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HEAVEN AND HELL  作者: despair
三日目、石精の祠
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石精視点、石精の祠のリプシー・マウレイ、前編

テンゴク達がダンジョンに到着する少し前から始まる石精の祠のダンジョンマスター視点のお話です。


「あぁぁぁぁぁっ!暇だわっ!」

 リプシー・マウレイは心の底から暇してる。

 叫んでも何も変わらないこともうんざりするほど思い知っている。

「それでも叫ぶ! 我が魂っ!」

 最近、独り言が増えてきたかな…。

 リプシーの担当してるダンジョン『石精の祠』って最低レベルの難易度…ううん、よく言えば最高ランクの優しいダンジョンだから、厳しさを欲しがる最近の冒険者達には物足りないのよね。

 駆け出しがたまに来るけど、よくて2回か3回も来れば良い方かな。

 後は定期的に来るギルドの職員くらいだね。 

 ギルドにゴブリン退治の依頼は出してるけど、それを出してるのがまさかダンジョンマスター自身だなんて関係者以外は知らないんだろうな。

 おっ!

 おおおおおおっ!

 ダンジョン入り口ゲートに反応ありっ!

 久しぶりのお客さん!

 やったぜ!

 しかも三人も居るんだねー。

 駆け出しかな!

 レベルは、んっと5、6、10…

 良いとこだよ!このダンジョンに3人で来るならベストなレベル帯だよね!

 これはもう絶対にボスまで倒してもらわないとね!

 ふふん、最初の部屋は『ふらつきトカゲ』が三匹出たね。

 さてお手並み拝見だよ。

 おー、まずはレベル10の子がさらりと一匹倒したねー。まぁ、レベル10だもんね。このダンジョンじゃあ物足りないよね。

 でも、こっち(イツ・ルヒ)の世界の子どもでレベル10って、今まで何してたんだろねー?

 おっと、次は地球の子どものターンだね。

 ふんふん、ふん?

 天化と地化ってあれれれれ?

 天地術と同じだねー。

 地球人って本当に色んなのが居るんだねー!

 石精さんは感激したよ!

 でも、トカゲ達はくっついちゃってお互いに殴りあって消えちゃったかぁ。

 行動を阻害する者を攻撃するルーチンが逆効果だったパターンだね。うーん、後で組み直してみよっと。

 あらら!

 地球人の子ども達がへこんじゃってるじゃないの!

 リプシー・マウレイはショックだよ!

「優しいダンジョンとして、もっと細部の動きにもこだわらないとね!」

 いきなり同士討ちだなんて、石精の祠が小さなお子さまのトラウマとして語り継がれたらどうしよう!

 おっと、子ども達がダンジョンのモンスターについて話してるねー。

 けっこう分析したがるね!

 あっ、敵を倒したり魔法を使ったりしてダンジョンの中のマナを循環させてくれると、精霊達は大喜びだよ!

 私達が力を使うと周辺のマナが薄くなっていくんだよねー

 精霊さん達はしおしおになっちゃうのだー。

 そこに人間達がマナを循環させてくれると元気があふれてくるんだよね!

 呼吸を他者に依存したようなか弱い精霊達の、その未来は人間達の手にかかっているのさ!

 昔は神官達が祠を巡回して祈りによってマナを循環させてたけど、神が消えた後にみどり様が立ち上げたシステムになってから、仕事も増えたけどマナの効率もよくなってるんだよね。

 ありがたやー!


 おっと、子ども達が進んで行ってるねー。

 ふんふん、雑談しながら行くなんて余裕だねー。

 でも話してる内容が微笑ましー!

 リプシー・マウレイはにやにやしちゃうよ!

 盗み聞きは良くないって?

 いやいや、ダンジョンの中のことはダンジョンマスターとして把握するのが義務であります!

 だから、しょうがないんだよねー。

 このダンジョンの悪口とか、嫌な話でも、ちゃんと聞くもんね!

 でも今は聞き耳たてて聞いちゃうよ!

 ふんふんふふふんふんふふん!

 これが青春ってやつなのか!?

 甘酸っぱいな、もう!

 って!

 なんて言ったよ今?

 おい!?

 おいおいおおおいおいおおい!?

 ワドウキザシ!?

 レベル5のテンゴクって子だよね。

 テンゴクくんがワドウキザシの子!?

 やっべぇぇぇぇぇの来やがったなこれ!

 あの日、ワドウキザシの手によって全てのダンジョンが恐怖に襲われたこと、リプシー・マウレイは忘れてないよ!

 恨み晴らさでおくべきか!

 子どもだろうが関係者には容赦はしないぜ!

 ワドウキザシ本人には仕返しに行く勇気のない我々にとって、その関係者は絶好の憂さ晴らしの機会なのだよ!

 ふふん!

 子ども達、もうすぐ二階に行っちゃいそうだね!

 ようし!

 二階層を今すぐ難易度マックスに作り替えちゃる!

 ふぇへへへへ!

 見てろぃ!ワドウキザシの子!

 きみ個人には何の恨みもありはしないが、リプシー・マウレイは怒っているのだ!


後半へ続きます。

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