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HEAVEN AND HELL  作者: despair
三日目、石精の祠
95/214

石精視点、石精の祠のリプシー・マウレイ、後編


 困った顔のテンゴクくんをもうちょっと見てたいリプシー・マウレイ!

「おまけというのは『プラスアルファ』ってことですよ。私やジゴクさんの短所を補ってくれて、長所は伸ばしてくれる。そういう素敵な役割なんです」

 ものは言い様だねー。

「なんと! こち達の特徴を補い活かす者ということであれば、それはテンゴクが適任で御座います!」

 つまんないの!

 仲間割れとかリプシー・マウレイみたいな孤独な精霊には最高の娯楽だったのになー。

 リプシー・マウレイの残念無念が怨念になってもリプシー・マウレイの力にならないのが残念無念…。

 おおっと、これじゃあ残念無念だけ二倍増しだー!

 気持ち切り換えていくぞー!

 えいえいおー!

「それでは、こちも『ジョブ魂:地術使い』『インストール』!」

 ふはは!

 開戦間近かっ!

「でも、普通に話しててもゴブリン達ってこっちに気付かないんだね」

 気付いとるよー!

 ダンジョンの規約で反応しないように設定しとるだけよー!

「やっぱり、階段の近くでは戦闘にならないように決められてるんでしょうね。ひそひそと話す必要はなかったようです」

 まぁ、ひそひそしててもばっちり聞こえとるしねー!

 そっちの作戦は筒抜けよー!

 対処法は思い付かんよー!

「こっちから攻撃するのは有りなのかな?」

 試しに石でも投げてくれたら全員で襲いかかれるんだけどねー。

 投げないかな?

 もちろん、リプシー・マウレイには当てないでね!

「大丈夫ですよ。一回攻撃したらそこからは戦闘が始まるはずですけど」

 経験者は黙ってろー!

「それじゃあ、戦闘開始と行こうかな」

 くる!

 くるくる!

 どうくる!?

 リプシー・マウレイの居るところは攻撃範囲に入れないでね!

「『天化』」

「『地化』」

 へへへへへ…。

 目の前でゴブリン軍団が宙に浮いてくぜよ…。

 ああー!

 もっとバラけさせとけば良かったのかー!

 リプシー・マウレイの痛恨のミスだねー!

 やっぱりダンジョン構築は焦ってやるものじゃないね!

「『天雷』」

「『雷樹』」

 あー、これはレベル15相当の威力がありそうだねー。

 当たったらレベル1のゴブリンなんて一撃かもなー。

 でも転職も何度かしてたし、もう何発も撃てないだろね!

 っていうか撃つなよ!

 リプシー・マウレイからのお願いだよ!

「ぐぇす!」

 案の定だよ断末魔!

 だけどリプシー・マウレイは目敏いよ!

 ここがチャンスだ突撃だ!

 地上に残ったゴブリン達よ!

 敵は揃って上ばっか見とるぜよ!

 MP切れかけの術者が二人に『盾鎧武闘』は囲んでぼこぼこにするっきゃないぜよ!

 天井から断末魔が聞こえるぜー!

「『地化を解除』いたします!」

 なんやてー!?

 解除もできるやてー!?

 まぁ、解除したらどうなるのか分からんけどなー!

 もしも上のゴブリン達が落ちてくるなら、それてた注意がこっちに帰ってくるぜよー!

 ほら目があった!

 気付かれた!

「ぼくはあと『天化』一回でMP切れだよ!」

 さっさと使っちまうんだな!

 もちろん、リプシー・マウレイ以外をターゲットにするんだぞ!

「ならば!先頭のゴブリン様を『天化』して下さいませ!」

 先頭だーれだ?

 あれれ?

 どうしてリプシー・マウレイが一番前に居るのかなー?

 あっ!

 ステータスにダンジョンマスター補正がこっそりとプラスされてるからだねー!

 納得だよー!

 って!

 やっべぇぇぜよー!

「『天化』!」。

 ぐっはぁぁぁぁ!

 って、何も起こらないじゃん!

 もう、びっくりさせられちゃったなぁ。

 ふへへ!

 これはチャンスだよ!

「床を『地化』」

 おや?

 ふいに感じる浮遊感!?

ゴブッこれはっ!?」

 あっ、思わず体の方まで鳴いちゃった!

