第4話 冒険者登録②
俺は今、冒険者ギルドに隣接された、訓練場という運動場みたいなところの中央で、そのギルドの長であるギルドマスターと向かい合っている。
ギルド内にあると思っていたのに、まさかの外だったので、ギャラリーが思っていた倍はいる。
ホントにどうしてこうなった?
何やらニヤニヤしているギルマスを方を見ると、俺に声をかけてきた。
「そーいやお前、名前は?」
「ユートといいます」
「そっか、ユート。武器はそれでいーのか?」
俺の右手にはギルドから貸し出された、刃を潰している少し長めの片手剣が握られている。
訓練用だろう。
念の為に鑑定を使うと、ロングソード(訓練用)と出た。
「はい、これがいいです」
ファンタジーと言えばやっぱ剣っしょ。
と単純に決めたわけではない。
俺のスキル一覧に剣術があったからだ。
ジョブも魔剣士だしな。
「俺のことよりも、ホントにそっちは素手でいーんですか?」
「あぁ大丈夫だ。鑑定で見てみろよ」
「何で知って………」
「心配するな。この歓声じゃ、俺達の声なんて聞こえねーよ。それより、いいから見てみろよ」
「わかりました、じゃあ遠慮なく」
ネーム ロース
種族 ヒューマン
職業 聖闘拳士Lv73
所持スキル 体術Lv8 鑑定Lv6
所持戦技 内気功 外気功
レベル差ヤバくね?
無理ゲーじゃん。
絶句だ。
「ハハハ、安心しろ、殺しゃしねーよ。まぁその一歩手前はいくかもしんねーけど」
「瀕死じゃないですか。だいたい俺、戦うつったって初めてなんすよ、こういうの」
「そうは見えないんだが………、じゃあ初撃はやるよ。サービスだ」
どうしよ、やる気満々だこの人。
しゃーない。
どーせだったら思い切りやるか。
戦技ってのも確認したいし。
レベル差が絶望的だから、俺がいくらがむしゃらになっても死にゃしないだろう。
「あのー、戦技って使っても?」
「あぁいーぜ。思い切りぶち込んで来い」
「はぁ、わかりました」
じゃあ雷槍でいっか。
多分初級の技だよなこれ?
なんか字面が弱そうだし。
「ってこれ、戦技ってどうやって使えばいーんだ?」
「そこからかよ。口に出して言えばいいんだ」
「はぁ………んじゃまぁ、雷槍」
そう口にした瞬間、俺の中から突風の様に何かが沸き上がった。
これが魔力ってやつなのか?
俺の魔力のあまりにも大きな波動せいで、どうやら観客席まで影響が出ている。
口から泡を吐いて失神するもの。
親の名前を呼び、泣き叫ぶもの。
果ては神に祈るものまで。
俺の目の前に光る矢のようなものが徐々に形作られていく。
それは俺の魔力の奔流を喰らい、やがて槍程の大きさも通り過ぎ、もっと大きく成長し、ついには丸太程の大きさになった。
「なるほど、これが雷「断じて違う!」槍かぁ」
とギルマスが必死の形相で俺の感想に割り込んできた。
「思い切りぶち込めとは言ったが、なんだそれはっ!?そんなもんくらったら、現役のSSランクでも死にかねんぞ………」
「えっ………、ど、どうしたらいいですかっ?」
「空だ空っ、空に逃がせ!」
「はいっ!」
必死で空へ、空へ、と願うと徐々に角度が上へ傾いていく。
が、どうやら少し間に合わなかったようだ。
発射されたそれは、冒険者ギルドの屋根を貫いて空へ消えていった。
なんだこの状況?
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