episode1 生徒会始動!
「キャアアアア――!!」
道行く人々の注目を集める五人組。
もちろん…生徒会の五人だ。
「ったく…廊下も静かに歩けないぜ…」
ため息をつく国広。
「あの…国広様…これ…」
ふと後ろから声がしたので、振り向く五人。
「……クッキー焼いたんですけど」
見てみるとそこに立っていたのは、きれいにラッピングされた可愛らしい袋をもった女子だった。
一年だろうその子は、恥ずかしそうに国広を見つめている。
「ピュ〜。国広…やるじゃん!」
バンっと国広の背中をたたく翼。
「ウ…わっ!やめろ翼!…あ、えとゴメン。俺ちょっとトイレ…ありがと!」
赤い顔で鼻を押さえながらトイレに走る国広。
少女は何が起こったのかさっぱりわからない様子なので、翼が説明した。
「あーえっと…あいつね、女の子に弱いんだ。ちょっと見つめられただけでも鼻血でちゃうの。ゴメンネ〜〜〜。」
すまんすまんと手を合わせて言う翼。
後の三人も苦笑いした。
状況が読めた彼女は、クスッと笑い、頭を下げて去って行った。
「貴方達も大変ね。ファンに囲まれて。」
しらっとした表情で言う愛未。
「ははっ!愛未ちゃんだって!」
「「「愛未さーーーーーん!!!」」」
「きたっ!」
ものすごい足音とともに、もの凄い数の男子生徒が走ってきた。
「愛未さん…ああ、美しい。この花をどうぞ…」
「愛未さん、ぜひ僕の花を!」
「今度僕の家のパーティーに!!!」
ギュウギュウ詰めの愛未は、何とか抜け出そうとモガク…
毎日恒例の…この風景。
生徒会は大変なのです。
□■□■
ここは2年B組の教室。
「やっと抜け出せたわ…」
ため息交じりに呟く愛未。
「マナ!おっはよ!」
「……小百合。おはよ」
愛未に話しかけてきたのは、鷹宮小百合。
超高級フランス料理店の一人娘。
愛未の親友だ。
「それより!今日も国広君…カッコいいねぇ…いいなぁ愛未は。」
「別に…」
小百合は国広に好意を抱いている。
いやもとい、「好き」なのだ。小百合のLOVEアタックは…最強だ。
去年のバレンタインデーは、凄かった。
自分と同じくらいの大きさのチョコレートを、国広に贈ったのだ。
国広も驚いていた……
あの時はすごかったなー…と回想している愛未を横に、小百合は国広の事を語っていた。
「あ、そうだ♪テストも終わったことだしさ、どっか遊びに行かない?」
小百合が言った。
そう、この学校のテストはもう終わり…あとは冬休みを待つばかりだ。
「もちろん国広君も誘って♪」
「それが目的でしょ?」
「あたり♪♪」
その後どこへ行くのか相談していた。
するとそこへ、修正を連れて、国広がやってきた。
「おう、愛未、鷹宮!」
「国広君!」
頬に手を当てうっとりと小百合が言った。
「ねえ国広君…あの、テストも終わったことだし…どっか遊びに行かない!?」
「いいね〜」
あっさり賛成してくれた国広に「ありがとー!」と目を輝かせて言う小百合に、愛未は少し呆れた顔をした。
「修正君も行くでしょ?」
愛未が机に頬杖をつきながら言うと、「ああ」と短く答えた。
楽しそうに話す三人を、小百合はふと黙って見つめる。
修正、国広、愛未は幼馴染。いつも一緒の三人組だ。
そんな三人を、小百合は密かに「羨ましい」と思っているのだが、三人はそれに全く気付いていない状態である。
何なのかもわからぬ感情が、小百合の中で渦巻く。
最近…こんなことが続いている。
なぜかこみあげてくる寂しさを隠そうと、明るく言う。
「じゃ、決定ね♪」
そんなこんなで決定したちょっとした「おでかけ」なのだが、まさかあんなことになるとは…
この時の三人には知るよしもなかった。
いやーどーもどーも!LEEです。
うーん。学園もの…一度は書いてみたかった!
更新もたまーーーにしかしないかもしれませんが、どうぞ気長に、お付き合いくださいm(__)m
次回は…「愛未救出大作戦!?(1)」