3日目、ガールズトーク(?)その2
ジゴクちゃんに愛を囁けと、シュラちゃんに詰め寄られるぼく。
こうなったら、ぼくも手段は選んでられないよ!
「ガールズトーク中に審判に話しかけることは禁止します」
まさか、審判設定を使うことになるなんて思わなかったよ。
「えー!ズルい!職権乱用はダメですよ!」
しかし、そんなことで引き下がるシュラちゃんでは無かったようだよ。
不満がいっぱいって顔でぼくを見るシュラちゃん。
まぁ、当然だよね…
「大丈夫で御座います」
あっ、ジゴクちゃんがぼくに詰め寄るシュラちゃんを制してくれた。
助かったよ! ありがとう!
「テンゴクとは、また今夜お話するので御座います。その折にラブラブトークについてのお話もすること、既に約束済みなので御座います」
なんとっ! 逆に追い詰められた感じだよ!
「えー!そうなんですか!? すでに約束してたんですね! うわぁ、テンゴクさんやりますねー! もうっ!そういうことなら大丈夫ですね!」
ぼくに詰め寄っていたシュラちゃんの顔からは、さっきまでの不満がさっぱり消えていた。
「憧れちゃいます! 羨ましいです!」
ラブラブトークについて話すだけで、ラブラブトークをするわけじゃないって辺りを勘違いされてる気がするよ。
でも、ややこしくなりそうだから言わないでおこう。
ぼくは公明正大な審判としてガールズトークの司会進行をしないといけないもんね。
「そういうことで…。 それじゃあ次は、パーティー組むことになるんだし、お互いの職業とか戦い方を確認しといた方が良いかなって思うんだけど…」
そんなのガールズトークじゃないって言われそうだけど…
「あっ! そうですね。私、家族以外とパーティー組んだことないのでちょっと楽しみです」
賛成してくれて良かった!
そう言うシュラちゃんの横に、大きな真っ白い手が現れた。
さっき、ぼくたちを掴んでたやつだね。
「私のジョブは、イツ・ルヒ伝統の前衛職『盾鎧武闘・翼』です。地球の人みたいにジョブ魂とか使えないですけど、代わりにレベルアップとともにジョブも成長するんですよ。私はまだ翼は二枚までしか出せないんですけど、これから頑張ります!」
あれ、腕じゃなくて翼だったんだ。
細い筒の先っぽに丸い球体が付いてて、そこから指みたいのが4本生えてて、なんていうか短めの孫の手みたいだったから腕だと思っちゃってたよ。
「その翼で攻撃するのでしょうか?」
ジゴクちゃんの疑問も当然かも、あの翼って、とっても柔らかくてふわふわな感じだったし。
「はい、この翼は自身のシールドを具現化したものでして、主に防御性能が高いんです。翼の周りに障壁を展開して攻撃は出来るんですけど、燃費は悪いんですよね。一対一なら同レベルクラスには負けないと思うんですけど、敵の数が多いと格下が相手でも倒しきれないかなって思います。あっ、でもさっきみたいにちょっと掴んだり持ち上げたりとかも出来るので、ちょっとした雑用なら任せてください!」
戦闘面では、ボス戦向きの能力って感じだね。
雑用に便利っていうのは宿屋の娘として誇れる能力なのかな。
働いてるって、シュラちゃんはやっぱり偉いよね。
「では、こちの番ですね…」
おや、ジゴクちゃんがすうっと深呼吸をしているよ。
「こちは、ちじゅちゅちゅかいに御座います!」
あっ!
噛んじゃった!




