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【2-9】可愛がってやった

 まくが切って落とされた。


 パンパンパンパンッパンパンパンパンッ


 ここはお嬢の控室、俺は連れ込んだ女子生徒と肌を激しく打ち合わせていた。


「どや姉ちゃん、ワシ中々テクニシャンや思わんか?」

「いやっ!い……痛っ……痛い……です!」


 俺が汗を滴らせながら問うも、彼女は苦し気に首を横に振るだけだ。

 かといって、俺は動きを止めるつもりはない。


「まあそう言いなや、もうすぐ気持ちよぉなってくるさかいにのぉ~」


 さらに俺は彼女の肢体を揉みしだく。すると徐々に彼女の反応が変わって来た。


「そんなわけ……ああ……でも……本当に……こんな……き、気持ちいいいいいい!」


 ついに彼女は頬を紅潮させ、表情をだらしなく緩める。目の焦点は合わなくなり、口元からは涎までもが伝っている。


「ここがええんか?ええのんか?」

「い、いいですぅ~……も、もっとシテ欲しいですもっともっと強くがいいですもっともっとも~っと気持ちよくなりたいですうーっ!」


 声にも艶が乗るようになった。喘ぐような息遣い。彼女はすっかり俺の虜だ。


「そんなに求められたらこっちまで嬉しゅうなってくるわ。こんな愛くるしいコにはもっとご褒美やらんと、なあ?」 


 俺もまた鼻息を荒くしながら、ちらりと隣にいる共犯者に促した。


「最初と違って随分と正直になりましたね。まあこんなものを摂取し続けたらそうもなりますか」


 メイもうっすらと目を細めながら、とろんとした表情で半開きになった彼女の口元に白い粉状のものを注ぎ込む。


「ああ~、これこれぇ~!もうやめらんない……癖になっちゃううう♪」


 彼女は一粒も零すまいと、先輩の指までしゃぶる勢いだ。

 危うく難を逃れたメイは、彼女の耳元に優しく囁く。


「あらあら、そんなにがっつかなくてもまだまだありますから心配しないでください」

「本当ですかあ~?それ、もっともっと貰えちゃったりするんですかあ~?」

「勿論です。お好きなだけどうぞ」

「嬉しいぃー!嬉しいですぅー!あたし、こんなの、初めてなんですぅー!」

「そうですか、それは良かった。よしよし、よ~しよし」


 恍惚の表情を浮かべる女子生徒の頭を優しくなでる先輩。その口角を、わずかながらにつり上げながら。

 俺も笑みが止まらない。せいぜい今だけは快楽を貪るがいい。すぐにお前は、地獄の底に沈むことになるのだから。


「で、あんたらナニしてんの?」


 戻って来たお嬢がジト目でこちらを睨んでくる。召し物はさっきまでの制服ではなく、ガウン姿に変わっていた。


「お客様をおやつとマッサージでおもてなししてますけど」


 俺は彼女のふくらはぎを叩いたり揉んだりし続けながらありのままのことを答えたが、どういうわけかお嬢は不満げだ。


「いやだから何でそんなことしてんの」

「「あんたが可愛がれ言うから」」

「それアタシが求めた形と違う!」


 まあ愛の形は人それぞれやからな。教育方針を巡って争いが生じるとかもよく聞く話やし。

 

 ちなみに昨日の段階ではほとんど何の調度品もなかったこの部屋だが、たった一日でそれなりに色々完備された空間になっていた。お嬢は奥の方に設置されていたパーテンションの向こう側で「シャー」というぶっちゃけどう聞いてもシャワーにしか聞こえない音を立てていたのだが、そんな事明言するとまた世界観が狂いそうなので気づかなかったことにしている。きっと魔法か何かを使ったのだろううんきっとそうに違いない。


 と、何かを発見したらしいお嬢が再び声を荒げた。


「って、それ!アタシが楽しみにしてたとっておきのお菓子!何であんたが食べてんのよ!?」


 お嬢が指差した先にあったのは女子生徒に提供されたシュガーパイだ。ちなみにさっきの白い粉の正体はその上に乗っかっていたものだったりする。


「勿論わたしがお出ししました。彼女はこのパウダーシュガーがお気に入りなようで特別に増量しております」

「この食感がたまらないんです~♪」

「たまんねーのはこっちよ!」

 