 これは堪らん浮遊感!

 落ちるように飛んでいく先は部屋の真ん中!

 リプシー・マウレイ、ふりだしに戻る!

 上からももう一組、ふりだしに落ちてくるゴブリン達が居るんだけどー?

「『地化』を解除いたします!」

 待った待った待ったっ!

 急に体に働く重力の向きが変わる感じ!

 押し合い勝負してたら急に引っ張られるみたいな力の変動!

 これに対処できるのって、スライムとか不定形な奴らくらいかもね!

 ふはは!

 しかしリプシー・マウレイはこれにゴブリンの体で対処するんだから素晴らしいよね!

 避けるぜ!

 躱すぜ!

 生き延びるんだぜ!

「ぐぇす!」

「ぐぇす!」

「ぐぇす!」

 雑魚どもは消えていく!

 しかしリプシー・マウレイはここにいる!

 これが主人公というものの底力なのだよ!

 おや、ゴブリンファイターくん。

 こんなところで奇遇だねー!

「ゴブリン様を『地化』!」

 ん?

 何か引っ張られてる気が…

 うおおおおっ!

 リプシー・マウレイは抵抗した!

 しかし、抵抗むなしく飛ばされて…。

 いや、ゴブリンファイターにぶつかったぜぃ!

 助かったよ。

 うちのボスは頼りになるねー!

 まっ、リプシー・マウレイの方が偉いんだけどね!

 ん?

 ゴブリンファイターくんは何をベチンってしたのかな?

 おかげで身体が軽くなったよ!

「ぐぇす!」

 あっ、仲間を叩いたのかい。

 君もすみにはおけないなぁ。

 はははははっ!

 って、見境なしかいな!

 飛んできたからって仲間を倒すボスはあかんよ!

 うっし、次からそこは修正しとこう!

 今度は優しく受け止めるんやで!

 しかしなぁ。

 もう二匹だけになってもうたなぁ…。

 後はゴブリンファイターくんが倒された時に戦意を無くしとけば、リプシー・マウレイは無傷のままですむかなー。

 すむよね!

 よし!

 やる気出てきた!

 このまま戦意を無くしとくよ!

 さあ、いけいけゴブリンファイター!

「こちも残すところ『地化』一回でMP切れに御座います!」

 もう飛ばさないでねー!

「それじゃあ、ちょっと温存しといて、後はシュララバ隊長にお願いしよう!」

 よし、ゴスロリ隊長頑張って!

「あは…。あっという間にゴブリン達が全滅しちゃってるんですけど…。もう!」

 ちょっと!

 ここに一匹まだ居るよ!

 でもほっといて!

 うん、全滅で良いや!

 「流石にボスとはいえ弱ってそうですし、あの一体くらいは任されましたよ!」

 『盾鎧武闘』の『翼』を出したね。

 でも、あれはまだ『羽』だけかぁ。

 レベル10ならそんなもんかな。

 やっぱり、地球人とのスキル格差を目の当たりにすると可哀想な気がするなー。

 まぁ、スキルが弱い方が純粋な戦闘経験は積みやすいしどっちが良いとも言えないけどねー。

 だから、可哀想なのは気のせい気のせい!

 とにかくがんばれー!

「『純化障壁ピュアバリア』!」

 おおー!

 ほとんど透明だよ!

 無属性のバリアだね!

 珍しい!

 珍しいけど弱いよね!

 あー、あれが恥ずかしくてレベル10で冒険やめちゃったのかなー。

「ごっぶぁぁぁぁぁぁ!」

 まぁ、弱いっていうよりは、有利も不利もないって方が近いのかなー。

 使えないときも無いけど、目立った活躍も出来ない感じだよね。

 レベル的にも、このダンジョンのボスくらいなら間違いなく勝てるだろうねー。

「ぎょぶぁっ!」

 ほら優勢だ。

「『盾鎧武闘ジュンガイブトウツバサ』!」

 勝負かけてきたねー!

「魂心!『純粋障壁ピュアバリア』!」

 おー、無属性でもバリアって光るんだね!

 普段から薄暗い祠の中で過ごすリプシー・マウレイには眩しいね!

 なんてね!

 眩しいのはゴブリンの体を使ってるからだった!

 リプシー・マウレイの本体だったらこんなの平気だったよー!

