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なろうラジオ大賞6

寝言でついにやらかした王太子の隠し事

「お姉様!私聞いてしまったのです!ユージーン様には大切な方がいらっしゃるのです」


「何があったの?ユージーン殿下は貴方を大切にしていらっしゃるでしょう?」


「ええ。でも寝言で仰ったのです」

「寝言?」

「はい。「僕のクイーン、早く大きくおなり」と、私が見たことのない優しいお顔で」


 メーガンの姉のアリソンは隣にいた婚約者のジュードを見た。ジュードはユージーンの側近だ。

「ついにやったか」

ジュードはアリソンにこっそりと言った。


「お疲れだとハッキリとした寝言を仰ると言う、あの?」

「あぁ、例のアレだ。本音だから困る」


 メーガンは泣いていて、二人の会話は聞こえなかった。アリソンはメーガンにハンカチを渡した。


「私たちは何について仰ったのか想像ができるわ。でも、私たちの口から説明することはできないの」

「そんな……」


 メーガンの表情が変わった。

「分かりましたわ。姉妹と言えども公私の区別は大切ですもの。私も覚悟を決めて、ユージーン様からお話があるまでは今まで通り過ごします」


 メーガンは軽く挨拶をして自室に戻っていた。

「今日の予定は変更して殿下に知らせに行く。すまないな。せっかく会えたのに」

「仕方ありませんわ。私も王太子妃になる妹に仕えると決めたんですもの。優先順位は決まっています」

ジュードは名残惜しそうにアリソンの頬に触れ、王宮へ向かった。


 ユージーンは落ち込んでいた。メーガンとの久々の逢瀬で眠ってしまったからだ。その上これだけ疲労感がある日はやらかしている可能性が高い。


 侍女に案内されて、渋い顔のジュードが来た。

「事態は深刻です」

「そうか……もう少し先延ばししたかったんだが。明日、メーガンを王宮に」

「承知しました」


 思い詰めた表情のメーガンはユージーンの宮の裏庭にいた。ユージーンの案内で薔薇園に入る。

「これが僕の愛する『クイーンメグ』という薔薇だ。これから大輪の花が咲くはずなんだ」


「まさか、昨日の寝言は……」

「この薔薇のことだ。君に捧げようと僕が作った」

「ユージーン様が私のために?」


「僕のクイーンは君だけだ。愛している。メグ」

「嬉しい……私も愛しています。ジーン」

二人は抱きしめ合った。


「懐かしい呼び名ですね」

「幼い頃からメグは可愛かった」

「ジーンは私の初恋なんです」

「初耳だ」

「初めて言いました」

「寝言の件は内密に頼む」

「私の前ではご自由になさってください」


 ユージーンはメーガンが見たかった顔で微笑んだ。


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