幕間 日本
「久しぶり」
僕は一つの墓石の前でそう語りかけた。手入れされた墓石に少し嬉しくなる。
誰かが見舞いに来ている証拠だ。
「君が生きていたら……お酒を飲める年だからね」
僕はコンビニで買ってきたお酒とおはぎを置く。
「あまり話したことはないから君の好みとかは分からなかった。でもおはぎは合わないかな。僕もまだ飲んだことないから分かんないや。
そうそう、刑務所から出てくるのに十年かからなかったんだ。三人も殺したのにね」
墓石を拭きながら僕は話を続けた。
「君を押してしまった日、僕は……感情がよく分からなくなった。
最初は悲しくて、自分が不甲斐なくて、なんでこんなことをしてしまったんだろう。僕は何をしているんだろう。
わけもわからないまま君を押していた。
そして君を押した後、君はこう言ったよね。
”ごめん”
そこだけ聞き取れたよ。謝るのは僕だ。その瞬間僕は僕に戻った。
「おいこいつマジで押したぜ! なぁ陸!」
「あ、ああ」
「なんだよビビってんのか? 大丈夫だって。俺らは何もしてねーんだから。
第一未成年だぜ俺ら」
後ろで陸と翔太がそんな会話をしている。けれど僕はそれどころじゃなかった。
頭の中で彼が轢かれた瞬間と言葉が呪いのように何度も、何度も何度も何度も何度も。
「おい。お前も感想くらい言えよ」
翔太が俺の首に手を回しながらそう聞いてくる。
だめだ。こいつはもう頭のネジが外れてる。
ーー僕もだ。
「なぁなぁ……だめだ。こいつ放心してやがる。ま、無理もねーか。
安心しろよ。ここは監視カメラもないし誰も見ちゃいない。死体もバラバラ。
ただの自殺にしか見えねぇって」
「はぁ……はぁ……」
僕は息切れしていた。くっきりとどんな記憶よりも鮮明に彼の死に様が。
陸が翔太に言った。
「俺たち、これ……」
「なんだよ。今更になって後悔してんのか。
お前が騙してここにあいつを連れてきたんだろ?
いーじゃねーか。これで俺たちは自由きままに行動できる。俺たちに逆らうのはあいつだけだったからな。
どいつもこいつもうつむいて見て見ぬ振り。横暴に自由が最も幸福なんだよ。
だから気にすんな」
「俺は……わりぃ。帰るわ」
「ちっ……なんだよ。
おい、俺は今から学校で報告を待つ。その後食事行くから金出せよ」
「……」
翔太が僕の髪を強く掴んで後ろに引っ張る。そして顔を近づけて言った。
「分かったなっつてんだよ」
「……わ、わかっ」
「よし、電車動かねーだろうから行くわ。まだお前は利用できるから捕まんじゃねーぞ」
僕は大丈夫、大丈夫と呟きながら家に戻った。
「あらなに。忘れ物? 言ってくれれば届けたのに」
「大丈夫、大丈夫……」
「どうしたの?」
「大丈夫……大丈夫」
「ちょっとちゃんとお母さんの話を……」
僕は母の言葉を無視して自分の部屋に閉じこもった。母はその後何かを言ったりはして来なかった。毎日持ってきてくれる食べ物が喉を通らない。
もう何日経ったか。さすがの両親も部屋を出るように言った。
「友達が目の前で死んだのを目撃したの? 同じ時間帯よね」
僕はもともとあの時間の電車に乗っていた。そうすれば同じ学校の人とはほとんど会わないからだ。
「つらいならちゃんとお母さんとお父さんに相談しなさい。力になれるとは言わないわ。
ただ子供の状態を知りたいというのは親として普通の事だと思うのよ。
身勝手を許してね。その代わり何でも手伝うから。
それと……ごはん、置いとくからね」
僕の頭の中で彼の言葉と最後が永遠に続く。壊れそうで壊れない。
「ァァアアア!!」
