとうとう"0"になった。あと一時間。俺は意を決して彼女の方へ行った。
「あのさ、大事な話があるんだけど。」
彼女は驚きながらも承諾してくれ、二人で屋上へと上がった。階段を上る段数と比例して、俺の心拍数も上昇している気がした。これからどうしようという不安からと……ただ単に俺が運動不足だからだろう。
この日は何故かグラウンドには人ひとり見当たらなく、不気味な程静かだった。
「あのさ藍、聞いてほし「恭哉君、"死"って何だと思う?」
俺の発言と被って、彼女が的を射るような質問をした。彼女は俺としっかり目を合わせて、静かに俺の返答を待っていた。
「えっと…、無とか恐怖とかかな。」
俺が戸惑いながら答えると、「そう。」とだけ言って彼女はまた空を見た。
「…あの。聞いてほしい。君は後少しで…その、死ぬ…んだ。」
ためらいながら俺は藍に真実を伝えた。
「知ってるわ。だって私も見えるもの。人のも、自分のも……。」
返ってきたのは予想もしなかった答えだった。俺は言葉を失った。
「でも、どうなるの? このまま死ぬのを待つしかないの? 私怖い……。」
彼女は涙を流しながら俺の服をつかんだ。
「前は、死ぬことを回避できたけど今回はできなかったの。だから私はこのまま死ぬの……けど、一人は嫌……怖いの」
人は死を直前にすると発狂するのか? 恐怖で? 恐怖に押しつぶされて人は狂うのかもしれない。……現に一人、目の前にいるのだから。
気が付くと俺は藍を強く抱きしめていた。
「藍! 藍! 落ち着いてくれ!」
「ねぇ恭哉君、一緒に…ねえ一緒…一緒に………」
くそっ。どうしたら彼女が死ぬのを回避できるんだよ!!
「恭哉っ!!」
勢いよく扉が開き涼が現れた。急いで屋上に来たのだろう、はぁ、はぁ、と肩で息をしている。
そして、右手には少し古びた便箋をもっていた。




