3日目、石精の祠へ。道中の雑談
ぼく達はゴブリン退治に石精の祠へと向かう。
宿を出るときにデウリリュさんに「ラプトパ・レドルテ!良い旅を!」って言って送り出された。
レドルテってどういう意味なんだろ、ちょっと気になるよね。
そう言えば、この世界って異世界人も日本語で話してるけど、なんか変だよね。
シュラちゃんに聞いてみたところ、宿屋ではお客さんに毎回言うことになってる台詞みたい。
「レドルテは旅好きの精霊でして、そこから、良い旅をとかそういう意味だったんですけど、今では別の理由で使われてるんですよ。確か、最後にレドルテと言われた場所がセーブポイントになるとか何とか、原理はよく分からないんですけど、全滅した時って、最後にレドルテを聞いた場所に転送されるらしいですよ」
「へえ。それって全滅回避のお守りだったかな。それとは別なの?」
あの時は、レドルテって聞いてなかったよね。
「ええっ!全滅回避って超高級なお守りですよ!あれって全滅した時のペナルティーを回避できるんですよ。冒険そのものは失敗扱いになるみたいですけど…」
「全滅にペナルティーとかあるんだね。やっぱり所持金半減とか?」
「やっぱりって、どうして分かったんですか?」
「うーん、地球のゲームではお約束というか…」
「地球にも、そういう戦いとかあったんですね」
「家の中でする冒険だけどね」
「あちらの世界にも、こちの知らぬものがまだまだ多いので御座いますね」
「今度帰ったらゲームやってみる?」
「こちにも出来るのでしょうか?」
「大丈夫だと思うよ」
「なんと!それは楽しみで御座います!」
「えー!ジゴクさん達は良いですねー!私達って魂が消えちゃうから地球側には行けないんですよ。地球にはヤマブキ様のお店があるって聞きますし、是非とも行ってみたいんですけど」
「でも、エルピーって地球へ行ってこっちに帰って来たんだし、なんとかなる方法もありそうだけど…」
「地球人と同じように行き来することは我にも出来ぬ。今回は今で言うレベルが十分の一に弱体化するだけで済んだがな…。 我も、もう一度地球に行けば消滅する可能性が高いのだ」
「うわぁ、地球って怖いです。地球人ってズルいですよ」
「然れど、生まれながらに魂を持つ者は意思が強いように思うと、お姉様が感心していたので御座います!」
「なんと! そうなんですか!? ふふふ、ヤマブキ様に感心されるなら、私は異世界に生まれてきて良かったです!」
「って、エルピーって今のレベル幾つなの?」
「あっ、それ私も気になります! 元は強そうだし、十分の一でもハイレベルなんじゃないですか?」
「ふむ。我には名苻がないのでレベルは分からぬが、今のところウガリットの中で見掛けた者達になら、ヤマブキ殿以外には勝てそうだ」
「それって、絶対にレベル60はありますよ! レベル40越えた人ってたいてい他の都市に行くので、ウガリットの中には滅多に居ないんですよね!」
「はて?では、お姉様はレベルは幾つなのでしょう?」
「レベルもだけど、山吹さんって戦う時にジョブ魂使ってないんだよね。それなのに強いってどういうことなんだろ?」
「ヤマブキ様だから、そこはヤマブキパワーですよ」
「そのようなパワーが!?」
「いやいや、流石にそれは… 無いとも言い切れないけど」
「ふふふ。ヤマブキパワーが全てを可能にするんですよ」
「それって月間ヤマブキに書いてたとか?」
「そうなんです!ヤマブキパワーは弱者の味方っ!正義のシンボルっ!ですよ!」
「あははっ、山吹さんに今度聞いてみようかな」
「ええええっ! そんな素敵な手段を取れるなんてヤマブキレジェンドは羨ましいですよ!」
「んー、シュラちゃんも山吹さんと仲良くなれると思うよ?」
「そうで御座います! シュララバ様ならば、お姉様と二人でガールズトークも出来るはずに御座います!」
「うきゃあ! そんな夢みたいなことが… ふふふふふ…」
なんて話をしてる間に町外れにあるダンジョンの入口についた。
って、普通にサーカスみたいなテントだけど…
『転送サービス』とだけ入り口の看板に書いてるよ。
「さて、こちらからダンジョンに転送してくれるんですよ」
直接歩いて行くわけじゃないんだね。
地球にも、こういうのがあれば渋滞とか通勤ラッシュとかなくなるんだろうね。
「すいません、石精の祠へお願いします!」
テントの中で受付のおじさんに頼むと転送ゲートまで連れてってくれた。
うーん、楽だね。
それじゃあ、石精の祠へ出発だよ!