喉を強く締めて濁った声を出す。頭を抱え、床に何度も頭を打ち付ける。押した感触が手から離れない。
僕をいじめる翔太と陸の顔が浮かぶ。
サンドバックは当たり前。翔太は僕の頭を踏みつけるのが好きだった。僕の手元にお金は残らない。唯一電車の定期だけは残っていた。
裸でトイレに放置された。画鋲の入った上履きを履けと強要された。
分からない問題なのに手を上げろと言われた。好きでもない女の子に告白した。その相手に僕の裸の写真を送られた。
助けて、助けて助けてッッ! ナンデダレモ……
「やめろよ」
僕は顔を上げた。
「アーッ、アーッ」
カラスの鳴き声がこの部屋を閑散とさせる。何も聞こえない。静かだ。
外を見ると空が赤かった。
「夕方……何日経った」
僕が携帯を見ると翔太からのメッセージがいくつも入っていた。
暴言、命令。
「……僕は――間違ったんだ」
僕は部屋を出た。着替えを持って風呂場に入る。お腹が減っているのが分かる。
シャワーの水にあたりながら僕はあの日の事を思い返した。
翔太と陸、そして僕の間に現れて彼はやめろよと言った。
僕は来るはずのない助けにどんな感情を持てば良いのか分からずパニックになっていた。
「てめぇ……俺だって昔とはちげぇ。俺も陸も結構鍛えたんだ。
小学生、中学生の時と同じだと思うなよ」
翔太がそう言って殴りかかった。そこからは一瞬だった。翔太と陸の攻撃が彼に当たることはなく、一方的な展開となった。
彼は二人を殴り飛ばした後、肩に手を回しながら僕を立たせた。
「お腹空かないか? お金ないから安いとこになるけど一緒に行こう」
僕は言われるがまま彼に付いて行った。
彼と友人になり、時々だけど一緒に帰ったりもした。翔太と陸に目を光らせて僕がいじめられないようにしていた。
けど僕は毎日呼び出され、そのしっぺ返しを食らっていた。
「くそがっ! あいつなんであんなにつえーんだよ!」
「オエッッ!」
幸せと不幸の狭間で僕は日に日に自分が分からなくなっていった。
世界が色あせている。
白黒の世界にしか見えなかった。色ってどんなものだったか。
シャァァァァ。
シャワーの水の音で我に返る。少しお湯にあたりすぎたのか頭がぼーっとする。
「彼が僕を助けてくれた唯一の人だった。僕はどうして……」
そんなことをしてしまったのか、どういう精神状態だったのか覚えていない。
キュッ……
蛇口を閉めるとゴムの閉まる音が浴槽に響いた。残った水がシャワーヘッドからぽたぽたと垂れている。
体温が上がっているせいかドアを少し開けると涼しくて気持ちいい。
体を拭いて自分の部屋に戻る。
夕日はすっかり落ちて暗闇の世界となっていた。窓を開けて、外を見ながら夜風に当たる。
「僕は間違えた。そして翔太も、陸も。
僕がこれから何をすべきか考えたよ。誰もが正しくないと言っても僕は……翔太と陸を殺す。だってずっと――殺したかった。
殺す相手を間違えた。歩むべき道を間違えた。持つべき勇気を間違えた」
僕は髪を乾かして食卓に顔を出す。
母と父はうれしそうにしていた。しかし僕の事を思ってかあまり顔には出さないようにして口数も少なくしていた。
なにかあったら言ってねという言葉が虚しくなる。
もう食べられないかも知れない母の食事を大事に食べた。
僕は二人を殺して、自分も死ぬ。
プルルル、プルルル。
電話のコール音が僕の耳元で鳴っている。それが鳴り止むと不機嫌そうな声が聞こえてくる。
「おい、いつまで無視してんだコラ。殺すぞクソが」
「ごめん。明日から学校行くよ。落ち込んでてさ」
「ちゃんと溜まった分の金も持ってこいよ」