 ほくほく顔の女子生徒に対しイライラ顔のお嬢。

 だが俺としては別の見解だ。


「いいじゃないっすか。ためないに越したことはないですよ、脂肪なんぞ」


 そう、甘味を覚えた者の末路は、しぼうに一直線なのだから。 

 この女子生徒は、そう遠からぬ日にきっとそうなる。どうやらその事にまだ気づいていないようだが。


「でしたらミルクパイの方もお出ししましょうか?風味としょっ感は最悪ですが、ボリュームはまずまずです」


 先輩が明らかにお嬢の胸元を見ながらそんな事を言う。まあそれも脂肪ちゃあ子房だが。

 しかしお嬢はそれを一笑に付した。


「そんなしょーもないもの食べてどーすんのよ、捨てなさい」

「かしこまりましたお嬢様。では今から斬って捨てますね」


 無事しぼうフラグを立てたお嬢。先輩がどこからかでっかいケーキナイフのようなものを二つ取り出してジャキジャキやりだすも、当の本人はそれが何を狙っているのか全く見当がついてないらしく、さっさともぎ取っちまえとでも言わんばかりに無駄にふんぞり返って胸を張っている。


「いやさすがにそりゃマズイでしょ」

「不味いからこそでは?」


 このままでは残虐表現タグをつけなきゃならんことになりそうなので俺が止めに入るも、先輩はあくまでヤる気満々なのか不満げだ。あくまでと言うか悪魔のようにというべきか。


 九死に一生を得たことに気づいていないお嬢はドカリと椅子に腰かけるや否や脚を組み、クンカクンカと自分の腕や髪を嗅ぎ始める。


「……ったく、アタシの着替えも手伝わずに何やってんのかと思えば……うわ、まだちょっとイカ臭い」


 お嬢が制服姿ではないのは一人じゃ準備できなかったからなのだろうか。

 とはいえ体自体は一応魔法(強調)で洗ったようだ。盛大に盛られていた髪も今は下ろされしっとりと濡れている。にもかかわらずそこかしらにアホ毛が飛び出てる様子を見るとかなりの癖毛なのかもしれない。


「それで、あんたはどこのもんよ?」


 と、脚を組み替えながら女子生徒へと声をかけるお嬢。

 が、既に彼女は俺のテクと甘味の魔力に屈してしまっておりアヘ顔を晒すだけで答えようとしない。


「お嬢、この子もうダメっすよ。イッちゃってます」

「……現実に引き戻してやりなさい」


 お嬢の指示に俺は頷き、先輩と目配せをする。


「お客様、お時間終了でございま~す」


 俺はマッサージをふくらはぎから足つぼへと切り替え、先輩も頭なでなでからこみかみぐりぐりへと愛情表現を変化させた。


 当然、女子生徒の顔が苦悶に歪む。


「いだだだだだだだ!いだー!」

「そうそうそれそれそういうのでいいのよ。今度から可愛がる時はそうなさい」


 そんな事言われてしまうとお嬢も可愛がりたくてうずうずしてしまうが、そんな事をした日にはまた生死の境を彷徨うハメになりかねない。なのでお嬢を可愛がるのは止めておこう。永遠に。


「酷い……痛いのは最初だけって言ったのに……」


 女子生徒が半泣きで俺の方をうらめしそうに見る。そういやそんな事言ったっけかな。ただ本当に痛いのはこれから数日後、体重計に乗った時か鏡の前に立った時なのだが。体よりも主に心が痛くなる。あ、あと歯も危ない。こっちは物理的に痛くなるぞ。


