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座敷童の間

作者: 瀬川なつこ
掲載日:2021/01/31

懐かしいモノ、コト、懐かしさはセピア色を帯びて、

我々に過去の存在を訴えかけてくる。

時折、ブラッキーに、トーキー映画の白黒映画のように、

不気味なことばかりな内容で、

僕らを魅了するのだ。


宵祭り、盆踊り。今年の盆踊りには、人でないモノが混ざっている。

狐面の男の子。ねえこっちと、手招きしている。

あれについていってはいけない。

可愛い尻尾がちょろりと出ているが、あれは本物にしか見えないから。

また、狐面の男の子には影法師がついていない。”影なし”だ。


温泉にやってきた。随分古い佇まいだ。なんでも、座敷童の間があるというので、

そこに泊まることにした。お風呂も、お湯も、飯も、申し分ない出来だ。

ただ、いつも視界の端に子供の女の子が映りこむのが気になる。

遊んで欲しいのだろうか、ここの旅館の子供なのだろうか。

近寄ると、「取って食うぞ」と怖い目で叱られた。

嗚呼、彼女が座敷童か。



影法師、彼岸花、お地蔵様。秋は暮れなずむ。

列車が走ってきて、その前にたたずむ涙ながらの美しい女性に、つい声をかけてしまった。

生前、楽しいことがなにもなかった。でも、死んでからも、ここに縛り付けられて、苦しんでいる、と。

カンカンカン、と警笛の音がする。

そう云うと、彼女はふ…と消えてしまった。

僕は、何も言わずに買ってきた彼岸花を、踏切の近くのお地蔵様にお供えした。


夢うつつ。お地蔵様がけたけた嗤っている。

閻魔が、そこの曲がり角で人の舌を抜いている。

宿場町には、不思議な事が一杯。

辻占の老婆が、お前は死ぬ。明日死ぬ!

と、叫んで、ぽっくり逝ってしまった。

蝉時雨、夕凪、気が付かない間に、右腕に、緑色の錆びが。

神社に詣でたら、消えました。まったく、不思議です。



懐古の記録。あの背中には、追いつけませんでした。

雨の中たたずむ少女、彼女になにがあったのか。

誰にもわかりません。

だた、渡しそこねたような手紙だけを持っているのが、

答えです。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 郷愁を誘う風景の各所に潜む怪異の影が、怪しくもノスタルジックな雰囲気をかき立てていますね。 現世と異界の境目が曖昧になった不思議な感覚が、実に味わい深いです。
[良い点] 二作目拝読です。こちらもいいですね。山は古来より異界との境と言われてきましたから、こういう不思議な世界観とよく合いますね。 [一言] 夢幻企画の参加作品を拝読中です。
[良い点] ホラーテイストですね。 そこら中に転がっていそうな怖さがいいですね。 企画参加ありがとうございます。
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