「うん。ちゃんと持っていくよ」
僕は電話を切った。そしてもうひとりにも電話をかける。
「もしもし」
「陸……僕はもう大丈夫。明日からまた」
「……ごめんな」
陸は何も返さずに電話を切った。察しているのか、それともただ謝っただけなのか。
どちらにせよ僕の中に積み上がった憎しみは底なしで削れることもない。
僕は家にあった刺し身包丁を深夜、自分の部屋に持っていく。自分の指を切って切れ味を確かめる。
予備でカッターとロープ、もうひとつ普通の包丁を持った。
たとえ失敗しても後悔はない。
次の日、笑顔で手をふる母に申し訳ない気持ちになりながらも学校へ向かう。
ごめん。母さん、父さん。
学校へ着くなり翔太は僕の頭を掴んでロッカーの扉に叩きつけた。
「てめぇ! 俺の言うこと聞かねぇってのはどういうことだ!」
「ごめん。お金は持ってきたから」
「当たり前だろうがっっ!」
「ごはっ!」
みぞおちを蹴られ、呼吸が止まる。でも怖くない。今日の放課後、僕はこいつを殺すからだ。陸もちゃんと来ていたが僕をいじめるような事はしなかった。
放課後、人気がなくなった教室。いるのは僕と翔太、そして陸。
誰かに見られると困る。お金を渡すのだから。それが今は好都合だった。
「今出すから」
「ああ、早く出せよ」
「翔太。人殺しってどんな気分だと思う? 殺されるってどんな気分だと思う?
殺される瞬間、殺した相手に謝るのって……普通じゃないよね」
「あ? 何いってんだお前。そんなこと知るわけ無いだろ」
「そうだよね。逆らう人はいない。安全。だから凶暴で自分勝手で居られるだもんね」
「ああ?」
僕は刺身包丁を取り出した。
「ッッ! お前!」
「最初からこうすれば良かったんだ」
「おい嘘だろ。なぁ、やめろって。
第一お前弱いんだから包丁持ったところで俺に勝てないぞ? いいのか?」
「自分がどうなってもいいのなら、翔太くらい殺せるよ。それが凶器ってものなんじゃないかな」
僕は間合いを見極めながら近づいた。そして翔太の胸に向かって包丁を突き出す。
翔太は転んでそれを避けた。立ち上がって逃げようとしてるのに腰を抜かしたのか立ち上がる事が出来ていない。
「まっ、陸! 助け」
僕は振り向いた。けど陸は何もしなかった。
「じゃあね翔太。もし向こうで彼にあったのなら永遠に懺悔するがいいよ。僕も行くから」
「や、やめっ……悪かった、もうしないって! お金、返すから!」
「僕の手に残った感触は消えない。彼を裏切ってしまった僕の心は元には戻らない。彼の命も、翔太や陸が積み重ねてきた負の感情も全部元には戻らないんだよッッ!」
翔太の胸に僕は刺身包丁を突き刺した。
「案外簡単に刺さるんだね」
なんだ。弱いじゃん。僕はバカだな……人って簡単に死ぬんだ。君を殺すのも翔太を殺すのも……命って簡単に失えてしまうんだ。
翔太は何かを話そうとしているが血が気道を塞いでこぽこぽと音がなるだけだった。
一人殺した僕は鞄から普通の包丁を取り出した。
「陸、覚悟は……出来てるんだね」
「俺は……頭の中で後悔してた。翔太に合わせた自分が……情けない。
罪悪感に苛まれながら人に苦痛を与えた。そして与えられた相手はそれ以上の苦痛を覚えたはずだ。
あいつが死んだ時、死にたくなった。俺もそこに……でも俺は弱いから……そんな勇気出ないから自分で死ぬことも出来ない。
つらいんだ。もう嫌だ。生きていたくない。殺してくれ。俺も翔太と同じだ。
クズなんだよ!! 罪悪感があるとか、ないとか! そんなものいじめられた相手からはどうだっていいことだ!
