episode0 生徒会室
「聖英学園、今年の生徒会長は……」
「吉祥寺愛未さん!」
「「「ワアアアアアアア――!!」」」
私立、聖英学園。
ここは、超お金持ち名門校。
その聖英学園でいま、今年の生徒会長が発表された。
大歓声の中、レッドカーペットの上を歩く彼女は、二年の吉祥寺愛未。
マイクを通して、司会の大きな声が響き渡る。
「そして!気になる生徒会執行部メンバーは!!」
生徒たちの声が、一瞬にしてやむ。
「副会長、加賀美学国広!!」
キャアアアアア――――!!
黄色い歓声が飛び交う。
「そしてそしてー!運動部部長、二階堂翼!!
書記、寿修正!!
会計、宝生成海!!
以上が今年度、聖英学園生徒会のメンバーです!!」
キャアアアアア―――――!!!
名前を呼ばれた四人も、レッドカーペットを通り、体育館のステージに上る。
全員が並び終わると、愛未が一歩前に出て一礼した。
シ・・・・・ン・・
体育館が静まり返る。
愛未がマイクの前に立った。
「…皆さん。このたび聖英学園、生徒会長に任命されました…吉祥寺愛美です。私は、この伝統ある学園を心から愛しています。そして、さらに素晴らしい学校になるよう…努めさせていただきます。どうぞ…よろしくお願いします。」
パチパチパチパチ―――
割れんばかりの大きな拍手が飛び交った。
□■□■
ここは生徒会室。任命式が終わり、生徒会メンバーは集まっていた。
ここで、もう一度生徒会のメンバーを紹介しよう。
中心にある、金がちりばめられた大きな丸いテーブルを囲んで座っている五人。
まずはつきあたりにいる彼女。
ご存じ生徒会長、吉祥寺愛未。
大企業、吉祥寺財閥の社長令嬢。
それはそれは美しく、上品である。
スポーツ万能、成績優秀。…言う事なしのお嬢様だ。
その右隣りは、副会長の加賀美国広。
大手化粧品メーカーの跡取り息子。
愛未とは幼馴染で、家族ぐるみの付き合い。
なんでもできる、エリート美青年だ。
そして、次は運動部部長、二階堂翼。
両親は、大物俳優と大物女優。
ちょっとナルシストだが…それはさておき、やはり大物俳優の息子なだけあり、こちらも超美青年なのだ。
四人目は、書記の寿修正。
超一流和食料理店、「寿亭」の跡取り息子。
料理の腕は、天下一品。
これまた美男子だが、許婚がいる。
そして五人目は、宝生鳴海。
輝く茶髪を揺らす、クールな青年。
世界的ファッションブランド会社の跡取り息子。
イギリス人の母を持つハーフ。
この学園で、成績、家柄とともにトップの座を誇る五人が集結したのが……「聖英学園生徒会」なのである。
バアンッ――
突然、高級木材で作られたドアが開いた。
入ってきたのは、オールバックで派手なスーツを着た校長と、背が低く、眼鏡の教頭だ。
「みなっさーん!やはり貴方達が生徒会メンバーになると思っていましたよ!」
「校長…ありがとうございます。」
校長の無駄にテンションの高い声にこたえる愛未。
校長のテンションはとどまることを知らぬまま、話続ける。
「まあ…あなたたちならやってくれるでしょう…!この聖英学園を!!さらに素晴らしい学園に……!!」
「校長…テンション高っ」
ぼそりと呟く国広に、校長は「何か言いましたか?」と聞くが、国広は聞こえないふりをした。
「とにかく!よろしく頼むよ!諸君!」
校長の後ろから人差し指をたてて、教頭が言った。
「教頭!なんで君…私の言おうとしていたことを…!」
「スミマセン…」
コントでもやっているのかと冷めた目で見る五人に気づかぬまま、二人は生徒会室を出ようとした。だが、校長が振り向き、言った。
「ああ、そうだ。吉祥寺君!お父様にお礼を言っておいてくれ!」
「…はい」
愛未の父は、学園の体育館を新しく建て直したらしい。
もっとも…愛未にはそんなこと、関係ないようだが……
パタン――
「なんだったんだ…?」
翼が言う。
「まるで、嵐のようだった。」
修正がつぶやいた。
「……」
鳴海は…何も言わなかった。
この五人が起こした革命を、これから紹介していくことにしよう。
みなさんお久しぶりです。
最近忙しい毎日で、執筆する時間がなかなかとれませんでした。こんなマイペースな私ですが、これからもよろしくお願いしますm(__)m
次回は…「episode1 生徒会始動!」