表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
HEAVEN AND HELL  作者: despair
三日目、石精の祠
91/214

3日目、石精の祠。VSゴブリン軍団


 おまけという役割をしっかりと理解したいというジゴクちゃん。

 参謀として作戦を立てるんだから、それぞれの役割を把握しておきたいのは当然だよね。

 さて、おまけという役割をどう伝えるべきか…。ジゴクちゃんを適当な言葉で誤魔化すのは嫌だしなぁ…。

 そんなふうに途方にくれるぼくの前に、しょうがないですねという感じでシュラちゃんが立つ。

「おまけというのは『プラスアルファ』ってことですよ。私やジゴクさんの短所を補ってくれて、長所は伸ばしてくれる。そういう素敵な役割なんです」

 なんだか、おまけがとっても良さそうな役割に聞こえる。

「なんと! こち達の特徴を補い活かす者ということであれば、それはテンゴクが適任で御座います!」

 なんだか、おまけがとっても重大な役割に聞こえるけどね!

 でも、シュラちゃんには見事に助けられちゃったね。後でなにか恩返ししとかないと!

 シュラちゃんはちらりとこちらを向き「さっき助けてもらった分のお返しです。互いに、不用意な発言には気をつけましょうね」って、にこりとしながら囁いてきた。

 あれ、ぼくってシュラちゃんに何かしたっけ?

「それでは、こちも『ジョブ魂:地術使い』『インストール』!」

 おっと、そういえば少し離れた所にはゴブリンの軍団が居るんだった。

「でも、普通に話しててもゴブリン達ってこっちに気付かないんだね」

 見た目は猿よりも人間に近い感じなのに、モンスターって呼ぶのも変な感じだけど、ダンジョンの中に居るのはマナで作られたモンスターってことだし、あのゴブリン達も本物ってわけじゃないんだよね。

「やっぱり、階段の近くでは戦闘にならないように決められてるんでしょうね。ひそひそと話す必要はなかったようです」

 何て言うか、たまにゴブリンと目が合うのは気のせいかな。

 緑がかった肌の色にギョロっとした目玉が不気味だけど、これから攻撃するのはぼく達なんだよね。

 ゲーム感覚で攻撃して良さそうだけど、実際にやるのは抵抗があるね。

「こっちから攻撃するのは有りなのかな?」

「大丈夫ですよ。一回攻撃したらそこからは戦闘が始まるはずですけど」

 残りMPは22しかないし、これで駄目なら逃げることにしよう。

「それじゃあ、戦闘開始と行こうかな」

「『天化』」

「『地化』」

 打ち合わせ通りにゴブリンのいる辺りの天地を反転させると、ゴブリン達が揃って宙に落ちていく。

 でも範囲外にゴブリン達が数体残ってるね。

「『天雷』」

「『雷樹』」

天から地へと落ちる稲妻と、地から天へと昇る稲妻で、ゴブリン達を攻撃する。

 バリバリバリっと走る稲光に大量のゴブリン達が「ぐぇす!」って叫んでポポンっと消えていった。

 残ったゴブリン達もそのまま天井に落下して、また何体か「ぐぇす!」って叫んでポポポンって消えた。

 体の大きなゴブリンファイターはまだ残ってるね。

「『地化を解除』いたします!」

うん、天井に残ってたゴブリン達がまた地面へと落ちてくる。

 おっと!

 床に残ってたゴブリン達がこっちに向かって来てるよ!

「ぼくはあと『天化』一回でMP切れだよ!」

 ぼくのMPはたったの4しか残ってないよ。

「ならば!先頭のゴブリン様を『天化』して下さいませ!」

 あっ、ゴブリンにも様がつくんだ!

 じゃなくて、こっちに向かってたゴブリンの先頭の一匹に向かって「『天化』!」。

 んっと、つまりどうなるんだろ?

「床を『地化』」

 「ゴブッ!?」

 先頭の『天化』されたゴブリンが一鳴きすると、ジゴクちゃんが『地化』している地面に向かって飛んでいく。

 『天化』されたゴブリンと、『地化』された床の間にいたゴブリン達も、同じように飛んでいって部屋の中央へと戻されちゃった!

 まるでボーリングのピンみたいに飛んでったよ!

「『地化』を解除いたします!」

 うひゃっ!

 今飛ばされて部屋の真ん中に戻ったゴブリン達と、上から落ちてきたゴブリンが衝突…

「ぐぇす!」

「ぐぇす!」

「ぐぇす!」

 ハーモニーも何もないけど、ゴブリン達のぐぇすの大合唱!

 ポンポン消えてくゴブリン達。

 おっと、飛ばされなかったゴブリンが一匹、こっちに走ってくる。

「ゴブリン様を『地化』!」

 また飛ばされていった…

 うわっと!

 ゴブリンファイターが飛んできたゴブリンをベチンって叩き落としたよ!