「うがぁ!」

 おっと、ゴブリンファイターくんも粘りますな!

 多勢に無勢ですけども、まぁがんばれー!

 ふあー。

 時間かかりそうだねぇ…。

 リプシー・マウレイは飽きてきたぞー!

 何か起きないかなー。

「ジゴクちゃん、ゴブリンファイターの武器を『地化』して!」

 んあ!?

「了解仕つかまつり!『地化』!」

 あー、掴まるものもないですよ!

 どうして部屋に柱を設置しなかったのかなリプシー・マウレイ!?

「ごぶぁぁぁぁ!」

 あんな振り回されてる剣に飛んでいくのやだぁぁぁぁ!

 ベチンッてされたら超痛いんだよ!?

 死ぬほど痛いんだよ!?

 しかし!

 ただでやられてたまるかよ!

 よし!

 剣にぶつかる前にゴブリンファイターくんの腕を蹴飛ばせたぜぃ!

 剣にぶつかる衝撃は回避したよ!

 ナイスだよ!

 リプシー・マウレイかっこいい!

 あははは!

 怒ってるよねゴブリンファイターくん!

 でもその怒りにダンジョンマスター割引を適用してくれないかな?

 いや!

 本当に痛いの嫌だよ!

 この剣はリプシー・マウレイが没収します!

 あはは!

 ボスだけに力が強いね!

 でも知るかいな!

 ダンジョンマスターなめんじゃねぇ!

 力にもこっそりと補正があんだよ!

 ひゃっはー!

 奪ってやったぜ!

 天地術のせいか剣が離れてくれないから貰っていくぜ!

 悪く思わないでくれたまえ、ゴブリンファイターくん!

 ふははは!

 後は待機だよ!

 リプシー・マウレイは戦意を失っているので攻撃禁止だよ!

 そんなルールはないから自主的に守って欲しいお約束だよ!

 おっ!

 ゴブリンファイターくんもとうとうやられたかー。

 お疲れ様!

「やりました!本当に勝てちゃうなんて思いませんでしたよ!お二人とも凄いです!」

「ほとんど、ジゴクちゃんの作戦と機転の利いた対応のおかげだよ」

「参謀としての務めを果たせたなら嬉しく御座います!」

 あれー?

 リプシー・マウレイはどうやって帰るんだー?

 バトル終わったのになー

 回復ポイントも現れたのになー

「あっ、回復ポイントですよ」

「でも、あのゴブリンだけ残っちゃってるよ。倒しとく?」

 あっ、おかまいなくー!

「私も初めて見たんですけど、襲ってこないのは中立キャラですよ。エヌピーシーとか呼ばれてるんですけど、どういう意味なのかは知りません」

 ノンプレイヤーキャラの略称だねー

 でも、このゴブリンくんはリプシー・マウレイが入ってまーす!

「うーん、大丈夫ならほっとこうかな?」

 それがおすすめ!

「そうですね。回復だけしちゃいましょう」

 うんうん!

「無益な殺生は避けるが善良なる者の努めに御座います」

 なんて優しいのかしらー

「まぁ、ダンジョンで敵を倒すのは有益な上に、殺生でもないんですけどね」

 ちょっと!

 中にリプシー・マウレイが入ってなかったら賛成だけどね!

 中にリプシー・マウレイが入ってるから反対だよ!

「なんと! 為らば心持ちの問題で御座いましたか」

「そんなとこだね。えっと、どうやって回復するの?」

 おっと、お客さん、回復初めてですかー?

「あっ、手をかざすとクリスタルが出てきますよ」

 地球人って、このクリスタルになれてないんだよねー。

 可哀想に!

「あれ、これってシュラちゃんの名苻みょうぶと同じだね」

異世界イツ・ルヒに昔からある機能って、ほとんどがこのクリスタルから操作出来るんですよ。多分、異世界イツ・ルヒの人の名苻みょうぶが皆同じになるのもこれのせいだと思います」

 あー、それはもう異世界イツ・ルヒの民の魂の中に刻まれてる形なんだけどねー。

 まぁ、認識なんてなんでも良いかな。

「ごめん、代わって。操作に慣れてなくて酔っちゃった…」

 地球人は不甲斐ないのう!

つかまつり!」

 隊長が仕るとは情けない!

