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HEAVEN AND HELL  作者: despair
三日目、異世界の街
82/214

3日目、ガールズトークが始まるよ!?


 手を離して体の方に意識が戻ってくると、ぼく達は巨大な手に掴まれていた。

 なにこれ!?

「あっ、テンゴクさん、ジゴクさん、やっと起きたんですね」

 寝てないけどね…

「これってシュラちゃんがやってるの?」

 白っぽい腕に身体をがしっと掴まれてる。

 これ、宙に浮いてるよね。

 けっこうふわふわしてて寝心地は良いかも。

「そうですよ。お二人が急に腕をぶんぶんと振って暴れだしたので、私が押さえててあげたんですよ。もう、寝相が悪すぎです」

 寝てないけどね…

 腕を離そうとして同調シンクロバトルしてた時かな。

 それにしても、さっきまで心で会話してたから、考えてることが伝わらないのが不便に感じちゃうよ。

「寝てないけど、体の方まで意識できてなくて…。お手数かけちゃったね」

「こちの好奇心が爆発致した故の過ちで御座いました。申し訳なく御座います」

ふふふっとシュラちゃんが笑う。

「もう、かしこまらなくてもけっこうですってば。では、おろしますよー」

 地面にぽいっと置かれるぼくたち。

 そして、大きな腕がばいばいっと言うように手を振ってから消える。

 これがシュラちゃんの能力みたいだね。

「それで、二人だけの秘密の相談はどうだったんですか?」

 そう言えば、結論っていうのは決まってなかったっけ…

 いや、一個だけあったね。

「えっと、もしもジゴクちゃんがシュラちゃんって呼べなかったときは、呼べるようになるまでは、ぼくもシュララバ様って呼ぶことになったよ」

 うんうん。

 これだけは決まってたね。

「それは二人とも仲良く同じ呼び方で呼んでもらえれば…。ってちょちょっと待ってください!」

 シュラちゃんが慌ててるよ。

「それじゃ、私が凄く偉そうな人じゃないですか!」

 「ジゴクちゃんが呼ぶんなら良いかなって思ったんだけど…」

 ぼくは駄目だったかな?

 シュラちゃんが月刊ヤマブキ8月号を取り出した。

「はい、テンゴクさんに問題です。この表紙に写っている人は誰ですか?」

 流石に問題が簡単すぎるよ。

「山吹さんだよね」

 シュラちゃんは「はい、正解です」と言って月刊ヤマブキ8月号を片付けた。

「では、次の問題です。私の名前はなんでしょう?」

 これも簡単な問題だよね。

「シュララバ様だよ」

 シュラちゃんは「はい、正解です」と言って手でバツを作った。

 あれ?

 「どうしてヤマブキ様が山吹さんなのに、私がシュララバ様なんですか! 私のことをヤマブキ様より偉そうに呼ぶことは却下します!」

 ああっ!

「そこが駄目なんだ!」

 シュラちゃんってば山吹さんが基準みたい。

「当然ですよ。私がお二人に様付けされちゃうのはお嬢様みたいでちょっとありかなって…いいえ、我慢できるかなって思いましたが、ヤマブキ様より偉そうな呼び方を私にすることは受け入れられません」

 これじゃあ、ぼくが山吹様って呼ぶか、お姉様って呼ぶ覚悟をしといた方が良いかもしれないね…

「テンゴクも、シュララバ様も、大丈夫に御座います」

 待ってました!

 ここで満を持してジゴクちゃんの登場だよ。

「今までのこちは、己を知らず、他人を知らずにいたのです。だから人を恐れ、敬い、それがゆえに人見知りをしていたと知ったのです」

 心の中で話してたことだね。

「まず、こちが様を付けて呼ぶことに、シュララバ様との仲をいとうつもりは御座いません。そのことだけは、どうかご理解いただきたいのです」

 ジゴクちゃんが仰々しく頭を下げる。

「大丈夫ですよ。人見知りくらい普通しますよ。私も、お二人とは勢いで仲良くなれちゃっただけですし…。ジゴクさんみたいな人でも人見知りするんだなって、私は逆に安心しちゃいましたよ」

 勢い、大事かもね。

 ジゴクちゃんに足りないのは勢いかもしれない。

 でも、勢いだけで仲良くなっちゃうのは、ジゴクちゃんに似合わない気もする。

 いや、ぼくと仲良くなったのだって、勢いというか、流れでって感じはあったね。

「こちは、テンゴクより学びました。よく知らぬ者をヤマブキネームで呼ぶことには、その者と仲良くなりたいという思いも含まれているということを…」

 なんだか、こういう風に自分の名前が出るのって、ちょっと恥ずかしいね。

「こちは、シュララバ様と仲良くなりとう御座います。よって今より、こちはシュララバ様を…」

 おっと、シュラちゃんって呼ぶつもりみたい…

 頑張れって、心の中で応援しとこう。

 なんだか緊張するね。

 シュラちゃんもちょっと緊張してる感じがするよ。

「シュララバ様を…」

 ごくり、と唾を飲む。

「シュララバ様を…」

 無理そうだったら止めた方が良いのかな…。

「シュララバ様を…」

 よし、次で無理そうだったら止めとこう。

 無理してまで呼ぶ必要はないよね。

「シュララバ様を…ガールズトークに御誘いしたく御座います!」

 なんと!

 って、シュラちゃんって呼ぶより難易度高いと思うけど、うん、そういうのは個人差があるよね。

「はっ、はい! 喜んでお受けしたくございます!」

 あはは、ジゴクちゃんの喋り方がシュラちゃんに伝染そてきてるよ。

 何を話すのか分からないけど、今から二人のガールズトークが始まるんだよね。

 あっと、それじゃあ…

「ぼくは席を外そうかな…?」

 男は居ない方が良いよね。

 そう言えば、エルピーが此処に居ないし、エルピーのとこへ行ってみようかな。

 ぼくが部屋から出ようとすると、くいっと袖を引かれて止められた。

「こちはまだガールズトークが上手くできるか不安に御座います。テンゴクも側に居てくださいませんか?」

 右の袖をジゴクちゃんに引かれている。

「そうですよ。私、ガールズトークってよく分かりませんし、上手くガールズトーク出来てるかテンゴクさんが審判して下さい」

 左の袖をシュラちゃんに引かれている。

 ちなみに、ぼくは半袖なので、袖を引かれると言うより、腕を掴まれてると言った方が正しいね。

 つまり、ぼくは動けない。

 って、ガールズトークの審判ってなんなの!?

「それは名案で御座います。テンゴクが審判であれば、正しいガールズトークが致せることに疑いは御座いません」

 よく分からない理屈が並び、ぼくは二人の女子に腕を引っ張られて部屋の真ん中に座らされた。

 ぼくの右斜め前にジゴクちゃんが座る。

 ぼくの左斜め前にシュラちゃんが座る。

 さぁ、ガールズトークが始まるよ!?


私の予定では、心の中から帰ってきたジゴクちゃんは、シュラちゃんと仲良くなりたい一心で様を外して呼ぶはずだったんですが…

どうしてこうなったんでしょう?

次回、ガールズトーク!?

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