「ぐぇす!」

 親分に叩かれてまた一匹消えた。

 これで残るは『天化』してるゴブリンと、ゴブリンファイターの二体だけになったよ!

 ゴブリンファイターは怒り心頭って感じでこっちに向かってきてる。

 『天化』したゴブリンは戦意喪失気味に部屋の真ん中で待機してる。

 こっちに突っ込んできたら飛ばされちゃったから、もう動きたくないのかな?

「こちも残すところ『地化』一回でMP切れに御座います!」

「それじゃあ、ちょっと温存しといて、後はシュララバ隊長にお願いしよう!」

 まさか、本当にゴブリンをこんなに倒せるとは思わなかった。これってぼく達、飛べない相手には負けないんじゃないかな…?

 そう思ったけど、すぐにぼくは思い直す。

 山吹さんも二足歩行の人類だけど、これくらいじゃ勝てる気しないもんね。

 あっ、地下一階でMP切れって聞こえたのは内緒だよ!

「あは…。あっという間にゴブリン達が全滅しちゃってるんですけど…。もう!流石にボスとはいえ弱ってそうですし、あの一体くらいは任されましたよ!」

 シュラちゃんの能力、指が三本の手みたいな翼が二枚、空中に姿を表した。

「『純化障壁ピュアバリア』!」

 片方の翼が、薄いシャボン玉みたいな膜に包まれる。

「ごっぶぁぁぁぁぁぁ!」

 剣を抜いて上段から斬りかかってくるゴブリンファイターの、そのふところに潜り込むバリア付きの翼!

 そのままアッパーするみたいに、懐から急上昇してゴブリンファイターの喉元へと突っ込む!

「ぎょぶぁっ!」

 思わず仰け反るゴブリンファイターのその隙に、もう片方の翼がゴブリンファイターの顔面をがしっと掴む!

「『盾鎧武闘ジュンガイブトウツバサ』!」

 シュラちゃんの体が透んだオーラに包まれる。

 うっすらと輝くそのオーラは、シュラちゃんの必殺モード!?

 あれ?

 名前じゃなくても良いのかな?

「魂心!『純粋障壁ピュアバリア』!」

 今までのバリアより強く輝いて、バリアに包まれたゴブリンファイターの顔が電球みたいになった!

「うがぁ!」

 うめくゴブリンファイターが、それでもぼく達に襲いかかろうと武器を振り上げる!

 ボスだけにしぶといよっ!

 でも、シュラちゃんはもう片方の翼でゴブリンファイターの攻撃をしっかりと防ぐ。

 剣とバリアのぶつかる鈍い音だけが何度も繰り返される。

 緊迫した攻防が続くけど、何か出来ることはないかな…

 あ、そうだ!

「ジゴクちゃん、ゴブリンファイターの武器を『地化』して!」

「了解つかまつり!『地化』!」

 ぼくが『天化』しているゴブリンが、たった今『地化』されたゴブリンファイターの武器に向かって飛んでくる。

「ごぶぁぁぁぁ!」

 あぁ、ゴブリンがびっくりしてるね、ごめんなさい。

 いや、悲鳴かな…?

 ぶんぶん振り回されてる武器にぶつかって、ゴブリンは…

 わぉ!

 武器にしがみついた!

 ぐいぐいって、武器を引っ張ってゴブリンファイターから奪ったよ!

 雑魚キャラとは思えない働きっぷり!

 いや、敵とは思えない役立ちっぷり!

 凄いゴブリンが居たもんだ!

 ゴブリンは武器だけ奪うと逃げるように部屋の真ん中に戻っていった。

 お疲れ様!

 ゴブリンを武器とぶつけて、ゴブリンファイターを困らせるくらいの作戦だったんだけど、思った以上の戦果だよ!

 武器を失ったゴブリンファイターは、じたばたする以外に出来ることもなくなって、しばらくすると「ぐぇす!」って叫んでポンって消えた。

「やりました!本当に勝てちゃうなんて思いませんでしたよ!お二人とも凄いです!」

「ほとんど、ジゴクちゃんの作戦と機転の利いた対応のおかげだよ」

「参謀としての務めを果たせたなら嬉しく御座います!」

 ゴブリンの断末魔は「ぐぇす!」っていう何の役にも立ちそうにない知識と、大量の経験値をゲットだね!

【ゴブリン39体討伐成】

テンゴク 総MP92→141 レベル5→8

ジゴク  総MP101→140 レベル6→7

シュラ  総MP191→215 レベル10→11


途中で一度、『地化』された側が天に向かって飛んでってますが、その時は『天化』されたゴブリンがゴブリンファイターにしがみついていたんだと思います。

『天化』と『地化』は便利なのですが、作者が書いてて混乱するのが困ります。

「天地は引き合う」ことと「天地の間にあるものは地に落ちていく」ことだけ押さえとけば良いんだ、って自分に言い聞かせながら今回は書いてました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