第5話 冒険者登録③
「すんませんでしたっ!」
地面に頭を擦り付ける。
いわゆる土下座というやつだ。
俺は今、冒険者ギルド(屋根が吹き飛んだ)の応接室に来ている。
土下座をする俺の横ではハラミさんが、
「この子に悪気は無いんですっ!」
と何故か母親みたいな謝り方をしているので、異様な空気だった。
とはいえ、関係ないことで一緒になって謝ってくれるハラミさんには感謝しかない。
「まぁ屋根の事はいい。あれは経費でなんとかなるとして………、ユート、お前何者だ?」
ギルドにはこれだけの迷惑をかけたので、黙っておく、という選択肢は既に無い。
幸いここにはハラミさんとギルマスしかいない。
「実は………」
と、俺はこれまでの事を洗いざらい2人に話すのであった。
「事情はわかった。」
とギルマス。
「ユートは異世界の勇者だったんだな」
とハラミさんは俺の隣で絶句している。
「勇者なんてそんな大それたもんじゃないです。ジョブだって魔剣士ですよ?」
「ただ、レベル1であの威力の雷槍は見たことがない。もしかしたら俺たちの知ってるレベル1とは概念からして違うのかもな」
ギルマスは俺のステータスを鑑定で見ている。
俺も鑑定で両方見たから疑問なんだが、だったら何故表記は同じなのだろうか?
まぁこれに関してはギルマスにも分からないという事なので、保留だな。
「色々気になることもあるが、ただこのまま試験をスルーさせる訳にはいかん。おいハラミ」
「えっ、あっはい!」
「お前がやれ」
「わ、私がですか?」
「ただしユート、戦技禁止な」
確かにさっきの様に自由に戦技を使えてしまうと、今度はこの建物が消し飛びかねない。
俺にはまだ、制御ができそうにないからだ。
「わかりました」
俺たちは先程の訓練所に移動した。
先程と違って、ギャラリーがほとんどいない。
なんでだろう?と思っていると、隣を歩いているギルマスがボソッと
「トラウマ製造機」
と言ったのが聞こえた。
うるさい、余計なお世話だ。
そしていよいよ俺は訓練所の中央でハラミさんと向かい合う。
「ハラミさんのステータスも見ていいですか?」
「それはいいんだが、ユート」
「はいなんでしょう?」
「その口調、これから冒険者になるのなら、他の冒険者に舐められるから変えた方がいいぞ。まぁあの雷槍を見せれば大抵のやつは黙ると思うが」
この人はまた、出会って間もない俺の事を想ってこういう事を言う。
「わかりま………、わかったよハラミさん」
「そう、それの方がいい。さぁ、全力で来い!全部受け止めてやる!」
ネーム ハラミ
種族 ヒューマン
職業 聖騎士Lv27
所持スキル 剣術Lv4 回復魔法Lv4
所持戦技 パワースラッシュ ナオース
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