俺は……それを分かってるんだ。この苦しみのまま生きるのがつらい。逃げだと思われてもいい。ちゃんと、殺してくれ」
「僕も、そっちに行くから。遅れていくことにはなるけど」
「……そうするのか」
「分かったんだ。じゃあね」
「ああ、翔太がいなけりゃもしかしたら俺たちは……なんてな。
っつ……」
陸は膝をついてから、自分でゆっくりと仰向けに倒れた。その瞬間陸は言った。
「謝れたらいいなぁ」
先生が教室に入ってきて叫んでいた。僕は警察に連行された。
「それで僕は全てを打ち明けた。君を殺したことも。真相が出る前僕はそうとう悪く言われていたらしい。どうでもいいけどね。
そしてその真相が出るとみんな手のひらを返してニュースにも出なくなったって母さんから聞いたよ。
人って浅はかで、愚かで、でも……君みたいな人もいる。僕は罪を償った。
日本という国においてはね。これから僕もそっちに行くから。また母さんと父さんには黙って行くことになるけど……」
僕はカッターを首元にあてる。
「こんな所で死ぬのは良くないかもね」
そしてカッターを引こうとした時、カラス達が僕の周りを飛んだ。僕は突かれながらカラスを追い払うとカッターが失くなっていた。
「あの子はあなたを恨んだり憎んだりはしてないわ。そういう考え方で生きてないのよ。
最後まで自分の為に誰かを助けるおバカさんなんだから」
後ろを振り向くと魔女のような格好をした女性が立っていた――ような気がした。
そこに居たのはカッターを口元に咥えたカラスだった。
「話せるわけ、ないか……
……まぁ彼は…………そう言うかもね」
僕は止まらない涙を抑えながら何度も謝った。
「ごめん、ごめん! ごめん、僕はッッ……最低だ!! ただの幻覚の言葉を信じようとしている……それなのにそれが正しいと感じてしまっている……
毎日、来るから……! 僕が死ぬその最後の日まで僕は君を殺したことを忘れない! 誰にも隠さない! ごめん……」
君にもし来世があるのなら、報われてほしい……死後の世界なんてないかも知れない。けどそういう救いがあってもいいじゃないか……僕が信じるくらい。
幕間 カンナ
「あの……娘を探してて」
「し、しら……ないです」
よれよれの服を来たおばさんが私に話しかけてくる。たくさんのチラシを持っていて、その一枚を私に差し出しながら話し始めた。
「い、いい子なんです。うちには父親がいないんです。
それなのにあの子は遊びたいとワガママも言わずに母親である私の面倒をずっと見てくれてたいい子なんです。
でもっ、いつしかそれが当たり前になって、気づけば居なくなってて、それで」
「知らないって言ってるじゃないですか!!」
「ッッ! ご、ごめんなさい」
「あ、い、いえ……すいません」
あの日、カンナをトイレに閉じ込めてから誰もあの子の姿を見ていない。どうなったのかも分からない。
「何してんのよ……! いらいらする……」
ガリッと自分の爪を噛んでしまう。
「やばっ」
せっかく爪を伸ばしたのに親指の爪がボロボロだった。きれいに伸ばす為に一度ちゃんと爪切りで切ったのにそれでも噛んでしまう。
おかげで爪の長さで先生に注意されることはなくなった。
「どこにいんのよ……最悪、最悪よ!」
怖い。ドキドキする。恐怖心はどこにいようと何に熱中しようと襲ってくる。
殺されたのか、ホームレスにでも輪姦されたのか、強姦でもされたのか。それとも売り飛ばされた? うざいくらいかわいかったし胸も大きかった。
私のプライドはズタズタにされたしあの子が悪い。だから私が苦しくなる必要なんてないはずなのに。
「ぁ、ああっもう……いや……」
怖くてあの公園のトイレには一度も行っていない。
「しかも母親に会うなんて……そんな事情知らないわよ!」
弱音を一切吐かない、自分の事情は一切話さない。嫌な顔ひとつしない。
