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「なんか、最近のエヴァ生き生きしてるね」
いつもの休日、リリアンは不意にそんな事を言い出した。
「忙しくてじっと出来ないからじゃない……?」
エヴァリーは苦笑いしながらそう返す。
「ああ、そっか。エヴァはいっつも椅子に座るかベッドに寝転んで本を読むか寝て過ごしてたもんね。体が喜んでるんじゃないの?動いてくれて、ありがとうーって」
リリアンがそう笑ってそう言った。
活発なリリアンらしい言葉だ。
「…ブライトン行ったんだろ?大丈夫だったの?」
オースティンがリリアンの向こうから声を掛ける。
「大丈夫だよ。生徒会長の人に会った。 凄く綺麗で、見るからに有能そうな人だった」
「またブライトン行くの?」
オースティンはなんだか機嫌が悪そうにエヴァリーにそう言う。
「必要があれば。他のパーベル・アビーの子も行くだろうしね」
と言ってもパーベル・アビーの生徒会も優秀だ。話はとても早く纏まる。
細々した事を任されたエヴァリーのような生徒会以外の人達も、皆ちょくちょくブライトンには行っている。
「気をつけろよ。皆が皆良い奴に見えても、ブライトンはブライトンだ」
オースティンが立ち止まり、じっとエヴァリーを見た。
その言い方には、どこか強いものを感じてエヴァリーもオースティンから目が離せない。
「……確かにね、それはあるかも。あからさまな事はされないけど、時々感じるもん、なんか見られてるなー良い感じしないなーって。まぁどこでも…そんなのある話だけどね」
リリアンは両目を上に上げて何かを思い出してる。
「……うん、分かってるよ、オースティン」
エヴァリーは確かに最近気が緩んで調子に乗っていたかもしれないと思い返す。
ブライトンはブライトン…そんな都合よく両校の未来が良い方に行くとは限らない。勿論まだまだ敵対心を抱く生徒も居る。
「オーもそんなに脅さないでよ、エヴァを。せっかくエヴァが私達以外の人と関わって外に出るようになったんだから。
はーん……––寂しいのね?分かるわよ、成長が嬉しい反面なんだか自分の手を離れていくような––––」
「なんだよ、寂しいって––」
リリアンは顔をニヤつかせて、気に食わないといった顔のオースティンを揶揄う。
背がそこまで高く無いリリアンが、こういう時は随分大きく見える。
2人のやり取りが可笑しくて、エヴァリーは声を上げて笑った。