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時を超えた晩餐

作者: 立津テト

この作品が初の投稿になるので、拙い文章で読みにくいかもしれませんが、ご配慮いただけますと幸いです。

ローマのとある広場に、豪華な晩餐が用意されていた。

黄金の燭台が等間隔に並べられ、白銀の皿には世界各地の珍味が並んでいた。

だが、この宴に集まった者たちは、時代を超えていた。

「まさか、貴殿と同席する日が来るとはな。」

ユリウス・カエサルが杯を傾けながら、対面に座る男へと微笑んだ。

その男は、黒い軍服を纏い、精悍な面貌をしていた。

「お前が『賽は投げられた』と言った時の気持ち、よくわかるぞ。」

ナポレオン・ボナパルトが満足げにワインを口にする。

「決断の瞬間は、常に孤独なものだ。」

その言葉に、一人の女性が小さく微笑んだ。

エリザベス1世である。

「男たちだけが運命を決めるわけではないわ。時に一枚の書簡や、一度の微笑みが国の運命を導くこともあるわ。」

「それは全く同感だ。」

静かに声をあげたのは、片目を隠した眼帯の男、ホレーショ・ネルソン。

彼は白銀のフォークを軽く持ち上げ、フリードリヒ大王へと向けた。

「貴殿の戦略は、実に見事だった。だが、戦場では理論だけでは勝てん。」

その言葉に応じて、フリードリヒ大王が冷静に返す。

「理論は勝利への道筋を示すに過ぎない。」

彼の言葉に、宴席の中央に腰を据えワインを嗜んでいたレオナルド・ダ・ヴィンチの瞳が興味の光に満ちている。

「戦場では芸術も科学も生きる。私は飛行機械の設計をしていたが、もしそれが完成していれば戦争の形も変わっていたかも知れぬ。」

そこへ、沈黙を破るように異国の声が轟く。

「力なき理想は、空に消える幻である。」

その言葉を発したのは、織田信長であった。

彼は異国の偉人たちを一瞥し、微笑を浮かべる。

「だが、理想なき力はただの暴虐に他ならない。」

彼の言葉に、一同が黙り込む。

そして、時が止まっているかのような静寂の中、甲冑を纏った少女の声が響いた。

「では、理想と力を併せ持つ者が、真の勝者となるのですか?」

その少女は、ジャンヌ・ダルクだった。

聖女と呼ばれた少女は毅然と立ち、目の前の偉人たちを見渡した。

「私は、神の声に導かれ、剣を取りました。でも......それは、正しかったのでしょうか?」

年端も行かぬ少女の問いに、誰もが答えに詰まる。

しかし、エリザベス1世が優しく微笑み、静かに語った。

「誰も未来の正しさを確信することはできないわ。だけど、あなたが信じて道を進んだことに価値があるのよ。」

「まさに。」

カエサルも微笑んだ。

「私も、決断の重みを知っている。そして、その決断が私をどこへ導いたかも......。」

その瞬間、晩餐の場がゆらめき始めた。

燭台の炎が揺れ、空になった皿がカタカタと小さく鳴き、空間が軋むような音を立てる。

「おや?」

ダ・ヴィンチが宴会を楽しみ満足げな様子で、だが少し寂しげな顔で、声をあげた。

「どうやら我々の集いも終わりの時が来たようだ。」

「ならば、最後に祝杯をあげよう。」

ナポレオンが杯を高く掲げる。

「過去の英雄たちに、そして未来の歴史を紡ぐ者たちに!」

一同は笑いながら杯を掲げ、晩餐を楽しみ、時空の歪みと共に、それぞれの時代へと帰って行った。

テーブルには『世界史』と書かれた一冊の本ともうすぐ夢から覚めそうな少年だけが残されていた。

読んでいただきありがとうございます!

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