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TIME1

「あぁ、後5日か……」

通り過ぎる一人のサラリーマンを見ながら呟いた。


俺は人の寿命が分かる。分かると言っても命が尽きる数日前からだ。『人の寿命が分かる』と知ったのは小学三年の時。その頃の俺はまだ幼かった。まだ物事を知らなすぎだった。


ある夏の朝――


俺の親父の左頬の所に"4"と赤字の数字があった。

「お父、左の頬っぺたに落書きがあるよ?」

俺が左頬を指しながら言うと、いつも仏頂面で滅多に感情を出さない親父が一瞬眉をひそめた。

「……何にもないぞ。気のせいだろ」

テーブルにあった手鏡で自分の顔を確認し終わるとまたいつもの仏頂面に戻って俺に言った。

ほら、そこにあるのに…。

俺は、親父が気づいてないなら自分が消してあげようと思い、親父の左頬に左手を持っていった。

――だが、それは親父の大きい手によって阻止された。

「むー。なんで?消してあげるのに……」

ぷぅっと頬を脹らましながら言うと

「…早くご飯を食べようか」

そう言い親父は黙々とご飯を食べ始めた。そんなに言われたら、幼い子供は素直に従う。気のせいかな、と思いながらその日は気にせず過ごした。


――けど、

次の日また次の日と、日を重ねる度に3、2、1、と親父の左頬にある数字はだんだんと減っていった。


そして"0"となった日……


親父は俺が玄関で見送りをした数分後、事故にあって死んだ。


ああ、あれは落書きではなく、死へのカウントダウンだったのかと幼い俺は死んでいる親父を見ながら思った。


それからだ。


俺の目に、人の寿命があと何日か見えるようになったのは。


誰かが死ぬって分かっていて見てみぬフリをするのは、とてつもなく辛く苦しく、俺の性格上無視は出来なかった。だから、左頬に寿命がかかれている人を見る度に寿命を知らせた。けど、返ってくる言葉は冷たい言葉や疑いの言葉ばかりだった。だったからもう知らせるのは止めた。


要するに、俺は人に興味を持つのを止めたんだ。


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