 お客様歓迎会の幕が閉じ我に返った彼女はようやくふんぞり返ったお嬢の姿を目に止めた。

 そして、きょとんとした態度で小首を傾げる。


「あの、どちら様ですか?」

「こいつ舐めてんの?」


 お嬢はピリピリしながらまた脚を組み替えた。ピリもきっとチラチラしていることだろう。見えない位置取りしてて助かった俺はついにんまりと笑ってしまう。


「そんなわけないっすよ。お嬢を舐めれるような奴、この世にいるわけないじゃないっすか」


 例えどれだけ体を念入りに洗ってたとしても、だ。


「じゃあこいつの態度何なの?ついでにあんたの薄ら笑いも気になるとこだけど」

「単純に気づいてないだけだと思いますよ」

「いや、いくら髪を下ろしてるからってわかるでしょ普通」


 確かに髪を下ろしたお嬢の姿は目新しくはあるが、所詮は些細な変化に過ぎない。


「お嬢様、おみ足を彼女の方に伸ばしてみてください」

「こう?」


 差し出されたお嬢の足との距離はまだまだあるのに彼女は即座に反応し顔をしかめた。

 

「……クッッッサッッッ!?この臭い、まさかヤッチャネン様!?」

(なに)で判断してるのよ!」


 そりゃお嬢のアイデンティティでです。

 

 と、いうわけで若干残ってたイカ臭さのせいかお嬢が誰だかわからなくなっていた女子生徒もようやく気づいたようだ。それまでむしろ紅潮気味だった彼女の顔が一瞬にして白濁する。


「えっと、その……あ、そうだ!あたしそろそろ戻らないと!」


 慌てて立ち上がろうとする彼女。だがその両肩を、俺と先輩が抑えつけて阻む。


 そしてお嬢がアホ毛を触りながら半眼を女子生徒に向けた。


「このままタダで帰すわけないでしょ?」

「そんなこと言わずに帰してください!こんなところで道草食ってる場合じゃないんです!」

「あんたが食ったのはアタシのお菓子よ!」

「高級な海外製です。庶民が一生かけて働いても返せるものではありません」

「え!?あれってタダじゃないんですか!?」

「あれだけたらふく食べておきながら何て厚かましい」

「タダより高いもんはおまへんで~」

「こいつぁ一杯食わされましたあああああ!」


 目を白黒させた彼女の耳元でそう呟いてやると、それなりにうまい事言って切り返してくる女子生徒。実はこいつまだ余裕あるだろ。

 