 いや、ただのノリだってことはリプシー・マウレイも分かってるよ!

「大丈夫で御座いますか?」

「うん、もう平気。心配ありがとうね」

 ぷっふー!

 女の子の前で強がっちゃうタイプかなー!

「はて?心配するこちにはテンゴクの無事だけで十分に嬉しきことで御座いますが、その上に礼を言われると、何ともこう…」

「どうしたの?」

「あっ!私は分かりましたよー!」

「ジゴクさんはですね。テンゴクさんが無事で、それだけでも嬉しいっていう時に、さらにお礼まで言われると嬉しすぎて大変だよーってなっちゃってるんですよ。ね?」

 かーっ!

 このリプシー・マウレイの間近で何か楽しそうに話してらっしゃれる!

 けしからんなー!

 でも、聞き耳たてちゃう!

「シュララバ様の仰るとおりに御座いまする…」

「気遣われて嬉しかったから、その心遣いにお礼を言うのが礼儀っていうか…」

「あっ、社交辞令だー、とか野暮ったいこと言わないで下さいよー?」

 言うか言わないかじゃない!

 事実をつまびらかにするんだ!

 そっちの方が面白いからね!

「いえ、社交辞令でも良いのです。ただ、昨日は心配しても礼など頂けなかったので、本日は礼を言われたことが尚更に嬉しく…」

「なんですか?テンゴクさんって昨日は嫌な感じの人だったんですか?」

 おっ!

 仲間割れする?

 仲間割れしよ?

 どきどき!

「違うよ。昨日は死にかけた後で意識がはっきりしてなかった時と、ジゴクちゃんに格闘戦で負けて悔しかった後で、ちょっと心に余裕が無かったっていうか…」

 うわー!

 死にかけたばっかりで冒険するなんてバカじゃないのー!?

「そういうのを言い訳って言うんですよ?」

 厳しいね!

「もう!私、テンゴクさんとジゴクさんはベストカップルだと思ってるんですから、そのイメージを壊すようなことはしないで欲しいですよ!」

 うは!

 憧れてるから求めるものがあるんだねー!

「えっ、ベストカップルって…」

 リプシー・マウレイにもそんな相手は居ないんだぞー!

「ベストカップルとはカップルの上位版に御座いますか? こちとテンゴクはカップルに見えるので御座いますか?」

「いやもう、そうとしか見えないんですけど、でも実際は私と同じ年の子どもなんですよね…。ちょっと、私がそのことを忘れがちになっちゃうだけで…。そうです! お二人の関係はお二人が決めることですからっ!」

 こいつら皆、顔が赤いよ!

 ゴブリンくんの緑の肌を見習うべき!

 それにしても、いつも独りのリプシー・マウレイには間近でこんな会話を聞くのは罰ゲームみたいな気がしてきた!

 今は参加したってゴブゴブ言うしか出来ないし!

 こんな楽しそうに会話されたら、今度からいつもの仕事が嫌になっちゃいそうだよね!

 サボりたくなっちゃうの困るよ!

 なのにどうして!?

 リプシー・マウレイはゴブリンから出られないんだろう!?

 いや、出たくないとかじゃなくて。

 あれ、なんで出ようとするとエラー出るんだろ?

 決闘ルールの影響かな?

 倒すか倒されるかしないと帰れない?

 どっちもないままに戦意喪失でバトルが終了するって例外にシステムが対応できてないのかも!

「ご…ごぶ…」

 やばい…

 リプシー・マウレイはもう帰れないかも…

「って、このゴブリン!」

 あっ、居るの忘れてたー?

 でもほっといて良いよー?

「えっと、このゴブリン、仲間にします?」

 なんだって!?

「えっ? そんなことできるの!?」

「はい。滅多にないことですけど、逃げずに生き残ったモンスターってエヌピーシーとして仲間に出来るんですよ。このダンジョンに居る間だけですけど」

 その手があったか!

 仲間を解除されたときにダンジョンのモンスターはマナに還るから、リプシー・マウレイも元に戻れそうだぜぃ!

「何だか面白そうだし、仲間にしてみたいな。ジゴクちゃんはどう思う」

 即決したまえ!

 役には立たないゴブリンを仲間にするんだ!