そんなこと知るわけないじゃない。
嫌だ、嫌だよ……なんで私がこんな思いしなきゃ……
家に帰るとお母さんと警察の人が話してた。
警察の人が私にこう聞いていた。
「この近くの公園にある公衆便所にカンナさんと思わしき人のメッセージが書かれていてね。君のことだと思うんだけどちょっといいかな」
「え、ちがっ……私は、知らない、やってない」
私は足を震わせながら後ろに向かって歩いていく。
「ただ、閉じ込めただけなんです。どこに行ったのかなんて知りません……
それ以外は何も知らないんです。話せることなんて」
「とりあえず署で話を……」
「し、知らない! 私はなにも!!」
「嘘……ついてたんですね」
私は聞き覚えのある声に青ざめた。短い呼吸で息を整えながら恐る恐る後ろを振り向いた。
カンナの母親がこっちを”睨んでいた”
「はぁ、はぁ、違う、知らない、何も、私は――」
その後私が懲役になることはなかった。残っていたメッセージは私の名前が書かれた上で全ての元凶が私であると書かれていただけだった。
私が閉じ込めていたこと以外は証明された。閉じ込めたとは言っても簡単に抜け出せるもので監禁罪にはならないそうだ。
ただいじめの証拠があがり、大金を支払うことになった。ネットに私はさらされて周囲からは罵声。両親も苦しんでいた。
引っ越すお金もなければ頼る親戚もいなくなった。
それでも両親は汗水流して働いている。私は部屋に引きこもってうつむいていた。
毎日鳴り止まないカンナの母親からの電話。誹謗中傷の電話の時もある。
お母さんはその電話をちゃんと取っていた。理解できない。
「あいつが、あいつがいなければ……」
本当は分かってる――私がいなければ良かったんだと。
今日はごはん遅いな…………お母さんにごはんって言ってこなきゃ。
プルルル、プルルル、プルルル、プルルル、プルルル、プルルル……――プツン
幕間 翔太
「はぁっはぁっ! なんだここ……」
大部屋に何人もの黒いローブを身につけた奴らが俺を囲んでいた。足元を見ると赤色の模様が俺を中心に描かれていた。
「お待ちしておりました。転移者様」
「なんだ、俺は死んだはずじゃ……だって包丁で刺されて」
「私はハーネスト卿。あなたは異世界から来た人間であり、とても強い力を持っているのですが……まだ弱いか」
「なんの話をしてんだ……」
「力を強くしてからでないと意味がない。仕方ない」
「はぁ? 答えろおら!」
俺はハーネスト卿とか言うおっさんに掴みかかった。俺の腕が変なふうに折れ曲がった。
「ああああっ! い、いでぇ!!」
「ハーネスト卿。わざわざ礼儀正しくする必要などないでしょうに」
「どんな強さかわからない以上暴れられては困るんだよ。ディック」
「私が居れば問題ないですよ」
「勇者候補でもか?」
「ええ、私だって弱いわけではありません。さすがにゼートや魔王、勇者、原初などが相手になれば話は別ですけどねぇ」
「ヴァルクはどうだ」
「勝てませんね。彼は何者なのかと疑問を持つほど強い」
「ヴァルクはそこまで強いのか」
「ぁっああッッ! アアアア!!」
俺が叫び声をあげているとディックと呼ばれた耳の長い男が俺の顔を踏みつけた。
「うるさいですよ。あなたはこれから大事な使命があるのです。
誰のものかも分からない魔力を永遠と流され続け、幻覚に怯えながら覚醒していくのです。そしてそれが済んだ暁には――開放してあげましょう」
ディックは俺を見下しながら言った。
「死んで我らの糧となることによって……ね」
「はぁ、ぁぁ、いてぇ、クソ、クソッ! クソガァァァァァアア!」
すいません、幕間を挟む場所がなかったのでこのタイミングで入れさせてもらいます。
次回からまた本編に戻ります。
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