3日目、ガールズトーク(?)その1
さあ、どうしたら良いんだろう。
沈黙が気まずい。
ガールズトークの審判って言うか、司会進行した方が良い感じかな。
って、ガールズトークの司会進行ってなんだそれ…
ああ、なんだろう。
どうしてぼくが緊張してるのか…
二人の仲がどうなるか、ぼくの腕にかかっている感じがするからかな…
これじゃあ、目の前でお見合いされてるみたいな気分なんだけど…
さて、まずは自己紹介でもしてもらおうかな…
「それではまず、二人とも改めて自己紹介でも…」
ガールズトークってこんな重たい雰囲気じゃないよね。
もっと華やかだったりするイメージだったけど…
ジゴクちゃんが恭しくおじぎをする。
「こちはジゴクに御座います。神威として生きておりましたが、テンゴクに誘拐された折に人と成り、名を頂戴し、ジゴクちゃんと呼ばれるようになりました。このたびはシュララバ様とのガールズトークの機会を許して戴けたこと、感謝いたします」
なんて礼儀正しいガールズトーク。
「あっ、ご丁寧にありがとうございます。私はシュララバ・ラプトパです。ラプトパの宿の娘で、宿屋のシュライムとか呼ばれてたんですけど、このたび『シュラちゃん』というヤマブキネームを頂戴することが叶いました。私で良ければいつでもガールズトークに誘って下さいね」
シュラちゃんもペコリとおじぎをする。
うーん。
ぼくはどうしてガールズトークの審判をすることになったんだろう。
今さらだけど、こういうのは山吹さんにしてもらう方が良かったんじゃないかな。
うんうん。
司会進行と言えば山吹さんだよね。
それでこそ本物のガールズトークになるし、山吹さんなら嬉々として参加してくれそうだ。
あぁ、そう言えばジゴクちゃんは山吹さんとのガールズトークの経験者なんだよね。
「ジゴクちゃん、さっき山吹さんとのガールズトークってどんな話をしたの?」
「食堂に置いてある雑誌を見て、様々な殿方の写真から好みを問われたり、同じく様々な婦人方の写真から服装の好みを問われました。」
へえ、思ってたより普通の話してるんだね。
「なんと! ヤマブキ様とのガールズトークをいたしたのですか!?」
まるでジゴクちゃんみたいな口調でシュラちゃんが驚いてる。
「はい、本日の昼食後にお誘いを頂いたので御座います」
「えー!羨ましいです! いつか私もヤマブキ様とガールズトークがしたいですよー。あぁ、でも恐れ多すぎて誘われても返事を焦りすぎてうっかり遠慮して断ってしまいそうですよ!怖いっ!」
「なんと! では、山吹様とのガールズトークに今後はシュララバ様もお誘いするよう、こちからもお願いしてみましょう!」
「なんと!今からドキドキしてきちゃいますよ!あぁ、心の準備をしておかないと爆発してしまいそうです!」
「大丈夫です。深呼吸を忘れなければ人は爆発しないものなのです」
「さすがジゴクさん!経験者は落ち着いてますね!」
「こちも最初はガールズトークを『画ある図と置く』と勘違いし、物事を説明する為の技能を身に付ける為にすることと思い、テンゴクとの会話に役立てる為にとお受けしたので御座います。そうでなければ、シュララバ様と同じように気が動転し、こちが爆発していたことに疑いは御座いません」
二人とも爆発するの?
なんて疑問を挟む必要のないくらい、二人が盛り上がってきたね。
喜ばしいことに審判の出番がないけど、何故か寂しい…
「えー!それってジゴクさん、ちょっと天然入ってますよ!でもテンゴクさんのためなら頑張れるジゴクさんって素敵ですよ!さすが以心伝心しちゃうだけありますよ!」
「なんと! こちは天然というよりは人工的に育てられた神威であると認識を持っていたので御座いましたが…」
「えー!天然って自然に振る舞ってても面白い人のことですよー!? 演技しなくても、そのままの振る舞いが面白い人なんですよ、ジゴクさんは!」
「そのように褒められるのは初めてで御座います。テンゴクとはガールズトークが出来ぬと知り、ラブラブトークもまだ早いと断られ、なんとも無念な心持ちだったので御座います。ですが今、シュララバ様に素敵と言われ、こちは自信が持てたような気分で御座います!」
「えー! テンゴクさん、なんなんですかそれ!?鬼ですか?悪魔ですか?いいや、テンゴクだ!とか言っちゃうんですか!? ジゴクさんのラブラブトークのお誘いを断るとか酷すぎですよ!もう、ちゃんと以心伝心してる時に愛を囁いちゃいましょうよ!へたれてるんですか?」
何故か寂しかったけど、今は放っておいて欲しいよ!