「泡食ってる暇があったらアタシの質問に答えなさい。あんたはどこのもん?」

「あ、あたしですか?あたしの名前はエリー、エリー・クァンジと言います。出身はムレハの……」


 お嬢からの再度の質問に彼女――エリーはまだ言葉を続けようとしたが、お嬢はぱたぱたと手を振ってそれを中断させた。


「違う違う、下々のしょぼいプロフィールに興味あるわけないでしょ。あんたのケツ持ちは誰やって聞いてんの」

「ケツ持ち?そんなことしなくてもヒップはキュッと引き締まってますけど」


 天然か、それともお嬢のケツがでかい事を知っているのかそんな事をのたまうエリー。

 と、先輩がビックリしたように口元を抑えた。


「なんと!だらしな~く垂れ下がってるお嬢様とはえらい違い!」

「垂れてねーわ上も下も!」

「お嬢はもうちょっと謙虚になった方がいいっすよ」

「ヒリア様の仰る通りです。では試しに早速土下座して額を床にこすりつけてください」

(こうべ)の話してんじゃねーわ!」

「じゃあ何の話を?」


 話の流れが見えないのか小首を傾げてそう尋ねるエリー。


「お嬢様がだらしないという話かと」

(アタマ)の話してんの!」

「では合ってるではないですか。反省して丸めてください」

「何で坊主にしなきゃなんないのよ!アタシが言ってるのはお(かしら)のこと!」

「お菓子の話ですか!?」

「それはそれで問い詰めたいところではあるけれど!」

「ようするに、君の主は誰かってこと」


 お嬢のおやつを勝手に食べさせたことを蒸し返されては面倒なのでこの辺で誤解を解いておくことにした。

 お菓子という言葉に反応して目を輝かせていた彼女だが、俺に言われてようやく合点がいったようだ。


「ああ、それは多分アーク・ドーイ伯爵様です」

「伯爵?それはあんたの地元の話でしょ?ここでの事を聞いてるの」

「いえ、あたしの実家は農家なので、お貴族様にお仕えするだなんてとても」

「農家?何で農民の子がこの学園に来てるのよ」


 これにはお嬢だけでなく俺達もまた首を傾げた。

 勿論本校は貴族階級以外の子弟も入学することは可能だ。事実俺も身分の上では農民と同じ平民ではある。

 とはいえこれはあくまで貴族ではないだけであって実質的には準貴族、或いは士族といった身分に相当するということは【1-1】で説明した通りだ。その意味で、ガチの庶民である彼女がこの学園の生徒として在籍できた理由がわからない。


 そしてこのことは、当の本人もまた同じであるらしい。


「あたしもよくわからないんです。元々は神官養成学校に入る予定だったんですけど、直前になって村長さんからこの学園に進むように言われて……」

「神官養成学校?それも変わってるな。あそこも庶民が行くようなところじゃないと思うけど」


 神官養成学校は神殿に仕える者を育成する場である。神官だとか神殿などというと単なる宗教施設のように思われるかもしれないし、それは必ずしも間違ってるわけではないのだが、この世界の宗教は日本人の持つ感覚とはかなり違うと思う。俺も前世の感覚だと宗教なるものには多かれ少なかれ胡散臭さを感じてしまうが、実際に魔法があるこの世界においてはそんな感覚を持つものは稀だ。ここでの魔法は神々の恩恵であり、その目に見える力があるからこそそれを崇め奉る組織が重宝されるわけだ。


 とは言うものの神殿自体は結局のところ利権であり、既得権益団体である。特に神官養成学校で育成されるような高級神官は貴族階級以上の特権であり、庶民に許されてるのはそれ以下の下級職だけであるというのが一般的な認識なのだが……


 俺が違和感を覚えていると、お嬢が鼻を鳴らした。


「何だかよくわからないけど、とにかくあんたの主をここに連れてきなさい」


 そう当然のようにお嬢が要求するも、エリーが慌てて両手と首を振る。


「え!?む、無理です!あたしには出来ません!」

「無理もへったくれもないのよ、それが貴族社会の流儀。アタシをこんな目に合わせた以上上のもんが落とし前つけなきゃなんないわけ」

「で、でもあたし直接お話したこともないのに……」


 エリーが半べそかいてそう言うが、これにお嬢が眉根を寄せる。


「直接話したことがない?それでどうやって仕えたってのよ?」

「え、えっと……それはゴターさんに連れていかれてそういう事になったって言われただけで……」


 ゴターさんと言われても俺はピンとこなかったが、先輩には心当たりがあったらしい。


「ゴターさんとは、ひょっとして同じ下級(ロウワー)のゴター・シーロコさんのことですか?」

「そうです!うちの村を守ってくださる騎士様です」


 というかすごいな、既にクラスの生徒の名前を把握しているのか。先輩はやる気のないように見えてやるべきことはちゃんとやるタイプなのだろう。


 しかしそれにしても……


「ひょっとしてさっきから伯爵様や騎士の子女の事を言ってる?」

「おそらくそのようですね。こんな最低限の知識も持ち合わせていないところを見ると、彼女は本当に農家の出のようです」


 実のところこの学園に入学するような年齢で既に襲爵している可能性はゼロではない。なのでひょっとしたら中級(ミドル)には既に爵位を持った方がおられるのかとも思ったが、騎士に関しても同じような事を言っているので単に彼女の勘違いである可能性が高そうだ。勿論騎士もこの年齢で叙任されることはあるだろうが、その場合わざわざこの学園にこないだろう。基本的に下級(ロウワー)は俺のように跡を継げない者の就活の場なのだ。