「デメリットが皆無であれば、テンゴクの意見を尊重することがこちの意思に御座います」

 よし!

「それじゃあ…」

 おおっ!

 仲間申請来たっ!

 拒否権もなく自動で受理されちゃった!

 ダンジョンマスターを仲間にするなんて誇って良いよ!

 称号もらえてもおかしくないよ!

 ふふふん!

 仲間とか初めてできたよ!

「ごぶっ♪」

 あれ?

 なんか嬉しー!

「はい、仲間にできましたよ。でも、名前決めないと駄目みたいなんですけど…」

 へ?

 リプシー・マウレイはリプシー・マウレイだよー?

 あっ、ゴブリンボディーの方の名前かー

「名前…。ゴブリンじゃ駄目なの?」

 安直!

「敵か味方か識別する為にも、名称を変更するべきで御座います」

 あぁ、確かに!

 ゴブリンとゴブリンじゃ敵か味方か分かんないもんねー!

「じゃあ、エルピーみたいに存在を忘れてたエヌピーシーだし、エヌピーって名前でどうだろ?」

 なんだそれー!?

 面白ーい!

「はい、登録しましたよ」

 リプシー・マウレイがエヌピーって何だか変なの!

「ごぶっ♪」

 でも、仲間になった感じが嬉しいのは孤独が長すぎたからかな…

「魔物使い系の職業が居たら仲間のモンスターも強化出来るんですけどね。残念ながらエヌピーはレベル1のままです」

 おー、是非とも育てて欲しかったー!

 モンスターはレベルあげたら進化するんだぞー!

 リプシー・マウレイも進化してみたかったなー

「こち達の盾となるものが居ればシュララバ様が動きやすくなることに価値はあるやもしれません」

 えー

 術師でも、きっとゴブリンよりは固いと思うけどなー

「確かに、二人で術を使ってる間って接近戦には無防備だもんね」

「なるほど。お二人の術って強力ですけど、二人居ないと使えない所は弱点ですね。パーティーのうちの二人が術師ってバランスは一般的には悪いって言われますし…。近付かれたら確かに不利ですよね」

 その弱点が分かってるのに近付くこともできなかったゴブリンを盾にしなくても良いんじゃないかなー?

 ゴブリン一匹居てもしょうがないと思うけどなー

 まぁ、もうこの先には何も変な罠とかないし、ボスもこっちに持ってきちゃったし、問題ないよね!

 後はさっさとクリアしちゃってお帰り頂きましょう!

 ふんふんふふふんふんふふん!

 お話しするくらいならリプシー・マウレイも大歓迎だからまた来てねー!

 今度はゴブゴブしか言えないボディーじゃなくて、本物のリプシー・マウレイを仲間にしてくれたって良いんだからね!

「シュララバ様! 先ほど、ダンジョンの敵はしばらくすれば復活すると…?」

 ん…?

 何の話かなー?

「そうですよ。そこの階段から階層を移動すれば確実に元通りに…。あっ!」

「ここの敵も復活するの!?」

 おっ?

 復活するよー?

 ゴブリン軍団だってダンジョンのモンスターだからねー!

「はい! そうですよ! ここってレベル上げに最適ですよ!」

 んぎゃ!?

 本当だ!

 一日あればレベル50までは上げれちゃうかも!

 最低ランクのダンジョンでレベルキャップまで楽勝で上げれちゃうじゃん!

 やっべぇぇぇぇぇなっ!

 こんなの、バランス崩壊だよね。

 リプシー・マウレイが怒られちゃう!

 うわ!

 なんてこったい!

 ピンチピンチの大ピンチ!

 今からレベルあげるの!?

 今日はリプシー・マウレイを解放して、明日からにしない?

 ちょっと忙しくなりそうなんだけど…。

「ごぶごぶ…」

 だめだ!

 何を伝えようとしてもゴブしか言えないこの口が憎い!

 あーあ…。

 これは困ったことになりました…。

 よし!

 まあいっか!

 やってしまったことはしょうがないと割りきるリプシー・マウレイを許して!

 九割くらいはワドウキザシのせいだよね!

 うんうん!

 なるようになれー!

 

ここで石精の祠のダンジョンマスターことリプシー・マウリー視点のお話は終わりです。

テンゴク視点では「ごぶ」しか言わないけどぬるい目で見守って下さい。

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