ハズレスキル【お味噌汁】しか持たない俺がデスゲームに巻き込まれた
第3回小説家になろうラジオ大賞に応募した作品です。タイトルのテーマは「お味噌汁」ですが、実は本文には全テーマを含んでいます。
「お味噌汁」「密室」「鏡」「カセットテープ」「お菓子」「サーファー」「ハットトリック」「助手」「雪だるま」「サイコロ」「交差点」「オーパーツ」「映画」「時計」
この世界では皆能力を持って産まれる。
1人1つ。殆どが、ある一点に限り筋力や知能が格段にパワーアップする特化型能力だ。
え? 炎や氷の魔法能力はないのかって?
そんなものはない。漫画の読みすぎだよ。そもそも無から有を生み出すなど、物理法則を無視している。
……まあ、極々稀に無から有を生み出す能力もあるにはあるが。
ところで俺はどうやらデスゲームというヤツに巻き込まれたらしい。
突然謎の集団に襲われ、気づけば鏡張りの密室に3人の男女と閉じ込められていた。
「なんだここ……」
『ハハハハ。君達にはこれから死のゲームをして貰う!』
頭上のスピーカーから突如声がした。
『能力を使うゲームは不公平だから運で勝負だ。サイコロを振って犠牲者を決める。残りは脱出できるがそこの時計が12時になるまでに決着しないと全員死ぬ』
「えっ……」
『不正は許さん。ちゃんと監視カメラとカセットテープで録ってるぞ。では』
「ちょっ……」
それっきり、謎の声は反応しない。なんだこれB……C級映画か?
「ねえ、どうする? 死のゲームなんてヤだよ。とりあえず扉を蹴ってみよっか」
突然乱暴な事を言う女性の顔を見て納得した。女子サッカーでハットトリックを決め続け、お菓子のCMにも出る有名選手だ。【蹴る力】の能力持ちに違いない。
女性が出口の扉をズガン! と蹴り飛ばした。しかし少し凹んだが全く開かない。
扉には10個の数字ボタンが付いている。数字の組合せで開くタイプの鍵か。
「うーん」
サーファー風の男性が近づく。
「これ、総当たりで押せば開くんじゃね? 俺【早弾き】の能力持ちだから時間内にやれる自信あるぜ」
「ピアニスト?」
「いや、交差点で交通量調査してる」
……ああ、あのカチカチ数えるヤツ。
「あ、待て」
雪だるまの様な体型の男性が鍵を調べる。
「あ~鍵はアナログだが、改造してここに配線が通ってる。間違えた回数をカウントする仕組みだ」
「よくわかるな」
「僕【機械鑑定】の能力持ち。大学でオーパーツの研究助手やってる。うーん、ここをピンポイントでショートさせれば良いんだけど、その方法がない」
3人は俺を見た。
「君は? 何の能力持ち?」
俺は申し訳無くなった。何の役にも立たないハズレなのだ。
「お、俺は……口からお味噌汁が出ます」
「それだ!」
斯くして、俺がピンポイントに味噌汁をかけた配線はショートした。
俺達は脱出し、女性がデスゲーム主催者をボコボコに蹴り倒した。
めでたしめでたし。
(^q^)
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※2023/12/20追記
本作の後日談を、またもやなろうラジオ応募作1000文字&キーワード全部盛りで書きました。
よろしくお願い致します。
「ハズレスキル【お味噌汁】しか持たない俺が雪山で女の子と遭難した」
https://ncode.syosetu.com/n9342in/