 もっとも護衛として同行したという可能性も一応残されてはいるのだろうが……


 俺が考えていると、お嬢が面倒くさそうに手を払った。


「まあ別にそんなことどうでもいいからさっさと呼んで」

「でもどうやって……」


 上目遣いで目を潤ませて尋ねるエリー。並の男なら一撃で許してしまいそうな仕草だが残念ながら相手はお嬢。逆に可愛らしい子には容赦ない。偏見だけど。


「そんなの知ったこっちゃないわよ。体で払えって言ったでしょ?あんたの身がどうなろうと実現させなさい」

「そんな……」


 お嬢の氷のように冷たく見下す視線にエリーが委縮してしまった。

 並の(モブ)である俺はさっきの一撃でちょっと可愛そうになってたので助け船をだしてやることにする。


「とにかくゴターってのに相談するしかないんじゃないか?そいつとなら話は出来るんだろ?」

「で、でも……ただでさえお貴族様の持ち物を台無しにしちゃってるのにそんな事言ったらどうなるか……」


 頭を抱えるエリーに、メイが優しく肩に手をかけた。


「心配いりません。少なくとも白いのは数日あればすぐまたパンパンに溜まります」

「そういうものなんですか?」

「ええ、種無しでもなければ」

「そんなにすぐ育つんですか!?」

「色仕掛けでもすればもっと早くに」

「あれ着色してあったんですね!?」

「そしてカメの割れ目からドピュッと飛び出ます」

「割って出すのが正解だったんだ!?」


 エリーはやたらと感心しているが、多分色々違うというか全部違うと思う。

 ただ俺としてはそれより気になることがあるので先輩に尋ねてみることにした。


「で、何でその甕両手に持って上下にしごいて……じゃなくて振ってんの?」

「こうやっていればそのうち割れ目からぶっ放されるぐらい溜まってくるんじゃないかと」

「……無理じゃないかな?さっきカラになったところだし」

「イッパツでそれとは、とんだ役立たずですね。どおりで独りダちしないと思ってました」

「精も根もつき果てたんだろ。あれだけ出したんだから」


 まあ根の方は元から無いのでタつわけないのだが。


 と、メイが甕をエリーに手渡した。


「残念ながらここでは白いのを溜めることは出来ませんでしたが適当に竿役を集めて協力してもらえばすぐですよ。多分あなたなら」


 受け取ったエリーは地獄に仏を見たかのように笑顔を浮かべた。


「そうなんですね!ありがとうございます試してみます!」

「ヤるんなら本編とかかわりのないところでヤッてくれよ」


 その時は是非俺も呼んでくれと危うく言いそうになったがグッと堪えた。

 

 と、ついにしびれを切らしたのかお嬢が叫んだ。


「わかったらすぐにイキなさい!ほら駆け足!死ぬ気で!」

「ひ、ひいっ~!?そ、それじゃ失礼します!!」

「あ、ちょ?お盆忘れてるぞ」


 俺が指摘するも、エリーは振り返ることなくダッシュで出て行った。


「全く……ほんっとポンコツな奴ね。ドーイってのもよくあんなのを配下に加えたもんだわ」


 慌ただしく去って行ったエリーの後姿を見送った後お嬢が呆れた様子でため息をつく。

 これに先輩が相槌を打った。


「肉付きは無駄にどすけべでしたから、きっとエロ目的だったんでしょう」

「男ってのはほんっと下品ね。嫌んなっちゃうわ」

「いや誰が言うとんねん。ていうか普通に地元が一緒だからじゃないんすか?」


 そう思ってたのだが、これにメイが頭を振る。


「いえ、それは違います。彼女はムレハと言ってましたからドーイ伯爵領とは無関係です」

「え、そうなん?てっきり初めから縦の繋がりがあったものとばかり」

「少なくとも騎士家の方とは同郷のようですが」

「そもそも、この学園に農民の子が来てること自体わけわかんないのだけど」

「それは確かに奇妙でしたね。同郷の者が同行しているのもただの偶然なのでしょうか?」


 お嬢が指にアホ毛をくるくる巻きつけながら言うと、先輩も首を傾げた。


「どうでもいいっちゃいいんだけど、な~んか引っかかるのよねあいつ」


 今度は椅子の上で胡坐を組み頬杖をつくお嬢。空いてる方の手でぽんぽんと自分の脚を叩きながら何やら考え込んでいた。


「お嬢、それは多分……」


 そんな彼女に向かって、俺は自分の推測を披露した。

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