話し合い
かなり短い。
〈商業組合護衛依頼〉
募集要項...Dランク以上
定員...五組
備考...報酬は一組20万ゴールド
お爺さんの家で掃除を手伝った翌日。俺達は予定通りに集合した。
「でっけぇ...」
リークがそう呟くのも無理はない。俺達はこの国の一大商人の屋敷に来ているのだ。屋敷と言ってもこれはただの倉庫らしいが。
広さは縦に百メートル、横は五十メートル以上もあり、今は多くの商人と冒険者がいる。
「これより依頼の説明を始める!」
倉庫の中央。大きめの木箱の上に立つ人物が声を上げる。倉庫の端まで届くほどの大声量だ。
「私は商業組合会長ハワード男爵だ。知らないものはいないと思うが私は元平民の出だ。あまり堅苦しいのは好みじゃない。道中気兼ねなく行こうじゃないか!」
ハワードはそう言うと早速振り分け作業に取り掛かる。
この場に集まったのは冒険者五組、商業組合に属している店の店主が十人。冒険者たちは一組で二つの商人を守るようになっている。
「Dランク冒険者のリークです」
「私は薬草店店主モルガドです。よろしく」
「俺はホルガー。この街で料理屋をやってる。良かったら来いよ」
豪快に笑うホルガーと知的な印象を受けるモルガド。この二人が俺達と組むことになる商人だ。明日はもっと大人数になるだろうから今のうちに話し合いを済ませる必要がある。
「自己紹介もこのくらいにして明日からの話をしましょう」
「そうだな」
モルガドの進行で明日、つまり五日間の話し合いが始まった。
話し合いは順調に進んだ。俺達のパーティは夜の護衛を務め主に担当し移動中は基本的に他のパーティに任せる形となった。少しずるい気もするが、これが生き残るための知恵なのだ。全部を自分達だけでやろうとすると五日も持たない。必ずいつか集中力が切れ致命的な失敗を犯す。
「夜は交代で見張りだな。ウトはどっちがいい?夜と昼」
「どっちでもいいけど夜は強い方だよ」
「じゃあカミュとウトで夜、俺とリゼットで昼。襲撃があった場合には起こして四人で対応。安全が最優先だ」
リークのまとめた意見に反対は無く、パーティとしての話し合いも決着が着いた。
俺達の移動はモルガドの馬車の荷物の一角を使わせてくれるようで休息組はしっかりと仮眠ができる。
これが、非協力的な商人だとこうもいかない。商業組合の場合はそんな人間は爪弾きにされるが。
全ての準備が整い、俺達はとうとうホーロレンを旅立った。
アカウントが変わりまして途中ですが完結という形で終わらせていただきます。読んでくださった方には大変申し訳なく思っています。
新たなアカウントでも小説は描き続ける予定なので良かったら見てください。