3日目、世界の秘密その3
「お二人さん。仲が良いのは結構だけど、そろそろファクトの話を聞いてあげてくれないかしら?」
あっ、忘れてた!
てへへっと謝って、ぼくたちはファクトさんの話を聞く。
さて、ファクトさんの話によると…
昔、異世界に転移してしまった父さんと三人の仲間達は、地球へ帰るつもりで地球を異世界へと召喚してしまった。
その時に、父さんが『理術』っていうのを使って月を『人工太陽』に作り替え、その功績と責任を『新世界』という企業に押し付けた。
ここまでは愁鳴町の大人達には常識だそうだ。
その後、『異世界の神』が地球側の空間へと転移したのが原因で異世界の神は消滅してしまい、碧さんが『巫女』のスキルで異世界の『管理者』となって神の代わりを勤めることになった。
地球と異世界の間で交流が始まったのはそれかららしい。
そして時が経ち、『新世界』の内部の研究機関『新世界の叡智』から和堂兆が一人の少女を救って今に至る。
っと…
うーん、なんだこれ…
やっぱり父さんが全ての元凶ってことで良いんじゃないかな?
地球に帰るつもりで、地球の方を呼んじゃうって…
絶対にわざとだと思う。
しかも、まだ他にぼく達には言えないって内容まであるんだよね。
「山吹さんは知ってました?」
ぼく達の住んでいる愁鳴町の大人達には常識とも言ってたから、山吹さんも知ってるんだろうけど。
「地球が異世界に転移してるってのは知ってるよ。愁鳴町はイツ・ルヒとの交流がどの程度制御できて、どんな影響が出るのか測るために実験的に転移ゲートを解放してるんだよね。町の大人達はみんなこっちに来たことはあるんだよ。近々、子ども達にも解放してみるって話しだけどね。」
思ってたよりいっぱい来てる!
「それじゃあ、異世界の案内人って大忙しなんじゃ…」
ぼくの心配を山吹さんが笑い飛ばす。
「はははっ。まぁ、二年前くらいまでは忙しかったけど、今はけっこうみんな慣れてきてね。私の仕事なんてほとんどないよ。忙しいのは碧さんの方だから、彼女を心配してあげると良い」
碧さん、異世界のシステムに…って意味は理解しきれないけど、確かに大変そう…
昨日は迷惑かけちゃったかな。
「はい。でも、スキルで世界を管理なんて、可能なんですか?」
巫女っていうのが凄いのかな?
「ん? あぁ、レベルが上がると段階的に特典というかオプションが解放されてくんだけど… そうだね、そこら辺は宿に着いたら説明するよ」
山吹さんが、ファクトさん達を待たせちゃってるよってジェスチャーで示す。
「あら、お気遣いありがとう」
セクトさんがひらひらと手を振る。
「さて、任務は達成した。我々は帰るべきだな」
ファクトさんが手元のウインドウを操作すると、周囲にざわめきが戻った。
時間の流れが元に戻ったみたい。
あれって便利すぎる…
「では、君達とはもう会わないことを願っているよ」
「そうね。次に会ったら、私達も本気で戦うことになるかもしれないものね」
確かに、悪い人たちじゃなさそうだし、戦うことになったら嫌だね。
この人たちがまた出てこなきゃいけないような事態にはしないで欲しい、ってことかな。
でもそれは、
「父さんしだいな気がしますけど」
今回もそうだよね。
何があの紙に書いてたのか知らないけど、きっととんでもないことなんだろうな…
「ふっ、違いないな」
その言葉を最後に、二人は一瞬で消えてしまった。
周囲の野次馬達から戸惑うような声がしばらく聞こえてたけど、すぐに普段のものと思われる雑踏が戻ってくる。
「それじゃあ、ちょっと早いけどエルピーのとこに戻ろうか?」
異世界の宿屋…
今日から泊まる予定だし、綺麗なところだと良いけど…
ファクトさんが読んでくれた内容の原文は『おまけ資料』の方に書いてあります。




